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マンション投資 新築vs中古 どちらが有利?

購入を検討し始めると、「新築と中古のどちらが本当に得なのか」という疑問に必ずぶつかります。新築は最新設備で入居者が集まりやすい一方、価格が高く利回りは低めです。中古は取得費を抑えられますが、修繕リスクが気がかりでしょう。この記事では、15年以上の投資経験と2025年12月時点の最新データをもとに、初心者でも判断できる比較ポイントを整理します。読み終わるころには、ご自身の投資目的に合った選択肢が見えてくるはずです。

投資目的とライフプランで変わる選択軸

投資目的とライフプランで変わる選択軸のイメージ

まず押さえておきたいのは、マンション投資が「何を達成したいのか」で選択軸が変わるという事実です。たとえば老後の年金代わりに長期保有したい人と、5〜10年で売却益を狙う人では、重視する指標が大きく異なります。

長期保有では、空室リスクの低さと修繕計画の見通しが重要になります。この点で、築浅の新築物件は安定しやすいものの、取得額が大きい分だけキャッシュフローが圧迫される傾向があります。一方、出口戦略を意識した短期保有では、取得コストに対してどれだけ値上がりが期待できるかがポイントです。中古の場合、相場より割安に仕入れられればリフォーム後の再販益を狙えます。

つまり「いつ・どのくらいの利益を取りたいのか」を言語化すると、新築か中古かの答えが自然に絞られてきます。家族構成や働き方の変化を含めたライフプランと合わせて検討する姿勢が欠かせません。

新築マンション投資のメリットとリスク

新築マンション投資のメリットとリスクのイメージ

重要なのは、新築が持つブランド力と設備の新しさが賃貸需要を下支えする点です。不動産経済研究所によれば、2025年の東京23区における新築マンション平均価格は7,580万円で前年より3.2%上昇しました。価格が伸びている間は資産価値の目減りが緩やかになるため、担保評価が下がりにくいという安心感があります。

また、2025年度の住宅取得資金贈与の非課税枠は最大1,000万円まで継続しており、家族からの資金援助を利用しやすい点も魅力です。設備保証やアフターサービスが10年程度付くのも新築ならではで、突発的な修繕コストを抑えられます。

一方で、利回りは平均3〜4%台にとどまりがちです。ローン返済額が大きいと毎月の手残りが少なくなるため、金利上昇局面ではキャッシュフローがマイナスに転じるリスクを抱えます。さらに、人気エリアの供給が増えすぎると家賃下落が起こりやすい点も見逃せません。

加えて、固定資産税の新築軽減措置は最長5年で終了します。6年目以降は税負担が上がるため、長期シミュレーションに反映しないと収支計画が崩れるおそれがあります。新築を選ぶ際は、物件価格だけでなく金利変動・税負担の中央値シナリオを設定し、最低10年間のシミュレーションを行うことが肝心です。

中古マンション投資のメリットとリスク

ポイントは、取得価格を抑え利回りを高めやすい構造にあります。築15〜25年の都心ワンルームなら、表面利回り5〜7%が期待でき、家賃下落も新築ほど急ではありません。さらに、減価償却費を大きく計上できるため、所得税・住民税の節税効果が高くなるケースがあります。

ただし、修繕履歴のチェックが甘いと想定外の大規模修繕に直面します。国土交通省のマンション大規模修繕ガイドラインでは、築30年で外壁・配管更新費として専有部1戸当たり平均150万円が目安とされます。修繕積立金の不足が指摘される管理組合も珍しくなく、投資家が追加拠出を迫られる可能性は否定できません。

また、金融機関の融資姿勢は築年数により厳格化します。多くの銀行が「耐用年数(RC造なら47年)−築年数」を上限に融資期間を設定するため、築30年の物件だと最長17年ローンに制限される例が多いです。この場合、毎月返済額が増え、キャッシュフローが悪化する恐れがあります。

