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自宅と投資用物件 両方ローンで買うにはどちらを先に組むべきか?

自宅と投資用物件 両方ローンで買うにはどちらを先に組むべきか?

「住宅ローンと不動産投資用ローンの違いが知りたい」「住宅ローンと投資用物件のローンどちらを先に組んだほうが得か」といった疑問を持った方も少なくありません。住宅の取得と不動産投資の両方をローンで行いたいと考えている方が多いためです。

では、両方のローンを組む場合、どちらを先に組むべきなのでしょうか?

結論から言うと、住宅ローンより先に不動産投資ローンを組むべきです。なぜならば、不動産投資ローンを先に組んだほうが融資審査に通りやすくなるからです。

とはいえ、両方のローンを組む場合には返済負担率を把握する必要があるなど、注意点もあります。

そこで今回は不動産投資を検討している方に向けて「住宅ローンと不動産投資用ローンの違い」「両方のローンを利用する場合の注意点」を解説していきます。

住宅ローンと不動産投資ローンの違いとは?

住宅ローンと不動産投資用ローンの主な違いは以下の4つです。

・利用目的が違う
・返済原資が違う
・融資の審査基準が違う
・金利が違う

それぞれについて解説していきます。

1 利用目的が違う
住宅ローンと不動産投資用ローンの大きな違いは借り入れた資金の使い道です。
住宅ローンは自身が住むための住居を購入する目的や改築する目的で借り入れた資金を使います。

一方で、不動産投資ローンは借り入れた資金を使って収益物件を購入して、運用することで利益を得ることが目的です。

2 返済原資が違う
返済原資も違いの一つとしてあげられます。
住宅ローンは給与や事業で得た収入が借り入れた資金を返済するための原資です。

一方で、不動産投資ローンは収益物件を運用して得た家賃収入から返済します。
例外として、運用している物件が空室になるなどの理由で家賃収入が減少した場合には、不動産投資ローンであっても自己資金を持ち出して返済することが必要です。

3 融資審査の基準が違う
融資審査の基準は大きな違いの一つです。
住宅ローンを使用する際は年収や年齢、勤続年数といった個人の属性が重要視されています。

実際に、国土交通省が令和2年に行った調査によると、住宅ローンの審査する際に重要視する項目として、前述した個人の属性以外にも以下のような項目を多くの金融機関が挙げています。

・返済負担率(年収に対しての返済額の割合〉
・融資可能額
・担保評価

上記の中でも返済負担率は30%以上になると返済できない可能性が高くなるため、金融機関によっては大きなリスクになります。そのため、返済負担率が高くなると審査に落ちる可能性が高くなるわけです。
一方で、不動産投資ローンの場合は、収益用物件の家賃収入で返済するため、収益性が悪い物件だと家賃収入による返済ができなくなりかねません。
そのため、金融機関は購入した不動産の収益性を審査項目として重視しています。

とはいえ、購入した不動産の収益性だけで審査されるわけではありません。
住宅ローンと同様に個人の属性についても審査されるので、注意が必要です。

4 金利の違い
住宅ローンで購入できる住宅は生活する上で必要不可欠なものであるため、金利面で金融機関がかなりの優遇措置を行っています。
資産や給与が少ない人でも、ローンを利用して住宅が購入できるようにするためです。

一方で、不動産投資ローンは事業がうまく行かない可能性もあるため、金融機関はリスクを懸念して金利を高く設定しています。
ちなみに、不動産投資ローンの金利相場は1.5%〜3%程度と言われています。

投資用物件には住宅ローンは利用できない

基本的に投資物件を購入する際に、住宅ローンを利用することはできません。
しかし、不動産会社の営業が「住宅ローンを利用して投資用物件が購入できますよ」と説明して騙すことがあります。
そこで、ここでは仮に投資用物件で住宅ローンを利用したことが発覚すると、金融機関がどういった対応を取るのかについて説明していきます。

