都心の価格上昇や将来の年金不安から、不動産投資を検討する人が急増しています。しかし鉄筋コンクリート造、いわゆるRC造マンションは「高額で難しそう」という先入観が根強く、初めの一歩を踏み出せない声を多く耳にします。実は構造の特性を理解し、資金計画を組み立てれば、木造アパートより長期で安定した収益を期待できます。本記事ではRC造マンション 始め方の基本を、物件選定から運用開始まで体系的に解説します。読み終えたころには、次に取るべき具体的な行動が見えるはずです。
RC造マンションとは何か

まず押さえておきたいのは、RC造マンションの構造的な強みです。RC造は鉄筋コンクリートを用いるため、耐震性と遮音性に優れ、資産価値が木造より長期間保たれます。
国土交通省の長期優良住宅化リフォーム推進事業の資料によると、RC造の法定耐用年数は47年と木造の22年を大きく上回ります。つまり減価償却期間が長く、毎年の経費計上額は木造より小さくなりますが、建物そのものは長持ちし、売却時の評価が落ちにくい点がメリットです。一方で建築コストは高く、初期投資を回収するまでに時間がかかることも事実です。
また、2025年10月時点で東京都内の新築マンション平均価格は7,580万円です。この価格帯でもRC造は中古市場で息が長いことが特徴です。高額な買い物だからこそ、構造の優位性を理解しておくことが成功の第一歩になります。
成功する物件選びの視点

重要なのは「立地」「規模」「築年数」の3点を総合的に判断することです。なかでも立地は将来の入居ニーズを左右する最大要因です。
都心五区や駅徒歩5分圏内の物件は購入価格が高い反面、空室率が低く賃料も安定します。実際、公益財団法人不動産流通推進センターの2024年度調査では、山手線内側のRCマンション平均空室率は4.2%にとどまります。一方、郊外で駅から離れると空室率は10%を超える例も少なくありません。つまり低価格だけで選ぶとキャッシュフローが想定より悪化するリスクが高いのです。
築年数にも注意が必要です。築25年を超えると大規模修繕が発生しやすく、突発的な支出が増えます。しかし購入価格が大きく下がるため、修繕積立金の残高と今後の修繕計画を確認すれば、収益性を保てる場合があります。立地と築年数のバランスを見極め、長期の賃貸需要を確保できる物件を選びましょう。
資金計画と融資の組み立て方
ポイントは自己資金と融資比率の最適化です。自己資金を2〜3割確保できれば、金融機関の評価が高まり、金利を下げやすくなります。
地方銀行や信用金庫では、2025年10月時点のアパートローン金利は変動で1.8%前後が主流です。審査では物件の収益性と個人の属性が同時に評価されるため、事前に収支シミュレーションを作成し、家賃下落や金利上昇のストレスシナリオも提示すると交渉がスムーズに進みます。また、団体信用生命保険の加入条件や繰上返済手数料の有無など、総返済額に影響する細部まで確認してください。
資金繰りの安全策として、6か月分のローン返済額相当のキャッシュを別口座に保持する方法があります。これにより突発的な空室や修繕にも対応でき、精神的な余裕が生まれます。長期戦であるRC造投資では、保守的な資金管理こそが継続的な成功を支えます。
運用開始までのステップ
まず物件を内見し、構造躯体の劣化状況や設備更新履歴を確認します。その際、建物診断(インスペクション)を行い、将来の修繕費を数値化しておくと計画が立てやすくなります。
次に管理会社の選定です。RC造は設備が複雑で、専門知識を持つ管理会社でないとランニングコストが膨らみがちです。管理委託料だけでなく、24時間対応やリーシング力などトータルサービスで比べることが大切です。管理会社変更は入居者に不安を与えるため、最初の選択が後々の収益を左右します。
運用開始後は毎月のキャッシュフローを可視化し、空室対策と家賃改定のタイミングを管理会社と共有します。特に築10年を過ぎると家賃の下落圧力が強まるため、共用部のLED化や宅配ボックス設置など、小規模リノベで早めに差別化する姿勢が欠かせません。
2025年度の制度と税メリットを活かす
実は2025年度も投資家が活用できる制度がいくつか存続しています。重要なのは、適用条件を満たし忘れないことです。
まず、不動産取得税の軽減措置は2025年3月31日取得分まで延長されています。床面積50〜240㎡の住宅用区分に該当すれば、税率が3%から4%へ戻る前に登記を済ませるだけで数十万円の節税になります。また、耐震基準適合証明を取得した中古RCマンションなら、登録免許税が所有権移転登記で0.3%から0.1%へ下がります。物件選定の段階で書類取得の可否を確認しておくと、購入後に慌てずに済みます。
さらに、賃貸住宅オーナー向けの省エネ改修補助金(2025年度)は、断熱性能向上工事に対し上限200万円まで補助が出るため、共用部の省エネ対策と空室対策を同時に進める好機です。期限や申請窓口は自治体ごとに異なるため、購入前に地元の建築指導課へ確認を入れておくと確実です。
まとめ
RC造マンション投資は初期費用が大きい分、耐久性と資産価値の維持という長所が際立ちます。立地と築年数を見極め、保守的な資金計画を組むことで、安定したキャッシュフローを実現できます。制度や税軽減を正しく活用し、運用開始後も継続的な改善を重ねれば、長期にわたり理想の収益を生み出せるでしょう。まずは信頼できる管理会社と金融機関探しから着手し、具体的な行動に移してみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅局 – https://www.mlit.go.jp/
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
- 公益財団法人 不動産流通推進センター – https://www.retpc.jp/
- 総務省 統計局 – https://www.stat.go.jp/
- 東京都住宅政策本部 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/
