不動産の税金

築古 建築費を味方にする投資術―高騰時代の賢い物件再生

不動産投資を始めたいけれど、物件価格の高騰が気になる方は多いでしょう。特に新築は建築費が上がり続け、手が届きにくい状況です。そこで注目されるのが築古物件への投資です。しかし築古 建築費とリフォーム費用の見極め方が難しいと感じるかもしれません。本記事では、2025年時点の最新データを踏まえ、築古投資のメリットと費用管理のコツを丁寧に解説します。

築古物件が投資で注目される理由

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重要なのは、築古物件が高利回りを狙える理由を正しく理解することです。ここでは需要動向と価格差に注目して解説します。

新築マンションの平均分譲価格は、国土交通省の統計で過去5年間に約15%上昇しました。一方、同じエリアの築30年超の中古マンション価格は横ばいか微減にとどまっています。売買価格と家賃の差が開くため、利回り計算では築古が有利になることが多いのです。空室リスクが高いと誤解されがちですが、立地と管理を押さえれば安定稼働が期待できます。

また、都市部では新築供給が規制や土地不足で限定的になっています。その結果、築古の再生物件が若年層の賃貸需要を取り込むケースが増えました。リノベーションでデザイン性を高めると、築年数の古さを感じさせずに賃料を維持できます。つまり築年数よりも「住み心地」を重視する入居者が増えているのです。

ただし古い建物特有の耐震性や設備老朽化の課題は無視できません。投資家は購入前にインスペクション(建物状況調査)を実施し、修繕計画を数値で把握する必要があります。後述する支援制度や減価償却の活用でキャッシュフローを安定させることが鍵となります。

建築費高騰の現状と築古への影響

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実は、資材価格と人件費の上昇が建築費を押し上げ、築古物件の相対的な魅力を高めています。ここでは具体的なコスト推移を整理し、投資判断に役立つ視点を示します。

日本建設業連合会の資料によると、2020年から2025年までの木材価格は約25%上昇しました。鉄筋やコンクリートも同期間で18%前後値上がりしています。新築工事は資材比率が高いため、総工費が大きく跳ね上がりました。その結果、同じ延床面積でも築古と新築の取得総額差は拡大傾向にあります。

さらに、技能労働者の高齢化に伴う人件費上昇も顕著です。国土交通省「建設労働需給調査」では、2025年の職人日当は平均で約16,000円と5年前より2割増となりました。人件費はリフォームにも影響しますが、工程を最適化することで吸収可能です。具体的には設備交換を同時進行させ、待機時間を削減するといった工夫が挙げられます。

一方で築古物件は骨組みが既に存在するため、新築ほど資材高騰の直接的な打撃を受けません。ただし、旧耐震基準の物件では補強工事に鉄骨を多用する場合があり、コストが増える点に注意が必要です。こうした要素を踏まえて、購入時に建築コスト上昇リスクを折り込んだシミュレーションを作成しましょう。

リノベーション費用を抑えるポイント

まず押さえておきたいのは、費用をかける箇所と抑える箇所を明確に分けることです。小規模な工夫で入居者満足度を高める方法を紹介します。

水回りは入居希望者が最もチェックするポイントで、築古物件では劣化が目立ちやすい場所です。キッチンや浴室の交換だけで、内見時の印象は大きく向上します。一方、構造に関係しない内装は低コスト素材でもデザイン性を高めれば評価されます。具体的にはフロアタイルとアクセントクロスを組み合わせ、工期を短縮する手法が定番です。

建材選びでは、国産材への切り替えで輸入コストを下げる動きが広がっています。2025年現在、自治体によっては地域産材利用に対する補助金を設定するケースもあります。ただし、制度は市区町村ごとに異なるため、事前に窓口で確認することが重要です。補助が受けられれば、同じ予算でグレードを上げることも可能になります。

リノベーション一括提案サービスを活用すると、複数業者の見積もりを比較しやすくなります。プラットフォーム経由で成約すると手数料が下がるキャンペーンもあり、追加のコスト削減が期待できます。見積もりの内訳を精査し、解体費や輸送費といった見落としやすい項目に目を配りましょう。

2025年度の支援制度と税制優遇

ポイントは、国の補助金と税制を組み合わせ、実質的な建築費負担を軽減することです。有効期限や適用条件を確認したうえで計画に組み込みましょう。

2025年度の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、耐震と省エネ改修を対象とします。条件を満たせば、工事費の三分の一以内で最大250万円が補助されます。築古物件で基本性能を高める際、利用価値が高い制度です。申請は工事前に事業者が行うため、早めに相談するとスムーズです。

固定資産税については、2025年度も「住宅耐震改修減税」が継続されています。昭和57年以前の旧耐震物件を改修した場合、翌年度の税額が半額になる措置です。減税を受けるには、適合証明書を市区町村に提出する手続きが必要になります。これらの優遇策を活用すれば、実質利回りを1〜2ポイント引き上げる効果も期待できます。

併せて、中小企業経営強化税制の対象設備を導入すると即時償却が選択できます。例えば高効率給湯器や太陽光発電は賃料アップと税負担軽減の両方に寄与します。ただし、2025年3月末着工分までなど期限付きの項目があるため、スケジュール管理が欠かせません。

シミュレーションで見る収益の伸ばし方

実際の数字で効果を確認すると、築古 建築費が収益に与える影響を具体的に把握できます。ここではモデルケースを用いて計算過程を示します。

想定物件は都心近郊、築35年、価格1,800万円、専有面積40㎡とします。表面利回り8%を目指し、家賃は月12万円に設定します。新築同規模物件の取得費は2,600万円で、表面利回りは5.5%が相場です。この取得費差が投資効率の大きな起点になります。

リノベーション費用として300万円を投じ、耐震補強と水回り一新を行う計画とします。補助金150万円が採択される場合、実質負担は150万円に圧縮されます。減価償却は定額法で4年間、年間75万円を経費計上できます。この結果、課税所得が下がり、年間手取りキャッシュフローは約20万円上積みとなります。

さらに家賃上昇率1%、空室率10%という保守的シナリオを設定します。計算の結果、10年間の累計キャッシュフローは新築取得モデルより約250万円高くなりました。つまり費用対効果を定量化することで、築古投資がいかに優位かを確認できます。

まとめ

ここまで築古 建築費とリノベーション費用のバランスを解説しました。資材高騰で新築価格が上がるほど、築古の利回りは相対的に光ります。ただし耐震性や設備老朽化の確認を怠ると、想定外の支出が発生します。補助金と減税を上手に組み合わせ、実質負担を抑えながら物件価値を底上げしましょう。数字で検証しながら行動に移せば、安定したキャッシュフローを長期的に享受できます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅市場動向調査 – https://www.mlit.go.jp
  • 国土交通省 建設労働需給調査 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本建設業連合会 資材価格動向 – https://www.nikkenren.com
  • 総務省 固定資産税関連情報 – https://www.soumu.go.jp
  • 住宅金融支援機構 住宅リフォームガイド – https://www.jhf.go.jp
  • 環境省 再エネ・省エネ補助事業 – https://www.env.go.jp

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