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築30年以上の物件投資を成功させる始め方――初めてでも失敗しない5つのステップ

築30年以上の物件に興味はあるけれど、「老朽化でトラブルが多そう」「入居者が集まるのか不安」と迷っていませんか。実は築古物件は購入価格が抑えられるため、適切なリフォームと運営を行えば高い利回りを狙えます。本記事では、初心者でも理解しやすいように、物件選びからリフォーム、資金計画、税制優遇までを体系的に解説します。読み終えるころには「築30年以上 始め方」の具体的な道筋が見え、行動に移すための準備が整うはずです。

築古物件でも稼げる仕組みを理解する

築古物件でも稼げる仕組みを理解するのイメージ

まず押さえておきたいのは、築30年以上の物件がなぜ投資対象になるのかという根本的な理由です。新築や築浅と比べて購入価格が低い一方、家賃は市場相場に大きく引きずられないため、利回りが高くなる傾向があります。つまり、キャッシュフロー(手取り収入)を重視する投資家にとって魅力的なのです。

加えて、日本の会計ルールでは木造住宅なら22年、鉄骨造なら34年で法定耐用年数が終わります。築30年以上であれば建物価値はほぼゼロとみなされ、減価償却費を短期間で多く計上できる点が大きなメリットです。減価償却とは、建物の価値を年数に分けて経費計上する仕組みで、課税所得を圧縮できます。例えば、購入価格1,000万円の木造戸建てを最短4年で償却すると、年間250万円の経費を計上でき、所得税・住民税を大幅に抑えられます。

一方で、修繕リスクや空室リスクが高まることは事実です。しかし、国土交通省「住宅市場動向調査2024」によると、リノベーション済みの築古物件の入居期間は平均5.9年で、築浅と大差ありません。要は適切な工事と管理が行われていれば、築年数だけで敬遠される時代ではなくなっています。

物件探しで失敗しないチェックポイント

物件探しで失敗しないチェックポイントのイメージ

重要なのは、築年数よりも立地と建物の基本性能を見極めることです。最寄り駅から徒歩10分以内か、周辺にスーパーや病院があるかなど、生活利便性が高いエリアを選ぶことで空室リスクは大幅に下げられます。さらに、役所で取得できる「建築確認台帳記載事項証明書」を取り寄せ、増改築履歴や構造を確認しておくと安心です。

内見では、屋根と基礎・配管の劣化状態を重点的にチェックします。雨漏り跡があれば屋根の葺き替え費用が想定されますし、鉄骨造ならサビや腐食の度合いを確認しましょう。最近はサーモカメラを使ったインスペクション(建物診断)サービスも一般的で、費用は5万円前後が相場です。この費用を惜しまないことが、後々の大規模修繕を未然に防ぐ鍵になります。

なお、再建築不可物件は価格が安い反面、将来の出口戦略が限られるため初心者には不向きです。幅員4メートル未満の道路に面している場合は、再建築に制限がかかる可能性があるので、法務局の公図や役所の道路台帳で事前に確認してください。

リフォーム費用と資金計画の立て方

ポイントは、借り手が重視する部分にだけメリハリ投資することです。国土交通省「賃貸住宅市場ニーズ調査2025」によれば、入居者が最も重視する設備は「独立洗面台」「高速インターネット」「セキュリティ」の順でした。築30年以上の物件でも、この3点を優先的に導入すれば、築年数のハンディを打ち消せます。

資金計画では、本体工事費の20%を予備費として見込むのが経験則です。配管の腐食やシロアリ被害など、解体して初めて分かる追加工事が発生しやすいからです。例えば総工費300万円を想定するなら、60万円を上乗せして360万円で試算しておけば、急な出費に慌てずに済みます。

融資に関しては、築古物件でもリフォーム一体型ローンを提供する地方銀行や信用金庫が増えています。2025年12月時点で確認できる多くの金融機関では、耐用年数超過物件でも最長15年の融資が可能です。金利は1.5%〜2.5%程度が主流ですが、自己資金を2割以上入れると優遇金利が適用されやすくなります。さらに、工事完了後に長期優良住宅化リフォームの認定を受ければ、固定資産税が3年間半額になる特例も受けられます。

収支シミュレーションと出口戦略

実は、築古投資で最も大切なのは購入前のシミュレーション精度です。まず賃料設定を同エリア同グレード物件の中央値で設定し、楽観・標準・悲観の3パターンでキャッシュフローを試算します。空室率は悲観シナリオで20%を想定し、金利は上昇リスクを見込み3%まで織り込むと安全です。

運用中は3つの出口を常に意識しましょう。第一に、5〜7年後にリフォーム実績を含めた収益物件として売却するパターンです。立地が良ければ、表面利回り8%前後でも購入希望者は多い傾向があります。第二に、長期保有して賃料収入を得ながらローン返済を進め、キャッシュフローを最大化する方法。第三に、区分所有なら自己居住用への転換も選択肢です。

2025年においても、不動産クラウドファンディングやマッチングプラットフォームが活発で、個人投資家同士が築古物件を売買しやすい環境が整っています。将来の売却先を複線で用意しておくことが、計画倒れを防ぐポイントです。

2025年度も使える優遇制度と税制

まず知っておきたいのは、2025年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」です。省エネ・耐震改修を行い一定の基準を満たすと、最大250万円の補助を受けられます。申請は工事前に行い、予算に達し次第締め切られるため、着手時期の調整が重要です。

また、所得税の「住宅ローン控除」は原則として自己居住用が対象ですが、賃貸併用住宅として自らも居住する場合、床面積の50%以上を個人居住にあてれば控除を利用できます。築30年以上の木造でも、一定の耐震基準適合証明を取得すれば、控除期間13年・控除率0.7%が適用可能です。

固定資産税の面でも、主要構造部の省エネ改修を行い自治体の認定を受けると、翌年から3年間税額が1/2になる措置(地方税法第349条の3の2)が継続中です。申請期限は工事完了後3か月以内と短いので、リフォーム計画段階で自治体窓口に相談しておくとスムーズです。

さらに、賃貸経営における家賃収入は不動産所得に分類され、給与所得者なら青色申告特別控除65万円を使うことで所得税と住民税を節税できます。電子帳簿保存法に対応したクラウド会計ソフトを活用すれば、複式簿記のハードルは思ったほど高くありません。

まとめ

築30年以上の物件は、低価格で購入できるうえに減価償却や各種補助金を活用できるため、高いキャッシュフローを実現しやすい投資対象です。要は、立地と建物性能を見極め、リフォームに適切な予備費を盛り込み、悲観シナリオでも黒字になる資金計画を立てることが成功の近道になります。まずはインスペクション付きで2件ほど内見し、数字を基にしたシミュレーションを行ってみてください。行動することでしか得られない学びが、あなたを次のステージへ導いてくれるはずです。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅市場動向調査2024 – https://www.mlit.go.jp
  • 国土交通省 賃貸住宅市場ニーズ調査2025 – https://www.mlit.go.jp
  • 総務省 地方税法 – https://elaws.e-gov.go.jp
  • 独立行政法人住宅金融支援機構 住宅ローンデータベース2025 – https://www.jhf.go.jp
  • 中小企業基盤整備機構 建物インスペクション活用ガイド – https://www.smrj.go.jp

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