不動産の税金

RC造 リスクを正しく知り長期安定収益を得る方法

RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションは丈夫で資産価値が高いとよく聞きます。しかし「頑丈だから安心」とだけ考えて購入すると、後から修繕費の急増や出口戦略の難しさに直面しかねません。本記事では、RC造 リスクを構造面・収益面・資金面の三方向から整理し、初心者でも実行できる対策を具体的に示します。読み終えるころには、物件選びの視点が一段深まり、長期にわたり安定したキャッシュフローを得るための道筋が見えてくるはずです。

RC造でも「万能」ではないと知ることが第一歩

RC造でも「万能」ではないと知ることが第一歩のイメージ

重要なのは、RC造が木造より強いという事実と、その裏に隠れたコストの大きさを同時に理解することです。

RC造は鉄筋とコンクリートを一体化させた構造で、耐震・耐火性能が高い点が大きな利点になります。国土交通省の2018年耐震診断データでは、旧耐震基準のRC造であっても倒壊リスクは木造の半分以下と示されました。一方、建物が重く地盤負荷が大きいので、地盤改良費や杭工事費が木造の1.3倍前後になる傾向があります。この初期コストの差は融資額増加を通じて金利負担を長期化させるため、計画段階で精査が欠かせません。

さらに、RC造は減価償却期間が47年と長く、税務上の経費計上幅が木造より狭くなりがちです。キャッシュフロー計算に当たっては、手残りが伸び悩む数年間をどう乗り切るかが要となります。つまり、構造上の強みだけでなく、長い償却と資金負担の重さを一体で捉える視点が不可欠です。

空室リスクと家賃下落の実態を数字でつかむ

空室リスクと家賃下落の実態を数字でつかむのイメージ

ポイントは、RC造でも立地を誤れば空室率は木造と大差がないという事実です。

不動産研究所の2025年賃貸住宅市況レポートでは、築25年のRC造ワンルームの平均空室率は都心5区で4.8%、郊外30km圏で13.2%と大きく開きました。構造が同じでもエリアの人口動態が家賃と稼働率を左右する典型例です。実際に筆者がサポートした投資家の例では、埼玉県郊外駅徒歩15分のRC造物件が築30年で家賃を年間5%下げても空室が埋まらず、想定利回りは8%から4.5%へ低下しました。

家賃保証(サブリース)を利用すれば空室リスクを移転できますが、2025年12月時点の大手サブリース平均手数料は家賃の10〜15%です。加えて契約更新時に保証賃料の改定が入るため、長期的には自主管理との差が拡大する傾向にあります。空室対策としては、エリアの再開発計画や大学移転計画など将来人口の変動要因を調べ、複数年の家賃推移を保守的にシミュレーションすることが欠かせません。

修繕費と長期メンテナンスに潜む落とし穴

まず押さえておきたいのは、RC造は表面の劣化が見えにくく、修繕タイミングが後ろ倒しになりやすい点です。

コンクリートは内部に水分が浸入すると鉄筋が腐食し、爆裂と呼ばれる剥離が広がります。国交省の長期修繕計画ガイドライン(2025年度改訂版)によると、築30年時点での大規模修繕費用は延べ床1㎡あたり平均1.2万円とされています。30戸規模で延べ床2000㎡なら約2400万円が目安ですが、外壁タイル張りだとプラス20%かかるケースもあり、甘い見積もりは禁物です。

修繕積立金が不足している中古物件を取得する場合、購入後すぐに一時金徴収や借入で補填する必要が生じます。この負担はキャッシュフローを直接圧迫するため、購入前に管理組合の長期修繕計画と積立金残高を必ずチェックしてください。言い換えると、表面利回りに惑わされず、将来発生する大規模修繕の原価を現在価値に割り戻して判断する姿勢が、RC造投資の生命線となります。

災害・環境リスクと保険で守る発想

実は、RC造だから火災保険料が安いという点だけで安心するのは早計です。

確かに耐火性能が高いため、2025年度火災保険料率では木造の約70%に抑えられます。しかし重い構造ゆえ地震時の揺れが大きく、柱や梁のクラック補修費が上昇する傾向が指摘されています。気象庁の2024年地震動予測地図によれば、関東南部は今後30年で震度6弱以上の確率が70%以上と高く、地震保険の付帯は欠かせません。

また、RC造は防音性を評価されますが、最近問題化している内装材のホルムアルデヒド放散や、給水管の赤錆被害は構造に関係なく発生します。入居者トラブルを防ぐには、定期的な空気環境測定や給水管更生工法の採用を計画に織り込むことが重要です。こうした環境リスクは保険でカバーしきれない部分が大きいため、購入時点での調査と改修計画がリターンを守る鍵になります。

金利上昇と出口戦略をセットで考える

ポイントは、長い耐用年数を逆手に取り、売却までのシナリオを初日から描くことです。

日本銀行は2025年4月にマイナス金利を解除し、長期金利の上昇が続いています。仮に金利が1%から2%に上がると、残債3000万円・残期間20年の返済額は月1.4万円増え、年間17万円のキャッシュフローが消失します。金利固定への借換えは一案ですが、期間を短くすると月返済額が急増するため、金利と期間のバランスを見極める必要があります。

出口戦略としては、築25年までに売却し、次の買い手が残り22年の減価償却を利用できる状態を狙う方法が有効です。この時期なら修繕費の累積も限定的で、利回り重視の投資家にとって魅力が残ります。将来の売却価格を保つためには、共用部の美観と収益実績を維持し、「管理が行き届いた物件」という市場評価を獲得しておくことが欠かせません。言い換えると、購入時点で出口価格を想定し、毎年の資金繰りと修繕計画をリンクさせることが、RC造 リスクを抑える最短ルートになるのです。

まとめ

本記事では、RC造 リスクを構造コスト、空室と家賃、修繕計画、災害・環境、金利と出口の五つの視点で整理しました。頑丈で長寿命という強みの裏に、初期費用の高さや長期修繕の重さが潜む点を忘れてはいけません。まずは物件取得前に長期シミュレーションを行い、将来の大規模修繕や金利上昇まで織り込んだキャッシュフロー表を作りましょう。そのうえで、立地選定と管理体制を磨けば、RC造でも安定収益を得ることは十分可能です。あなたの投資が堅実に育つよう、本記事のチェックポイントを今すぐ行動に移してみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅・建築物耐震改修促進事業データ – https://www.mlit.go.jp
  • 不動産研究所 2025年賃貸住宅市況レポート – https://www.reinet.or.jp
  • 日本銀行 金融システムレポート2025年版 – https://www.boj.or.jp
  • 気象庁 地震動予測地図2024年版 – https://www.jma.go.jp
  • 国土交通省 長期修繕計画ガイドライン2025年度改訂版 – https://www.mlit.go.jp

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