1 投資用物件に住宅ローンを利用するのは違法
前述したように、投資用物件を住宅ローンを使って買うことは金融機関との契約上の違反行為に該当します。
そのため、金融機関に違反行為を行ったことが知られてしまうと、金融機関からローンの残債を一括返済するように求められる可能性が高いです。

仮に一括返済できない場合には「自己破産」する事態になってしまう可能性があります。
さらに、信用して融資してくれた金融機関を騙すことになるため、今後融資してくれた金融機関から借り入れを行うことができません。
このようにリスクが大きいので、住宅ローンの不正利用はしないようにしてください。

2 投資用物件に住宅ローンが利用できるケース
先程、投資用物件に住宅ローンを使用することはできないと説明しましたが、賃貸併用物件(自宅と賃貸住宅が同じ建物にある物件)の場合は、住宅ローンが使用できます。

ただし、「賃貸併用物件で自宅部分の床面積が建物の総面積50%以上」などの条件を満たすことが必要です。

例えば、みずほ銀行の場合なら、「自宅部分の床面積が50%以上」という条件と「提携しているハウスメーカーを利用する」条件で住宅ローンを使うことができます。

このように、賃貸併用物件の場合は、条件を満たすことで住宅ローンを使うことができる金融機関があるので、うまく利用することをおすすめします。

不動産投資ローンを住宅ローンより先に組むのがおすすめ

不動産投資ローンと住宅ローンの両方のローンを組む場合、不動産投資ローンを先に組むことをおすすめします。
その理由は以下の2つです。

1 投資用物件からの収入で年収が増える
自宅ではなく投資用物件を先に購入することで、投資用物件から得られる家賃収入によって年収が増加するため不動産投資ローンを先に組むことをおすすめします。
前述したように住宅ローンの審査において、「年収」や「返済負担率」は多くの金融機関が重視している項目であるためです。

年収が増えることで返済負担率も低くなり、個人の属性が良くなるため、融資審査で落ちる可能性が低くなります。
このため、不動産投資ローンを先に組む方が両方のローンの審査に通す上では有効です。

2 キャッシュフローで自己資金が貯まる
投資用物件の家賃収入が黒字の場合、自己資金を貯めることが可能です。

この自己資金をローンの頭金にすることで、金融機関が融資する金額が低くなるため、審査に通る可能性が高くなります。
しかも、仮に融資審査に落ちたとしても自己資金が貯まるまで待って頭金を増やすことで再審査で通る可能性を高くすることも可能です。

ただし、投資用物件の収益性が悪い場合は自己資金が増えていかないため、物件の選び方には注意が必要です。

住宅ローンより先に不動産投資ローンを組む際の注意点

両方のローンを利用する際に、住宅ローンよりも先に不動産投資ローンを利用したとしても以下の2つの注意点を理解していないと審査に落ちる可能性が高くなります。

1 返済負担率が高いと審査に落ちる可能性がある
何度も説明しているように、融資審査において、「返済負担率」は非常に重要な項目です。

返済負担率の目安は30%〜40%と言われており、この負担率を超えると融資審査に落ちる可能性が高くなります。

両方のローンを組む場合、借入金額の合計は、借入金額の合計は高額になり返済負担率が高くなりやすいため、注意が必要です。
こういった事態を防ぐために両方のローンを組む場合の返済負担率を把握しておく必要があります。
仮に、返済負担率が40%を超える場合には、頭金を増やすなどして、返済負担率を下げることが有効です。

2 投資用物件の収益性が良くないと審査に落ちる可能性がある
投資用物件の収益性が悪いと住宅ローンを利用する際に審査に落ちる可能性があります。
収益性が悪い物件の場合、家賃収入によって自己資金が増えずに持ち出しによって自己資金が減っていく可能性が高いためです。

仮に収益性が悪い物件に投資をしている場合には金融機関は住宅ローンの返済ができない可能性が高いと判断するため、融資を希望しても審査で落とされてしまう可能性が高まります。
このため、両方のローンを組む場合は投資用物件の収益性を考慮してローンを申し込むようにしてください。

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