不動産投資を始めると、「高くてもRC造なら節税に有利らしい」と耳にするものの、仕組みが分からず踏み出せない方が多いはずです。税金対策は難しく感じますが、ポイントを押さえれば専門家でなくても理解できます。本記事ではRC造の基本から減価償却の具体的な計算、2025年度の最新税制までを解説し、初心者でも無理なく節税メリットを享受できる方法を提案します。最後まで読むことで、物件選びと資金計画の判断軸が明確になり、将来のキャッシュフローに自信を持てるようになるでしょう。
RC造が節税に有利と言われる理由

まず押さえておきたいのは、RC造が木造や軽量鉄骨造に比べて税金面で優位とされる根拠です。建物価格が高くなるにもかかわらず投資家が選ぶのは、長期的な減価償却費の高さが所得税や住民税を圧縮し、手元資金を厚くする効果が期待できるからです。
RC造(鉄筋コンクリート造)は耐火性能と強度が高い分、法定耐用年数も47年と長く設定されています。国税庁の「減価償却資産の耐用年数表」によると木造は22年、軽量鉄骨造は27年で、数字だけ見るとRC造の償却期間は伸びるため一見不利に見えるかもしれません。しかし、建物価格が大きいほど年間の減価償却費も増えるため、所得税計算上の経費が積み上がり、実効税率が高い投資家ほどメリットが大きくなります。
実は銀行融資でもRC造は評価が高い傾向にあります。耐用年数が長いことは担保価値の維持につながり、返済期間を物件の寿命に合わせて長く取れるため、毎月の返済額が抑えられます。つまり、節税だけでなくキャッシュフロー改善に二重の効果が期待できるのです。
減価償却の仕組みとRC造の耐用年数

重要なのは、減価償却が「支出を伴わない経費」である点です。購入後に実際のお金が出ていかなくても、帳簿上は費用として計上できるため、課税所得を圧縮できます。RC造の場合、耐用年数47年を定額法で按分すると、建物価格の約2.13%が毎年の償却費になります。
例えば、建物価格1億円(建物評価70%、土地評価30%)のRC造マンションを購入したケースを考えましょう。年間償却費はおよそ213万円になります。所得税と住民税の合計実効税率が40%の投資家なら、単純計算で約85万円の税負担が軽くなります。減価償却は複数年にわたり効果が続くため、長期保有戦略と相性が良いのが特徴です。
一方で、短期での売却を計画する場合は注意が必要です。減価償却を進めるほど帳簿上の建物価格は下がるため、譲渡所得計算時に売却益が膨らむリスクがあります。したがって、RC造 節税の恩恵を最大化するには、10年以上の保有を前提とする中長期視点が欠かせません。
キャッシュフロー改善のポイント
ポイントは、節税効果を単なる「紙の上の利益」ではなく、真のキャッシュフロー向上につなげることです。減価償却によって税負担を抑えた分を、修繕積立や繰上返済に回すことで、手残り資金の安定度が高まります。
さらに、RC造は大規模修繕のサイクルが12〜15年ごとと言われ、外壁や屋上防水の耐用年数も長い傾向があります。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、適切な積立額として平米当たり毎月200〜250円が目安と示されています。減価償却で生まれたキャッシュを修繕準備金に回せば、急な出費に備えつつ利回りを維持できます。
また、金融機関選びもキャッシュフローに直結します。日本銀行の統計によると、2025年12月時点の住宅ローン固定金利は1.3%前後で推移し、RC造向けアパートローンでは1.5〜2.0%台が一般的です。金利0.3%の差でも年間返済額は数十万円変わるため、複数行でシミュレーションし、金利だけでなく融資期間・団信コストも総合的に比較すると良いでしょう。
2025年度の税制と最新の注意点
まず押さえておきたいのは、2025年度の税制改正において、不動産所得に関する大幅な変更は発表されていない点です。減価償却の計算方法や耐用年数は従来どおりで、RC造 節税の基本戦略は有効です。ただし、青色申告特別控除65万円を適用するには、電子帳簿保存法に準拠したデータ保存とe-Taxによる申告が必須になっています。
電子帳簿保存法は2024年に猶予措置が終了し、2025年1月以降は要件を満たさない場合、控除額が55万円に下がる可能性があります。節税額を守るためには、クラウド会計ソフトで領収書をスキャンし、タイムスタンプを付与するなどの体制整備が欠かせません。
また、2025年度も固定資産税の負担調整措置が継続しており、新築RC造マンションは3年間、課税標準額が2分の1になります。これにより、新築取得直後のキャッシュフローはさらに向上しますが、4年目以降に税額が跳ね上がる点をシミュレーションに織り込むことが大切です。
節税効果を最大化する実践ステップ
実践的な流れを整理すると、まず高所得者層はRC造物件の建物割合を適正に高めることが鍵です。建物割合を70〜80%に設定できれば、減価償却費を十分に確保できます。ただし、国税庁の通達に沿い、不自然に高い割合は認められないため、鑑定評価書を利用して説明責任を果たす姿勢が求められます。
次に、購入前シミュレーションでは保守的に空室率15%、金利上昇1.5%、修繕積立増額シナリオを組み込みます。これでもキャッシュフローが黒字を維持できるなら、実際の運用はより安定すると考えられます。加えて、節税で浮いた資金を毎年30〜50万円ずつ繰上返済すれば、10年後の残債は数百万円単位で縮小し、出口戦略の選択肢が広がります。
最後に、不動産所得と給与所得の損益通算を適切に行うことがRC造 節税の集大成です。国税庁統計によると、年収900万円超の世帯では実効税率が33%を超える場合が多いため、損益通算による節税インパクトは大きくなります。税理士に丸投げせず、毎年の確定申告で数字の動きを把握することで、次の投資判断にも生きたデータが活用できるでしょう。
まとめ
本記事では、RC造が節税に強いと言われる背景、減価償却の具体的なインパクト、2025年度の最新税制までを整理しました。結論として、長期保有を前提に減価償却を最大限活用し、その効果をキャッシュフローと修繕計画に結び付けることが成功の鍵になります。電子帳簿保存体制の整備や金利交渉といった実務も忘れず、数字に基づくシミュレーションを続けていけば、RC造 節税のメリットを着実に享受できるはずです。今日から行動を始め、将来の安心につなげてください。
参考文献・出典
- 国税庁 – https://www.nta.go.jp
- 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局「住宅・土地統計調査」 – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行「金融経済統計月報」 – https://www.boj.or.jp
- 不動産経済研究所「マンション市場動向」 – https://www.fudousankeizai.co.jp