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初心者でも失敗しない新築アパート 利回り入門

家賃収入で安定したキャッシュフローを得たい、しかし中古物件は修繕リスクが怖い――そんな悩みから「新築アパート 利回り」で検索した方は多いでしょう。本記事では、表面利回りの目安から実際に手元に残る収益の計算方法、2025年度の最新融資・補助制度までを丁寧に解説します。読み終えたとき、あなたは新築アパート投資の全体像をつかみ、自分に合った物件を選ぶ判断軸を得られるはずです。

新築アパートで利回りを計算する基本

新築アパートで利回りを計算する基本のイメージ

まず押さえておきたいのは、新築アパートの利回りは「表面利回り」と「実質利回り」に大別される点です。表面利回りは年間家賃総額を購入価格で割った単純な指標ですが、管理費や税金を差し引かないため実態より高く見えがちです。一方、実質利回りは経費を控除するため収益性をより正確に示します。

東京23区の2025年平均を見ると、アパートの表面利回りは5.1%です(日本不動産研究所)。この数値は目安に過ぎず、建物規模やエリアで大きく変わります。例えば木造2階建て8戸タイプで年間家賃960万円、建築費1億8,000万円なら表面利回りは5.3%です。しかし固定資産税120万円、管理費と修繕積立で年間150万円かかると仮定すると、実質利回りは(960万−270万)÷1億8,000万≒3.8%まで下がります。つまり購入前には必ず経費を洗い出し、実質利回りで判断する姿勢が欠かせません。

表面利回りと実質利回りの違いを数字で体感する

表面利回りと実質利回りの違いを数字で体感するのイメージ

実は、利回りを語るうえで最大の落とし穴は「稼働率」と「金利」を軽視することです。国土交通省住宅統計によれば、2025年8月の全国アパート空室率は21.2%ですが、都心駅徒歩10分圏に絞れば10%前後に下がります。稼働率90%を想定し家賃年1,080万円を得る計画でも、実際に80%しか入居がつかなければ家賃収入は864万円に目減りします。さらに、住宅ローン金利が1.3%から1.8%へ上昇すると、年間返済額は数十万円単位で増えるため手元キャッシュが圧迫されます。

このように、表面利回りが見かけより高い物件でも、空室リスクと金利変動を組み合わせて試算すると収支が一変します。利回り計算ソフトやエクセルを使い、稼働率80%、金利2%といった保守的シナリオを必ず確認しましょう。数字で体感することで、広告資料の華やかな利回りに惑わされず、堅実な投資判断が可能になります。

利回りを高める物件選びと立地戦略

ポイントは、家賃設定と空室率を左右する立地条件を見極めることです。都心の駅近物件は土地価格が高く表面利回りが低下しがちですが、長期的に稼働率が高く修繕コストも予測しやすいメリットがあります。一方、郊外や地方都市では土地値が抑えられ利回りが高く見えるものの、人口動態が弱いエリアでは5年後に家賃下落リスクが顕在化します。

具体例として、埼玉県大宮駅徒歩12分の新築木造アパートと、東京都板橋区駅徒歩6分のほぼ同規模アパートを比較します。前者は土地建物総額1億2,000万円で表面利回り6.5%、後者は総額1億7,000万円で同5.0%です。初年度のキャッシュフローは郊外型が有利ですが、10年後に家賃が月当たり1万円下落し、稼働率も85%まで落ち込むと実質利回りは3.2%まで低下します。一方で都内物件は家賃維持と高稼働を保ち実質4.0%前後を維持できるケースが多いのです。言い換えると、高利回りを追いすぎると将来の収益安定性を損なう恐れがあります。

2025年度の融資・補助制度を味方にする

重要なのは、金融機関の融資条件と国の支援策を活用し、自己資金を最適化することです。2025年度は民間銀行でも木造アパート向けの最長35年融資が一般化し、金利は1.2%前後で推移しています。さらに、一定の省エネ基準を満たした賃貸住宅には国交省「賃貸住宅省エネ化支援事業」の補助金が継続しており、1戸あたり最大60万円、上限10戸まで申請可能です(2025年度予算)。補助金を取得すれば建築費が抑えられ、実質利回りを0.2〜0.3ポイント改善できるケースもあります。

また、地方自治体によっては固定資産税の減免や、融資利子補給制度を設ける地域も存在します。例えば札幌市は2025年度もZEH(ゼッチ)賃貸住宅に対し固定資産税3年間半減を継続予定です。制度は申請期限があり、工事着工前に手続きが必要な点に注意してください。補助や減税を組み合わせることで、自己資金の回転率が向上し、複数棟の運用計画が立てやすくなります。

長期運用で利回りを維持する管理術

基本的に、利回りは購入時より運用期間中に大きく変動します。入居者ニーズに合った設備更新と適正な家賃改定が欠かせません。築5年のタイミングでインターネット無料化やスマートロックを導入すると、家賃据え置きでも退去率が下がり実質利回りを守れます。また、修繕費用を平準化するため、毎月家賃収入の5〜7%を修繕積立に回すと、大規模修繕時の資金ショックを回避できます。

管理会社選定も利回りを左右します。管理委託料は家賃の5%が相場ですが、入居付けの速さや退去立会いの丁寧さで実質収益は変わります。さらに、毎年の確定申告で減価償却を正しく計上し、税負担を抑えることも重要です。税理士に依頼する費用は年間10万円前後かかりますが、節税効果が大きければ結果的に利回り改善につながります。

まとめ

新築アパート投資で安定した利回りを確保するには、表面だけでなく実質利回りを軸に判断し、稼働率と金利変動を織り込んだシミュレーションが必須です。立地選びでは将来の家賃維持力を重視し、2025年度の融資・補助制度を活用して建築費を抑えましょう。さらに、長期的な設備更新と適切な管理体制を整えることで利回りを持続できます。この記事を参考に、数字と制度を味方に付けた堅実な新築アパート投資を始めてみてください。

参考文献・出典

  • 日本不動産研究所 – https://www.reinet.or.jp
  • 国土交通省 住宅統計調査 – https://www.mlit.go.jp
  • 国土交通省 賃貸住宅省エネ化支援事業 2025年度資料 – https://www.mlit.go.jp/sustainable_rental
  • 札幌市 ZEH賃貸住宅固定資産税減免要綱 – https://www.city.sapporo.jp
  • 金融庁 金融モニタリングレポート2025 – https://www.fsa.go.jp

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