不動産の税金

不動産投資 始め方 東京 完全ロードマップ

東京で不動産投資を始めたいと思っても、「物件価格が高い」「競争が激しい」といった不安が先に立つかもしれません。実は、ポイントを押さえて準備を進めれば、初心者でも安定した家賃収入を得る道は十分に開けます。本記事では、東京特有の市場動向から物件選び、資金計画、2025年度の制度活用までを体系的に解説します。読み終えた頃には、自分に合った投資ステップが具体的にイメージできるはずです。

東京市場の特徴を正しくつかむ

東京市場の特徴を正しくつかむのイメージ

まず押さえておきたいのは、東京の賃貸需要が全国の中でも突出して安定している点です。総務省「住民基本台帳人口移動報告」によると、2024年度の東京都転入超過数は約8万人で、5年連続のプラスを維持しています。つまり人口流入が続くかぎり、賃貸住宅のニーズは底堅いままです。

一方で、物件価格は都心部を中心に上昇傾向が続き、国土交通省の「不動産価格指数(住宅)」によれば、23区マンション価格は2020年比で約15%上昇しました。価格が高い分、自己資金を厚めに確保するか、郊外の再開発エリアを狙う戦略が必要です。

さらに、東京はエリアごとに賃料水準が大きく異なります。たとえば2025年4月時点の不動産研究所データでは、千代田区の平均賃料は坪当たり約20,000円、八王子市は約9,000円と2倍以上の差があります。この差を理解し、実際の家賃収入で返済が賄えるかを確認することが重要です。

最後に、インバウンド需要の回復で民泊物件も注目されています。ただし、旅館業法の許可取得や近隣トラブル回避など課題が多く、初心者が取り組む場合は管理会社のサポート体制を検討しましょう。

物件タイプとエリア戦略の組み立て方

物件タイプとエリア戦略の組み立て方のイメージ

ポイントは、自分の投資目的と予算に合わせて物件タイプを選ぶことです。ワンルームマンションは購入価格を抑えやすく、単身世帯比率が高い都心部で高い稼働率が期待できます。実例として、品川区の築10年ワンルーム(20㎡)は2,000万円台後半で流通しており、月8万円前後の賃料が見込めます。

一方で、ファミリー向け区分マンションは空室期間が長引きやすいものの、入居者が長期化する傾向があります。江戸川区の3LDK(65㎡)は築20年で3,500万円前後、賃料は月13万円前後です。家賃単価は下がりますが、入退去コストを抑えられる可能性があります。

また、2025年に開業予定の鉄道新線や再開発エリア周辺は、将来的な地価上昇と賃料増加が見込めます。国交省「都市再生特別地区」の資料でも、品川・田町周辺は再開発による就業人口増が示されています。こうしたエリアを早めに押さえることで、キャピタルゲイン(値上がり益)も狙えます。

つまり、都心の安定か郊外の成長性かを比較し、リスク許容度に応じてバランスを取ることが成功への近道です。

資金計画と融資の進め方

重要なのは、物件選びと同時に融資条件を固めることです。都内物件は価格が高いため、金融機関との交渉結果が収益性を大きく左右します。自己資金は物件価格の20〜30%を目安に用意すると、金利優遇を引き出しやすくなります。

みずほ銀行の投資用ローンでは、2025年9月時点で変動金利年1.8%前後が一般的です。金利が0.3%上がると、3,000万円借入・30年返済で総支払額は約160万円増えます。金利交渉の重要性がよくわかる数字です。

返済比率(年間返済額 ÷ 年間家賃収入)は50%以下を目標に設定しましょう。空室が発生してもキャッシュフローが黒字であれば、長期的に安定運用が可能です。空室率を15%としたシミュレーションでも黒字なら、家賃下落局面にも耐えられる設計と言えます。

さらに、諸費用として仲介手数料、登記費用、火災保険料が物件価格の6〜8%程度かかります。加えて、突発的な修繕費を見込んで最低100万円の予備資金を別口座に確保しておくと安心です。

運用開始後の管理とリスク対応

まず押さえておきたいのは、管理の質が長期収益を左右するという点です。自主管理は費用を抑えられますが、入居者対応や賃料滞納リスクを自ら背負うため、初心者には管理会社への委託を推奨します。管理委託料は家賃の3〜5%が相場ですが、24時間対応や家賃保証の有無で選ぶと良いでしょう。

設備トラブルは早期対応が空室防止に直結します。2024年の国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度」改正で、緊急時の一次対応体制が義務化されました。登録事業者を選ぶことで、法令遵守とサービス品質が担保されます。

また、東京都では2025年4月から高齢入居者向けの見守りサービス付き家賃保証商品が普及し始めました。単身高齢者の増加で入居審査が厳しくなる一方、こうしたサービスを導入すると空室対策と社会貢献の両立が可能です。

最後に、地震リスクは常に考慮してください。耐震基準は1981年に大幅改正されましたが、築古物件の場合は大規模修繕や建替え計画の費用負担が発生します。保険加入だけでなく、長期修繕計画の有無を購入前に確認しましょう。

2025年度の制度と税制優遇を活用する

ポイントは、使える優遇策を漏らさず取り込むことです。まず「住宅ローン控除(投資用は対象外)」と混同されがちですが、投資用物件でも減価償却費を計上することで所得税・住民税を圧縮できます。木造アパートなら法定耐用年数22年、RC造マンションなら47年が基本です。

次に、2025年度も継続する「登録免許税の軽減措置」があります。一定条件の中古住宅を取得し、耐震基準適合証明を受けると、所有権移転登記の税率が0.3%から0.1%に下がります。適合証明の取得費用は十数万円ですが、長期保有なら十分に回収可能です。

さらに、新築賃貸住宅を建てる場合、2026年3月入居分まで固定資産税が3年間1/2となる特例が適用されます。東京23区は税額が大きいので、この恩恵は見逃せません。

不動産所得が赤字の場合、給与所得との損益通算が可能です。ただし、国税庁は高額減価償却による節税スキームを重点監視しています。税理士と相談し、適切な償却計算を行うことがリスク回避につながります。

まとめ

この記事では、東京の人口動向と価格トレンド、物件選びの基準、融資交渉のポイント、管理とリスク対応、さらに2025年度の税制優遇までを一気に整理しました。結論として、東京の不動産投資で成功する鍵は「需要の裏付けがあるエリアを選び、慎重な資金計画で長期保有する」ことです。今日得た知識をもとに、まずは資金計画を作成し、気になるエリアの現地調査へ一歩踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 2024年度 – https://www.stat.go.jp
  • 国土交通省 不動産価格指数(住宅) – https://www.mlit.go.jp
  • 不動産研究所 都内賃料推移データ 2025年4月 – https://www.rein.jp
  • 国土交通省 都市再生特別地区 関連資料 – https://www.mlit.go.jp
  • 国税庁 耐用年数表・損益通算の取扱い – https://www.nta.go.jp

関連記事

TOP