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区分所有VS一棟マンション メリット・デメリット比較!

区分所有VS一棟マンション メリット・デメリット比較!

不動産投資の入り口として「まずは区分マンション(ワンルームなど)から」という声を聞くことは少なくありません。そこで今回は、区分物件のメリット・デメリットについて、一棟マンションなどと比較しながら紹介していきます。

価格が低めで購入のハードルが低い区分物件

「区分マンション」は物件数が豊富で、一棟のアパートやマンションに比べて当然総額の価格は安いため、不動産投資の初心者も取り組みやすいカテゴリーと言えるでしょう。

郊外のワンルームマンションでは、総額500万円以下、表面利回りが10%を超える物件もあります。価格が低く、流通物件数が多いということは、流動性が高い、つまり、売却しやすいということでもあります。

また、現金で購入できる水準のため、株やFXと比較して、「利回りが高い」「インフレに強い」という不動産の特徴から、「現金を実物資産に変えておきたい」という思考にも対応できます。

ワンルームとファミリータイプ それぞれの特徴は?

投資用の区分マンションといえば、ワンルームや、1Kなどの単身者向けが中心と思われがちです。しかし、2LDK以上のファミリータイプを投資対象にするケースも少なくありません。1R、1Kタイプと、ファミリータイプのそれぞれの特徴をまとめてみます。

〈1R・1Kタイプの場合〉
1R・1Kの場合は、実需層が購入する可能性は低くなります。ただ、マンスリーマンションなどとして、活用することによって、通常の賃料相場より高収益を得られる可能性もあります。

〈ファミリータイプの場合〉
ファミリータイプのほうが売却しやすい傾向があります。というのも、1R・1Kタイプの購入者はほぼ投資家に限られてるのに対して、ファミリータイプは似図から居住する実需層にも売却できる可能性が高いからです。実需層のことを考えると、立地だけでなく、設備仕様や、グレードも重視して物件を選ぶことが重要でしょう。

オフィス・店舗などのビル系区分物件のメリット

投資用の区分物件は、マンション(居住用)だけではありません。オフィスや店舗などのビル系(事業者向け)の区分物件もあります。流通市場に出ている物件数がやや少ないことが難点ですが、バリエーションは増えつつあります。

収益性の点では、マンションよりもオフィスや店舗のほうが高いケースが多いでしょう。住宅系の賃料水準は、多少景気が上向いてもすぐに上がることはなく、また値上げ可能な幅も大きくありません。

それに対し、オフィスや店舗の賃料は、好景気になって企業の業績が改善すれば、賃料の値上げが期待できます。周辺の開発整備によって賃料相場がアップすることもあります。そのようにして収益性が高まれば売却価格の上昇にも繋がります。ただし、景気が悪くなった際の賃料値下げもあり得ます。
オフィスや店舗を選ぶ際に注意したいのは、ビル内での所在階数です。地下や、2〜3階以上の空中店舗は、テナントがつきにくいと言われています。景気の影響、また、立地やグレードの良し悪しによる影響は、住宅系よりもオフィスや店舗のほうが大きいと言えます。

投資効率が高いのは「区分」より「一棟」

続いて、区分物件のデメリットについても見ていきましょう。
例えば、総額500万円・表面利回り10%の中古ワンルームマンションを現金で購入したとします。
想定家賃収入は年間50万円です。出ていくお金は、建物の管理費、修繕費が12万円(月1万円)、固定資産税が年間5万円、家賃収納代行などのために賃貸管理会社に2万円前後支払うという想定で、年間維持費が19万円ほどになります。税引き前の手取りは、31万円で利回りは6%程度となります。

さらに、所得税と住民税を併せて30%の税金を払うと、手残りは年間22万円となり、月々2万円に達しません。投下資金500万円を回収するのに20年以上かかる計算になります。
しかも、これは入居者が居続けることが大前提です。仮に1〜2年毎に入居者の入れ替えが発生すると、その度に原状回復費用、募集費用などがかかります。部屋が埋まるまでの賃料収入はゼロですから、2〜3ヶ月の空室期間があると、費用を併せて家賃5〜6ヶ月分のマイナスです。ほとんど手残りがないか赤字に転落する恐れがあります。現金で購入してもこの収支ですから、不動産投資ローンを利用すれば採算的には厳しくなってくる場合もあります。
このように区分の物件は一棟マンションやアパートに比べて投資効率が低い上に、空室リスクが大きいと言えます。

管理状況や売却価格のコントロールのしやすさが違う

区分物件を購入する場合の注意点は、もう一つあります。区分物件には、一つの建物に対して複数の所有者がいることです。建物・設備の管理運営については、複数いる区分所有者の話し合いで進めることになります。(通常は、管理組合が作られ管理規約に基づいて総会で話し合って決め、管理の実務は管理会社に委託されます。)

「大規模修繕や建て替えなどの重要事項は、区分所有者による多数決で決められる」と法律で定められています。管理状況を改善したい、リノベーションをして付加価値を高めたいと思っても、自分ひとりで決めることができないのです。一棟マンションの場合は、オーナー自身の裁量でバリューアップできます。

また、ワンルームマンションの場合は、棟内の清掃やごみ置き場、駐輪場などの整備が行き届いていないという指摘も少なくありません。これはオーナーが自分ですまないため、管理状態への関心が薄いからです。管理状況の良し悪しは、賃借人の入居率に影響することがあります。

売却価格についても、区分マンションより一棟マンションのほうがコントロールしやすいと言えます。区分マンションは周辺の類似物件や同一マンション内の成約事例によって価格相場が決まり、その情報が比較的オープンになっているため、売り主の希望価格が通りにくいと言えます。
一棟マンションは個別性が高く、売買情報もオープンにされていないため、比較的売り主の移行を反映しやすい面があります。つまり、出口における売却価格のコントロールがしやすいわけです。

区分は、価格が低く始めやすい半面、空室リスクと投資効率では分が悪いと言えます。一棟マンションは元手や借入が大きくなりますが、投資効率、空室リスクについて区分よりも優れているでしょう。どちらにもメリット・デメリットがあり、どちらが良いかは、「投資」に対する考え方によっても判断が分かれることでしょう。

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