不動産投資に興味はあるものの、「知識がない自分でも本当に収益を得られるだろうか」と迷っていませんか。実は、物件の選び方と資金計画さえ押さえれば、初心者でも安定したキャッシュフローは十分に狙えます。本記事では「収益物件 初心者 高利回り」をキーワードに、利回りの基礎から物件選定、融資、2025年度に使える制度までを体系的に解説します。読み終えるころには、自分に合った物件を見極める視点と行動ステップが手に入るはずです。
収益物件で狙うべき利回りの目安

まず押さえておきたいのは、利回りの基礎と現実的な水準です。利回りとは、年間家賃収入を物件価格で割った「投資効率」を示す指標で、表面利回りと実質利回りの2種類があります。前者は単純計算ですが、後者は管理費や修繕費などの経費を差し引くため、より実態に近い数字になります。
日本不動産研究所の2025年9月データによると、東京23区の平均表面利回りはワンルームマンション4.2%、ファミリータイプ3.8%、木造アパート5.1%でした。つまり、都心ワンルームで実質5%超を確保できれば高利回りといえます。一方、地方都市の築古アパートでは表面10%以上を掲げる案件もありますが、空室や修繕リスクが跳ね上がる点に注意が必要です。
重要なのは、数字だけでなくリスクとのバランスを取ることです。損益分岐点となる実質利回りを事前に算出し、家賃下落や金利上昇をシミュレーションしておきましょう。初心者の目安としては、実質利回り7%前後を狙いつつ、最悪シナリオでも赤字にならない収支構造を作ることが現実的です。
最後に、利回りは購入価格に大きく左右されるため、指値交渉で1%でも上積みできれば総収益は大幅に変わります。売主の売却動機や近隣取引事例を調べ、適切な価格交渉を試みる姿勢が欠かせません。
初心者が避けたい落とし穴と対策

ポイントは、表面利回りだけを見て飛びつかないことです。特に築古の高利回り物件は、躯体の老朽化や不良入居者問題を抱えているケースが多く、想定外のコストが利益を圧縮します。
まず、建物構造と築年数を冷静に見極めましょう。木造築30年超のアパートは減価償却メリットが大きい一方、屋根や配管の交換費用が数百万円単位で必要になる場合があります。事前に長期修繕計画を立て、購入後5年以内に大規模修繕が発生しないか確認することが大切です。
また、賃貸需要の読み違えにも注意が必要です。郊外駅徒歩20分の単身用マンションが表面9%と聞くと魅力的に映りますが、人口動態を調べると若年層が減少傾向にあり、将来的な空室リスクが高いことも珍しくありません。国勢調査や自治体の人口推計を活用し、10年後の需要を想像する習慣を身につけましょう。
さらに、管理会社選びも収益を左右します。入居付けの速度、家賃滞納の対応、退去時の原状回復コストなど、細かな運営部分で差が出るため、複数社から見積もりと実績を取り寄せて比較することが有効です。ここを怠ると、いくら高利回りでも手元に残るお金は減ってしまいます。
高利回りを生む立地と物件タイプ
実は、高利回りを実現する定番エリアと物件タイプには共通点があります。交通利便性とニッチ需要を同時に満たす場所こそ、初心者が狙いやすい宝庫なのです。
まず、地方中核都市の駅近ワンルームは、転勤族や学生需要が安定しており、表面7%前後が目安になります。特に大学や大規模工場に近いエリアは空室リスクが低く、家賃下落も緩やかです。ただし、新築プレミアムで価格が高止まりしている場合は、築5年程度の中古を検討すると利回りが改善します。
一方、東京都下や神奈川・千葉の快速停車駅から徒歩10分圏内にある木造アパートは、土地値が底堅いわりに表面6〜7%が狙いやすいのが特徴です。将来、建物を解体して更地売却・戸建分譲化できる出口戦略も見込めるため、資産価値の保全という点でメリットがあります。
特需を狙うなら、築浅の民泊専用物件や学生専用マンションも候補になります。ただし、運営には独自の管理ノウハウが求められるため、まずは通常賃貸で経験を積んでから挑戦するほうが安全です。高利回りを追いつつも、自分の経験値と管理リソースに適合した物件タイプを選びましょう。
融資戦略とキャッシュフロー管理
基本的に、融資条件を最適化することで利回り以上の効果が得られます。金利0.5%の差は、30年ローンの場合総返済額で数百万円規模のインパクトを持つからです。
まず、自己資金2〜3割を投入すると、金融機関の金利や融資期間が好条件になる傾向があります。返済比率を抑えられるため、月々のキャッシュフローが安定し、次の物件取得に向けた資金計画も立てやすくなります。
返済方法は、元利均等と元金均等のどちらが良いか悩むところですが、初心者は月々の支払いが一定で計算しやすい元利均等が無難です。そのうえで、繰上返済用の口座を別に用意し、空室リスクが低い時期に集中的に元金を減らすと総利息を圧縮できます。
さらに、収支管理はシステム化しておくと安心です。家賃入金、経費支払、修繕履歴をクラウド会計に連動させることで、青色申告65万円控除の要件である複式簿記にも対応できます。こうした仕組みは、確定申告の手間を減らし、融資審査で資産状況を説明するときにも力を発揮します。
2025年度の制度活用と税メリット
ポイントは、現行制度を漏れなく活用し、実質利回りを底上げすることです。2025年度も住宅ローン控除は自宅向けであるものの、個人がアパートを建てて自己居住部分を設ける「併用住宅」の場合は対象になり得るため、計画次第で節税が可能です。
不動産所得に対しては、青色申告特別控除65万円が引き続き適用されます。複式簿記で帳簿を作成し、期限内に申告すれば、所得税・住民税合計で10万円以上の節税になるケースも珍しくありません。また、新築木造アパートを取得した場合、固定資産税が3年間半額となる措置も2025年度まで継続しています。
法人化を検討するなら、資本金1,000万円未満の合同会社を設立し、消費税免税期間2年間を活用する手もあります。課税売上高が1,000万円を超えない範囲で家賃収入をコントロールすれば、消費税負担を先送りでき、その分を修繕費や繰上返済に回せます。
なお、補助金に関しては大規模リノベーションを行う際に使える国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」が2025年度も継続予定です。対象要件を満たせば最大250万円の補助を受けられ、築古物件でも価値を高めながら利回り向上が期待できます。情報は年度予算成立後に公表される募集要項を必ず確認してください。
まとめ
本記事では、利回りの基礎、水準の目安、リスク回避の視点、立地と物件タイプの選定、融資戦略、そして2025年度に使える制度までを一気に整理しました。結論として、初心者が高利回りを実現する近道は、実質利回り7%を確保できる堅実な物件を選びつつ、融資条件と税制メリットで手残りを最大化することです。まずは気になるエリアの家賃相場と人口動態を調べ、試算表を作るところから始めましょう。行動を積み重ねれば、収益物件は確かな資産づくりのパートナーになります。
参考文献・出典
- 日本不動産研究所 – https://www.reinet.or.jp
- 総務省統計局 国勢調査 – https://www.stat.go.jp/data/kokusei
- 国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku
- 国税庁 青色申告制度 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/blue_return
- 東京都 建物の耐震化に関するデータ – https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo
- 日本政策金融公庫 融資制度 – https://www.jfc.go.jp