名古屋の物件に興味はあるものの「どのエリアを選べば安全なのか」と迷っていませんか。実は名古屋は転入超過が続き、家賃相場も安定しているため、初心者にとって参入しやすい市場です。本記事では最新データを踏まえつつ、市場動向、エリア選定の視点、具体的な投資戦略まで順序立てて解説します。読み終えるころには、自分に合ったエリアの見極め方と次のアクションが明確になるはずです。
名古屋の市場動向を理解する

まず押さえておきたいのは、名古屋の人口と経済が堅調に推移している事実です。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、2024年から2025年にかけても名古屋市は転入超過を維持しています。この傾向はリニア中央新幹線の開業予定や再開発によって雇用が増えるという期待が背景にあります。
名古屋の賃貸市場は単身者比率が高いことが特徴です。市の統計では単身世帯が全世帯の47%を占め、ワンルームや1LDKの需要が底堅いとわかります。家賃は東京より低く大阪と同程度で、利回りが相対的に高い点が投資家を引きつけます。つまり需要安定と利回りの両面でバランスが取れた都市と言えるでしょう。
一方で物件価格は2020年以降緩やかに上昇しています。名古屋駅周辺の分譲マンション平均坪単価は2025年上期で約340万円と、5年間で約15%上がりました。ただし東区や緑区など郊外の上昇率は5%前後にとどまり、エリア格差が広がっています。この差を理解して投資戦略を練ることが成果の分かれ目になります。
エリア別の特徴と将来性

ポイントは、エリアごとに需要層と将来性が異なる点です。名古屋駅周辺は再開発が進み、IT企業や外資系のオフィスが集まるビジネスエリアです。駅徒歩5分圏であれば家賃15万円以上の高品質賃貸が動く一方、購入価格も高水準になります。
栄・伏見エリアは商業施設とオフィスが融合し、20〜30代の単身者が夜間人口を支えています。築浅ワンルームの平均家賃は8万円前後で、空室率も名古屋市平均の5.4%より低めです。短期でキャッシュフローを取りたい場合には有力候補になります。
さらに注目されるのが東山線沿線の千種区、名東区です。地下鉄で栄まで15分圏内ながら閑静な住宅街が広がり、ファミリー層と学生が混在します。国立大学や医療施設が近く、長期入居が期待できるため、築年数の経過した2LDK物件でも安定収益を得やすいのが特徴です。
郊外では守山区や豊山町が物流拠点の拡大で注目されています。2025年に稼働した新たな大型倉庫群により、法人契約の需要が増えました。物件価格は中心部の6割程度で、利回りを重視する投資家には魅力があります。ただし人口増加が限定的なため、出口戦略として売却期間を長めに想定する必要があります。
名古屋で有利な投資戦略
実は名古屋では「中規模マンション一棟投資」と「駅近区分ワンルーム投資」の二極化が進んでいます。どちらが優位かは資金力と運営方針で変わりますが、共通して求められるのはキャッシュフローの安定性です。
中規模マンションの場合、10〜20戸程度のRC造を狙えば修繕コストを抑えつつ、管理効率を高められます。名古屋市内の築25年RC造は坪単価120万円前後で取得でき、表面利回りは8%近くがまだ存在します。家賃下落が緩やかなエリアを選べば、実質利回り6%台を確保しやすい点が魅力です。
一方、駅近ワンルームは初期投資を抑えたい初心者に適しています。2025年現在、地下鉄「丸の内」駅徒歩5分の築浅区分で価格1800万円、家賃8.5万円の事例があり、管理費や修繕積立金を差し引いても実質利回り4.5%前後が見込めます。単身者向けの需要が安定しているため、空室期間は平均1か月程度に収まっています。
重要なのは、物件種別に応じて融資条件が変わる点です。一棟案件は金融機関の評価が積算や収益還元の両面で行われ、自己資金2〜3割を求められるケースが一般的です。区分の場合は自己資金1割でも承認が出やすく、年収600万円以上であれば地方銀行の金利1.8%台を引き出せる例もあります。この金利差がキャッシュフローを左右します。
物件選びで失敗しないチェックポイント
まず押さえておきたいのは「実勢家賃と賃料査定を分けて考える」ことです。募集家賃は高めに設定されがちですが、成約家賃が2割下がることも珍しくありません。周辺の成約事例を3件以上確認し、保守的な想定で収支を組むことが欠かせません。
また、名古屋では地下鉄と名鉄・JRの2路線アクセスが評価を高めます。例えば金山駅周辺の物件は終電時間が遅いため、医療従事者や夜間勤務の需要が途切れません。交通の複線化は空室リスクの低減に直結します。
築年数にも注意が必要です。今後、大規模修繕の周期を迎える1990年代築のRCマンションが一気に市場に出てきます。修繕履歴が未整備の物件は購入価格が割安でも、外壁改修や給排水管更新で1000万円単位の費用が発生する場合があります。長期の運営計画を作る際には、修繕積立金の残高と今後の予定を確認することが重要です。
最後に、管理会社の体制を軽視するとトラブルが増えます。名古屋では家主と管理会社の契約を2年更新とするケースが多く、更新時に管理料引き上げの提案を受けることがあります。契約時に管理料、解約手数料、広告料率の上限を明確に定めることで、利益が圧迫される事態を防げます。
2025年度の税制・融資最新情報
ポイントは、2025年度も不動産投資に活用できる減価償却と固定資産税の特例措置が継続していることです。中古RC造の場合、法定耐用年数47年から経過年数を差し引いて短縮した償却が使えるため、5〜10年で大きく節税できる余地があります。会計とキャッシュフローの差を理解し、税引後利益を最大化しましょう。
融資環境では、地銀と信用金庫が名古屋市内の中古一棟物件に対し、最長25年・金利1.9%前後の融資を提供しています。2025年10月の日銀政策変更後も、長期プライムレートは小幅上昇にとどまり、金利は歴史的低水準を維持しています。この環境を活かし、長期固定で資金調達する戦略が有効です。
さらに2025年度は「住宅省エネ2025支援事業」が投資用共同住宅にも一部適用されます。外壁断熱や高効率給湯器の導入費用に対し、1戸当たり最大30万円の補助が受けられる仕組みで、交付申請は2026年3月末までです。採択には事前に登録施工業者の見積もりが必要となるため、早めに準備を進めましょう。
ただし補助金目当てで過剰なリフォームを行うと収支が悪化します。補助対象範囲を確認し、家賃アップにつながる工事だけを選定する姿勢が大切です。税理士や施工会社と連携し、投資効率を総合的に判断しましょう。
まとめ
名古屋は人口の流入と再開発によって、今後も安定した賃貸需要が期待できます。エリアによって需要層や利回りが大きく異なるため、市場データを基に物件種別と戦略を選び分けることが成功の鍵です。結論として、需要が集中する駅近エリアであれば区分投資から始めやすく、キャッシュフロー重視なら郊外の一棟物件も有力候補になります。この記事を参考に、自分の資金計画とリスク許容度を整理し、具体的な物件調査を進めてみてください。
参考文献・出典
- 名古屋市 総務局統計課 – https://www.city.nagoya.jp/toukei/
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp/
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/
- 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 – https://www.j-reform.com/
- 日本銀行 金融システムレポート – https://www.boj.or.jp/