広島で収益物件を探しているけれど、地方都市の相場や空室リスクが気になって一歩を踏み出せない——そんな悩みを抱える方は多いでしょう。本記事では、広島の不動産市場の特徴から資金計画、2025年度に利用できる税制まで、初心者でも理解しやすく解説します。読み終えたときには、自分に合った物件の選び方と運用のイメージが具体的につかめるはずです。
広島エリアの不動産市場を読み解く

重要なのは、広島の市場規模と将来性を数字で把握することです。総務省の2024年住宅・土地統計調査によると、広島県の世帯数は約141万世帯で前回調査より微増しています。一方で県全体の空き家率は14.3%と全国平均並みですが、広島市中心部だけを見ると9%台にとどまり、需要の強さが分かります。
まず市内中心部に目を向けると、紙屋町や八丁堀周辺はオフィス需要が安定しており、ワンルーム投資でも表面利回り4〜5%が標準的です。家賃水準は年間でゆるやかな上昇を続けており、2025年7月のレインズデータでは平均坪単価が前年同期比2.1%伸びました。つまり、中心部はキャピタルゲインよりインカムゲイン重視の戦略が合っています。
一方で再開発が進む横川駅エリアや広島駅北口は、分譲マンションの供給が増加傾向です。REITの取得事例もあり、周辺地価は2020年比で約18%上昇しました。将来的な値上がりを狙うなら、これら準中心部でファミリータイプを長期保有する方法が有効です。
郊外の廿日市や呉では物件価格が抑えられる一方、人口減少が避けられません。実は、家賃が下落しても返済比率が低ければ十分に利益を確保できるケースも多く、出口戦略を含めたシミュレーションが欠かせません。
収益性を高めるエリア選定のコツ

ポイントは賃貸需要の質と量を細かく分析することです。広島市の大学生は約6万人で、その半数以上が中区と西区に集中して住んでいます。したがって単身者向け物件なら、徒歩10分圏内に大学や専門学校のキャンパスがある地域が有望です。
さらに、広島電鉄のアクセスを無視するわけにはいきません。同線沿いの古江駅周辺では、築20年以上でも駅徒歩3分以内なら家賃下落率が年1%未満に抑えられています。言い換えると、交通利便性が高い場所は物件の築年数をある程度カバーできるのです。
家賃帯別の需要にも注目です。広島労働局の賃金構造基本統計によれば、20代単身者の平均可処分所得は月16万円前後です。そのため家賃5万円以内のワンルームは常に底堅い需要があり、空室期間は平均28日と短めです。逆に家賃7万円以上の物件は供給過多になりがちなので、差別化として家具付きやネット無料を組み込み、付加価値で埋める工夫が必要になります。
ファミリー向けの場合、教育環境が最大の決め手です。広島市立基町高校の学区内はファミリー賃貸の競争が激しいものの、入居期間が平均6年以上と長く、管理負担を抑えられます。価格が高い分だけ初期投資は膨らみますが、長期的な安定キャッシュフローが期待できます。
購入前に押さえる資金計画と融資動向
まず押さえておきたいのは、2025年現在の融資金利が底打ちからわずかに上昇し始めている点です。日本銀行の金融システムレポート(2025年秋版)では、地方銀行の不動産向け貸出平均金利が1.4%程度と報告されています。固定金利で長期保有を目指すなら、早めに金利を確定させる戦略が合理的です。
自己資金は物件価格の20〜30%を目安にしたいところです。例えば総額3,000万円の一棟アパートを想定すると、諸費用を含めて1,000万円ほど現金を用意すれば、借入比率を抑えつつ融資審査も通りやすくなります。また、修繕費用の積立として購入時に50万円以上を別枠で確保しておくと、不測の空調故障にも柔軟に対応できます。
融資審査で重視されるのは、返済比率と物件の実質利回りです。仮に年間家賃収入が240万円、運営費率を25%とすると、年間のネット収入は180万円になります。このとき年間返済額が120万円以下であれば、返済比率は67%未満となり金融機関の評価が高まります。表面的な利回りだけでなく、固定資産税や管理委託費を差し引いた数字で検証しましょう。
さらに、広島信用金庫をはじめとする地元金融機関では、地域活性化に寄与する物件への融資枠を設けています。担当者と面談し、入居者層や運営計画を具体的に示すことで、金利優遇幅が0.1〜0.2%得られるケースも少なくありません。
運用フェーズで差がつく管理戦略
実は、購入後の運営力が収益の優劣を決める局面が多いものです。入居付けのスピードを左右するのは物件の「初期印象」であり、内覧時の照明と香りだけで平均空室期間が7日短縮するという管理会社の調査もあります。小さな改善が収益に直結するため、購入前に管理会社の提案力を比較する価値は大きいです。
また、2025年4月から義務化されたインボイス制度への対応も見落とせません。管理委託費や修繕費の仕入税額控除を適切に受けるため、課税事業者か免税事業者かを選択し、会計ソフトを早期に導入してください。税理士に丸投げではなく、月次でキャッシュフローを確認する習慣が長期安定の鍵となります。
設備更新のタイミングにも戦略性が求められます。エアコンや給湯器を一斉交換した場合、瞬間的に資金が流出しますが、減価償却で経費計上することで所得税負担を軽減できます。広島市の「空き家活用リフォーム補助金2025」(上限100万円・2026年3月まで)を利用すれば、自己負担を抑えて物件価値を高めることも可能です。
さらに広島電鉄沿線では、スマートロック導入物件の入居決定率が非導入物件より13%高いというデータがあります。スマートホーム化は保守費用の削減だけでなく、若年層への訴求力を高める手段として有効です。
2025年度の税制と支援策を活用する
まず、2025年度の所得税法改正で注目されるのが「住宅省エネ投資促進税制」の延長です。省エネ等級4以上の改修を行った収益物件について、工事費の10%(上限250万円)が税額控除されます。控除期間は2026年末までと設定されているため、早めの計画が望ましいでしょう。
固定資産税についても、耐震改修を行った場合の3年間半額措置が継続されます。広島市の場合、改修後3カ月以内の申請が必要となるので、工事日程と申告スケジュールを連動させることが重要です。
また、国土交通省の「賃貸住宅管理業登録制度」は既に義務化されており、適格な業者に管理を委託すれば、管理委託費が経費として認められます。制度を満たす業者は2025年12月時点で全国に約8,900社、広島県内では約140社です。信頼できる管理会社を選ぶ指標として活用しましょう。
結論として、これらの税制や支援策は期限付きであることが多いため、スケジュールを逆算した投資計画が不可欠です。制度を知らずに工事を後ろへずらすと、想定より実質利回りが下がるリスクがあります。
まとめ
広島 収益物件で安定した成果を得るには、市場データに基づいたエリア選定と、金利動向を踏まえた資金計画が出発点になります。さらに、購入後の管理戦略や2025年度の支援制度を組み合わせることで、想定利回りを1〜2ポイント上乗せすることも十分に可能です。この記事で紹介した視点を実践し、自分の投資スタイルに合う物件を見極めてください。小さな行動の積み重ねが、将来の大きな安定収入につながります。
参考文献・出典
- 総務省統計局 – https://www.stat.go.jp/
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/
- 日本銀行 金融システムレポート – https://www.boj.or.jp/
- レインズ広島版 市場動向レポート – https://www.reins.or.jp/
- 広島県 住宅政策課 空き家対策資料 – https://www.pref.hiroshima.lg.jp/