知らないと損をする?不動産投資の“勘違い節税”

今回は、不動産投資で節税になっていると勘違いしている残念なパターンを皆さんにお伝えしていきます。

不動産投資は経費計上を多くして赤字にできるという勘違い

不動産投資は、経費計上できるから節税になるという方がよくいらっしゃいます。
サラリーマンからすると、経費で落とすということができない(特定支出控除という制度はありますが、利用してメリットになる人は少ないです)ことから、不動産投資で経費を使うことに憧れを抱く方もいらっしゃいます。

しかし、何でも経費にできるということではありません。

経費にできるのは、事業に利用したものだけです。

・家族との食事代
・友人との飲み代
・勤め先でも使用できるスーツ代、カバン代

など、事業に関係のない支出は経費にすることはできません。

自宅の一部を事業で使用しているのであれば、水道光熱費、家賃などを一部経費にすることは可能ですが、事業で使用していることが明確となる部分のみが経費として認められます。

生活費も含めて何でもかんでも経費に計上して、税務調査で修正させられた事例がありますので、注意をしてください。

「無理やり経費」の勘違い

事業に関わる経費であれば、金額に上限はありません。
だからといって、無理に経費を計上しようとして支出をする方がいらっしゃいます。
確かに、税金は減って、還付を受けられるかもしれません。

しかし、還付を受けたからと言って、得をしているかどうかは別問題です。

100万円経費を使った場合に、節税になる税金はいくらでしょうか?

100万円ではありません。
税率分をかけた分だけ税金が減るのです。

所得の税率は超過累進課税です。
所得が大きくなればなるほど、高い税率で課税されるということです。
ただし、全体に対して高い税率が課税されるということではなく、一定の金額を超えると、超えた部分にだけ高い税率がかかるというものになります。

例えば、所得税と住民税(一律10%)合わせて30%で税率がかかるのであれば、
100万円×30%=30万円が税金。つまり節税になる金額です。

100万円使って、30万円の税金が減るのです。
逆を言えば、70万円の支出は生じるということです。

つまり、税率分だけ税金が減ることから、最大でも55%(所得税45%+住民税10%)の税金を減らせることに留まり、確実に節税額よりも支出の金額のほうが多くなるのです。

この事実を知らずに、経費になるからの闇雲に支出をして手残りまでなくしてしまうケースもあります。これでは何のために不動産投資をしているか分からなくなりますね。
決して経費は使わないほうが良いと言っているわけではなく、むしろ必要な経費は使うべきです。しかし、無駄な経費は徹底的に削減することがキャッシュフロー上も経営上も良いことに間違いありません。

減価償却を多く取りすぎの勘違い

不動産投資は、減価償却があるから節税になるという方がいらっしゃいます。
「減価償却は支出のない経費」と謳っているようです。

しかし、これは正確ではありません。
正しくは、「減価償却は支出がある経費。ただし、支出と経費のタイミングをずらすことができるもの」です。

現金で不動産を購入すれば、支出のタイミングがあとになり、減価償却となる経費が先になることが多いです。

このように、いずれも支出は伴うのです。
減価償却の耐用年数によって経費のタイミングを先に持ってきたり、後ろに持ってきたりできるため、「支出のない経費」と勘違いされてしまうのです。

たしかに減価償却で大きく赤字を取ることが可能です。しかし、不動産所得については、赤字になった場合には「土地取得にかかる借入金の利子については、損益通算の対象にはならない」という規定があります。

減価償却を大きくして赤字を作ったところで、土地にかかる利息分までは赤字が切り捨てられてしまうのです。

黒字であれば、経費として利用できた減価償却費を、赤字にしたばかりに捨ててしまっているのです。

築年数が古い建物であれば、短い年数で償却することが可能です。
それによって1年あたりの減価償却費を大きくすることができるのですが、土地負債利子とのバランスを考えるべきです。
土地負債利子で、あまりにも切り捨てられてしまう減価償却費が大きいのであれば、短い年数で償却しないほうが良いという選択を考えるべきでしょう。(中古の耐用年数を簡便法でなく、見積法を使うことで耐用年数を長めに取ることが可能です)

このように以前から不動産所得が節税に使われてきた背景から、節税を規制する制度になっています。赤字を作れるというところから不動産投資を始めると、節税になっていなかったり、手残りが残らない経営になってしまっているケースがあります。

不動産投資が節税にならないわけではありません。しかし、ルールを知らないと損をします。
損をしないためにも税制や会計の知識はある程度持っておいたほうが良いです。

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