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お台場大江戸温泉閉鎖の原因と再開発

お台場大江戸温泉閉鎖の原因と再開発

東京お台場大江戸温泉物語が2021年9月5日に閉館してしまいました。
お台場で人気の観光スポットだっただけにショックを受けた方も多いと思います。
実はなくなった背景には、事業用定期借地権が深く関係していることをご存じでしょうか。

また、大江戸温泉だけでなく今お台場は大きな転換期を迎えようとしています。

そこで今回は、東京お台場大江戸温泉物語が閉館するわけと、お台場の再開発の動向について解説します。

閉館に追い込まれた大江戸温泉とは

東京お台場大江戸温泉とは18年前にオープンした、お台場のフジテレビの近くにある天然温泉です。

単なる温泉ではなく、内部が江戸を再現したテーマパークみたいになっていて、お台場観光やディズニーランドの帰りなどに立ち寄る人が多く、人気の観光スポットとして有名でした。

このタイミングでの閉館となると、コロナ禍で営業厳しかったんだろうな、という印象がありますが実は理由は別のところにありました。

東京お台場大江戸温泉物語が閉館する直接的な理由、それは「事業用定期借地権」です。

東京お台場大江戸温泉物語はこの事業用定期借地権で土地を借りていたのです。
そして貸主はほかでもない東京都、東京お台場大江戸温泉物語は東京都から借りた土地で営業をしていたのです。

事業用定期借地権とは

事業用定期借地権事業用定期借地権とは、定期借地権の一つで、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とするものをいいます。
事業用定期借地権は借地借家法で10年以上50年未満の間で期間を定めることができるとされています。

では、東京都から何年契約で土地を借りていたのでしょうか。

報道によれば答えは20年です。
ちなみに、東京お台場大江戸温泉物語は、2021年で18周年です。

あれだけの施設をつくっておいて、「20年って短い」と思うのではないでしょうか。
「せめて40年くらいにしておけばよかったのに」と。
ですが、東京お台場大江戸温泉物語は東京都と40年の事業用定期借地契約は結べなかったのです。
ここが最大のポイントです。

法改正に泣いた東京お台場大江戸温泉物語

東京お台場大江戸温泉物語が東京都と40年の事業用定期借地契約は結べなかった理由、それは法改正です。

実は借地借家法は大きな改正がされていて、改正前までは事業用定期借地権の存続期間が10年以上20年以下とされていたのです。
それが法改正によって2008年1月1日以降から10年以上50年未満に改正されました。

東京お台場大江戸温泉物語がオープンしたのは2003年で、旧法に基づいていたので20年でしか東京都から借りられなかった、これがたった20年で幕を閉じることになった要因の1つなのです。

定期借地権は、延長や更新はできません。
相手が応じれば再契約も可能ですが、残念ながら解体撤去されて、更地にして返すそうです。
大江戸温泉のHPにも再契約がかなわなかった旨が公表されていました。

お台場の再開発が進む

実は大江戸温泉に限らず、観光名所だったお台場は大きな転換期を迎えています。
「VenusFort」や「MEGAWEB」、「Zepp Tokyo」などで構成される大規模複合施設「パレットタウン」が、2021年12月から翌年夏にかけて営業を順次終了すると発表されました。
また、お台場の有名スポットとして親しまれた「大観覧車」もなくなるそうです。

進出事業者であるトヨタ自動車と森ビルは、磁力ある街づくりに取り組むと表明しています。

具体的な構想については、パレットタウンの跡地にはトヨタグループの東和不動産が、プロバスケットボールBリーグアルバルク東京の試合会場に使う多目的アリーナを2025年6月に完成させる予定とのことです。

その他の構想について詳細はまだ明かされていませんが、今後お台場の景色が大きく変わることは間違いないでしょう。

まとめ

観光のイメージが強いお台場ですが、居住用のタワーマンションも多く立ち並んでおり、今後の再開発の詳細によってはこれらの物件価値に大きな影響が出てくることが考えられます。

不動産投資として魅力的なエリアとなる可能性もあるので、今後の動きに注視していきましょう。

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