不動産の税金

RC造 確定申告で節税を成功させる実践ガイド

鉄筋コンクリート造(RC造)の賃貸物件を購入したあと、「確定申告で何をどう処理すればいいのか分からない」と戸惑う投資家は少なくありません。木造とは耐用年数も経費の考え方も違い、放置すると税負担が膨らむリスクがあります。本記事ではRC造特有の減価償却、経費計上のコツ、2025年度の最新ルールまでを丁寧に解説します。読めば青色申告・白色申告を問わず、手続きの流れと節税のヒントが一通りつかめるはずです。

RC造の減価償却を理解する

RC造の減価償却を理解するのイメージ

重要なのは、RC造は法定耐用年数が47年と長く、毎年の減価償却費が木造より小さくなる点です。減価償却費は家賃収入から差し引ける代表的な非現金費用であり、課税所得を圧縮する最大の武器といえます。つまり計算方法を正しく押さえるだけで、手取りキャッシュフローが大きく変わります。

まず新築RC物件なら、「取得価額 × 定額法 1/47」を基本に毎年均等に費用化します。一方で中古物件の場合は残存耐用年数を算定し直せます。具体的には「(47年-経過年数)+経過年数×20%」で計算し、最短でも法定耐用年数の20%まで短縮可能です。築30年の中古RCなら残存耐用年数は「(47-30)+30×0.2=23年」となり、減価償却費は新築時の約2倍に増える計算です。

さらに2025年度の税制では、RC造の減価償却方法は従来どおり定額法のみ選択可能です。途中で定率法へ変更はできないので、購入前から長期の損益予測を作り、返済計画と合わせて確認しましょう。

経費として落とせる費用と落とせない費用

経費として落とせる費用と落とせない費用のイメージ

ポイントは、「家賃収入を得るために直接必要かどうか」で経費計上の可否が決まることです。RC造に特有な費用としては大規模修繕積立金、防水層の点検費、エレベーター保守料などが挙げられます。これらは原則として全額必要経費に計上できますが、耐用年数10年以上の資本的支出に該当すれば減価償却で按分する必要があります。

また火災保険料や地震保険料は契約期間で均等配分する一方、固定資産税は課税年度分を丸ごと当期の経費にできます。RC造は建物価値が高いぶん固定資産税額も大きくなるため、納付書が届いた時点で支払いタイミングと申告区分を整理しておくと安心です。

一方で私用車のガソリン代、家族旅行を兼ねた視察費などは業務関連性を立証できなければ経費にできません。領収書には訪問先や目的をメモし、税務調査に備えて証拠を残す習慣が欠かせません。

2025年度申告時の実務フロー

まず押さえておきたいのは、2025年度からe-Taxのマイナンバーカード方式が原則化され、紙提出の場合でも控用紙の一部が簡略化された点です。電子申告を選ぶと青色申告特別控除65万円を満額で受けられるため、手間を惜しまず導入を検討しましょう。

申告に必要な主な書類は次のとおりです。

  • 青色申告決算書(または収支内訳書)
  • 建物・設備の減価償却資産の明細書
  • ローン年末残高証明書
  • 管理会社の年間収支報告書
  • 固定資産税・都市計画税の課税明細

これらをもとに会計ソフトへ仕訳入力し、家賃収入と各種経費を集計します。RC造は維持費が高額になりやすいので、月次で入力を済ませておくと申告期に慌てません。また青色申告者なら30万円未満の修繕は「少額減価償却資産の特例」で一括経費化できるため、小規模な配管工事などは金額を確認してから処理を決めると節税効果が高まります。

よくある失敗とその回避策

実はRC造オーナーの相談で多いのが、「減価償却費を計上し忘れたまま期限後申告をして追加税を負担した」というケースです。申告漏れが発覚すると、過少申告加算税10%から15%が課されるため、最初から税理士へ確認するか、国税庁の耐用年数ツールで試算しておくことが大切です。

もう一つの落とし穴は資本的支出と修繕費の区分ミスです。たとえば外壁タイルの全面貼り替えは資本的支出になりやすく、修繕費として一括計上すると否認されるリスクがあります。税務通達では60万円未満またはその年の建物価額の10%未満なら修繕費にできる可能性が高いと示されていますが、金額だけで判断せず工事内容の証拠資料を残しましょう。

最後に融資返済と税金支払いのタイミングを揃えず、資金繰りが逼迫する例も見かけます。特に3月は固定資産税の第1期納付が近づき、ローン返済とも重なるので、キャッシュフロー表で年間の資金移動を見える化しておくと安心です。

まとめ

今回取り上げたRC造の確定申告は、減価償却ルールと経費区分を押さえれば難易度は一気に下がります。結論として、購入前に耐用年数から損益を試算し、月次で帳簿を付ける習慣こそが最大の節税対策です。この記事を参考に手続きを前倒しで進め、2025年度申告をストレスなく乗り切りましょう。

参考文献・出典

  • 国税庁 – https://www.nta.go.jp
  • 国土交通省 不動産市場統計 – https://www.mlit.go.jp
  • 総務省統計局 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
  • e-Tax(国税電子申告・納税システム) – https://www.e-tax.nta.go.jp
  • 日本銀行 金融経済統計月報 – https://www.boj.or.jp

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