中古を選ぶ際は、管理状況と融資条件が利回りの高さを打ち消さないかを慎重に見定めましょう。内見時には共用部の劣化や掲示板の雰囲気も確認し、管理組合の総会議事録を取り寄せて積立金の残高を把握することが欠かせません。

キャッシュフローと出口戦略を比較する

実は、キャッシュフローの健全性と出口戦略の整合性を同時に満たす物件は多くありません。新築では初年度から家賃収入より返済額が上回る「赤字スタート」も珍しくなく、追加の自己資金が必要です。しかし築年数が10年を過ぎるころにはローン残債が下がり、逆にキャッシュフローがプラスへ転じやすくなります。

中古の場合、初年度から黒字化しやすいものの、修繕費のタイミングで収支が乱高下しがちです。出口を想定した売却では、築年数がさらに進むため価格が落ちやすく、値上がり益よりもインカムゲイン(賃料収入)中心の戦略になりやすいでしょう。

出口を柔軟にする方法として、2025年度に継続中の「住宅セーフティネット制度」を利用し、国や自治体の家賃補助付き入居者へ貸す選択肢もあります。この制度は築年数に制限がないため中古物件でも活用しやすく、空室リスクの低減につながります。ただし、登録には耐震基準適合証明が必要となるため、事前に改修コストを含めた試算が必要です。

総じて、キャッシュフローの読みやすさは中古優位、価格下落リスクの低さは新築優位といえます。どちらを選んでも、出口時の想定売却価格とローン残債の差額を必ず数パターン試算し、最悪シナリオで損失が限定されるか確認しておくことが安全策です。

2025年度の税制・融資動向から見る選択ポイント

さらに、2025年度の税制と金融機関の融資動向を踏まえると選択肢が絞りやすくなります。住宅ローン減税は2025年入居分まで控除期間13年で継続しているものの、賃貸用マンションは対象外です。そのため、投資用の場合は減価償却や損益通算による節税が中心となります。

新築では建物価格のうち内装・設備を分離し、加速度償却が認められるケースが増えています。これにより、購入後数年間は税引き後キャッシュフローを底上げできます。一方、中古は残存耐用年数が短く、定額法での償却スピードが速いため、取得初年度の節税インパクトが大きいです。

融資面では、日本銀行の金融正常化方針を受けて変動金利が緩やかに上昇傾向にあります。2025年11月時点の投資用ローン平均金利は2.1%で、前年より0.25ポイント上昇しました。新築は長期ローンになる分だけ金利上昇の影響を強く受けるため、金利が1%上がった場合の返済額を必ず再計算しましょう。中古は期間が短いものの、金利が高めに設定されることが多く、同水準の影響を受けやすい点に注意が必要です。

最後に、金融機関の評価方法も鍵となります。新築は販売価格を基準に評価されやすい一方、中古は収益還元法で査定されるため、家賃水準が評価額を左右します。収益性を高めるため、早期からリフォームや設備更新で家賃の底上げを計画すると評価額向上につながります。

まとめ

本記事では、マンション投資 新築vs中古の主要な比較ポイントを整理しました。新築はブランド力と設備保証で賃貸需要を確保しやすい反面、初期費用と金利上昇リスクが重荷となります。中古は利回りと節税面で有利ですが、修繕リスクと融資期間の短さが課題です。ご自身の投資目的とライフプランを起点に、キャッシュフローと出口戦略の両面から複数シナリオを検証することが成功への近道です。まずは試算表を作成し、最悪シナリオでも家計が破綻しない物件だけを候補に残す行動をおすすめします。

参考文献・出典

  • 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
  • 国土交通省「マンション大規模修繕ガイドライン」 – https://www.mlit.go.jp
  • 財務省「2025年度税制改正大綱」 – https://www.mof.go.jp
  • 日本銀行「金融システムレポート 2025年秋」 – https://www.boj.or.jp
  • 東京都住宅政策本部「住宅セーフティネット制度の概要」 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp

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