不動産投資を始めようと考えたとき、銀行の融資審査に通らず、ノンバンクからの融資を検討している方も多いのではないでしょうか。「ノンバンク融資は金利が高いから危険」という声もあれば、「審査が通りやすくチャンスが広がる」という意見もあり、どちらが正しいのか迷ってしまいますよね。
実は、ノンバンク融資には明確なメリットとデメリットがあり、一概に「やめたほうがいい」とは言い切れません。重要なのは、あなたの状況や投資戦略に合っているかどうかを見極めることです。この記事では、ノンバンク融資の特徴から、銀行融資との違い、利用すべきケースと避けるべきケースまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
ノンバンク融資とは何か?銀行融資との違いを理解する
ノンバンク融資とは、預金業務を行わない金融機関が提供する融資サービスのことです。具体的には、信販会社や消費者金融、不動産投資専門のローン会社などが該当します。これらの機関は銀行のように預金を受け入れることはできませんが、融資業務に特化することで独自のサービスを展開しています。
銀行融資との最も大きな違いは、審査基準と金利水準にあります。銀行は預金者から預かったお金を貸し出すため、リスク管理が厳格で審査も慎重です。一方、ノンバンクは自己資金や他の金融機関からの借入を原資としているため、より柔軟な審査が可能になります。その代わり、資金調達コストが高いことから、融資金利も銀行より高めに設定されています。
審査スピードも大きく異なる点です。銀行では融資実行まで1〜2ヶ月かかることも珍しくありませんが、ノンバンクでは最短1〜2週間で融資が実行されるケースもあります。これは物件の購入機会を逃したくない投資家にとって、大きなメリットとなります。
また、融資対象となる物件の範囲も異なります。銀行は築年数や立地条件に厳しい基準を設けていますが、ノンバンクは築古物件や地方物件にも比較的柔軟に対応します。つまり、銀行では融資が難しい物件でも、ノンバンクなら資金調達できる可能性があるのです。
ノンバンク融資の具体的なメリットとは
ノンバンク融資の最大のメリットは、審査の柔軟性にあります。銀行では年収や勤続年数、自己資金比率などが厳しく審査されますが、ノンバンクは物件の収益性を重視する傾向があります。そのため、転職したばかりの方や自営業者、年収が比較的低い方でも、物件の収益力が高ければ融資を受けられる可能性が高まります。
審査スピードの速さも見逃せないポイントです。不動産市場では良い物件ほど早く売れてしまうため、融資決定までの時間が勝負を分けることがあります。ノンバンクなら1〜2週間で融資が実行されるため、購入のチャンスを逃しにくくなります。実際に、国土交通省の調査によると、不動産取引の約15%が融資審査の遅れにより不成立になっているというデータもあります。
さらに、融資対象物件の幅広さも大きな利点です。銀行では築30年以上の物件や地方の物件には融資が難しいケースが多いですが、ノンバンクはこうした物件にも対応します。特に高利回りが期待できる築古物件や地方物件への投資を考えている方にとって、ノンバンクは貴重な資金調達手段となります。
また、銀行で融資枠を使い切ってしまった投資家が、追加の物件購入のためにノンバンクを活用するケースも増えています。これにより、投資規模を拡大し、ポートフォリオを多様化することが可能になります。つまり、ノンバンクは投資の選択肢を広げる重要なツールとなるのです。
ノンバンク融資のデメリットとリスクを正しく知る
ノンバンク融資の最も大きなデメリットは、金利の高さです。銀行の不動産投資ローンの金利が年1.5〜3.0%程度であるのに対し、ノンバンクでは年3.0〜5.0%、場合によっては6.0%を超えることもあります。この金利差は、長期的な収益性に大きな影響を与えます。
具体的な数字で見てみましょう。3,000万円を30年間借り入れた場合、金利2.0%なら総返済額は約3,990万円ですが、金利4.0%では約5,150万円となり、約1,160万円もの差が生じます。この差額は、物件の収益性を大きく圧迫する要因となります。月々の返済額も、金利2.0%なら約11.1万円ですが、金利4.0%では約14.3万円と、約3.2万円も高くなります。
返済期間が短めに設定されることも注意が必要です。銀行では30〜35年の長期融資が一般的ですが、ノンバンクでは20〜25年程度が多く、中には15年という短期設定もあります。返済期間が短いと月々の返済負担が重くなり、キャッシュフローが悪化するリスクが高まります。
さらに、繰上返済時の手数料が高額になるケースもあります。銀行では繰上返済手数料が無料または数万円程度ですが、ノンバンクでは返済額の1〜3%を手数料として請求されることがあります。3,000万円の残債がある場合、30万〜90万円もの手数料が発生する計算です。これは将来的な借り換えや売却の際に、大きな障壁となる可能性があります。
ノンバンク融資を利用すべきケースとは
ノンバンク融資が有効な選択肢となるのは、まず銀行融資の審査に通らない明確な理由がある場合です。転職直後で勤続年数が短い、自営業で収入の証明が難しい、過去に債務整理の経験があるなど、銀行の審査基準を満たせない方でも、物件の収益性が高ければノンバンクから融資を受けられる可能性があります。
高利回り物件を短期保有する戦略を取る場合も、ノンバンク融資が適しています。例えば、築古物件を購入してリノベーション後に売却する、または5年程度の短期保有で売却益を狙うといった戦略では、金利が高くても総返済額への影響は限定的です。年利回り15%以上の物件なら、金利4〜5%でも十分な収益が見込めます。
物件購入のチャンスを逃したくない場合も、ノンバンクの活用を検討する価値があります。人気エリアの好条件物件は、市場に出てすぐに売れてしまうことが多く、銀行融資の審査を待っていては間に合いません。まずノンバンクで購入し、その後に銀行融資への借り換えを計画するという戦略も有効です。
また、既に銀行から複数の融資を受けており、追加融資が難しい投資家にとっても、ノンバンクは重要な選択肢となります。銀行には融資総額の上限がありますが、ノンバンクを組み合わせることで、投資規模を拡大できます。ただし、この場合は返済負担が大きくなるため、より慎重な収支計画が必要です。
ノンバンク融資を避けるべきケースと代替案
銀行融資の審査に通る可能性がある方は、まず銀行を優先すべきです。年収500万円以上で勤続年数3年以上、自己資金が物件価格の20%以上あるなら、銀行融資の審査に通る可能性は十分にあります。金利差による長期的な負担を考えると、多少時間がかかっても銀行融資を選ぶべきでしょう。
物件の利回りが低い場合も、ノンバンク融資は避けるべきです。表面利回り8%以下の物件では、高金利の返済負担に耐えられず、キャッシュフローがマイナスになるリスクが高まります。国土交通省の不動産投資市場調査によると、2026年の東京都心部のワンルームマンションの平均利回りは約4.5%となっており、このような物件にノンバンク融資を使うのは危険です。
長期保有を前提とした投資戦略の場合も、ノンバンクは適していません。30年間保有する計画なら、金利差による総返済額の違いは数百万円から1,000万円以上になります。この差額は、物件の収益性を大きく損なう要因となります。長期投資では、時間をかけてでも低金利の銀行融資を獲得することが重要です。
代替案としては、まず複数の銀行に審査を申し込むことをお勧めします。メガバンク、地方銀行、信用金庫など、金融機関によって審査基準は異なります。また、自己資金を増やす、共同購入者を立てる、物件の選定を見直すなど、銀行融資を受けやすくする工夫も検討しましょう。どうしても急ぐ場合は、ノンバンクで購入後、1〜2年以内に銀行融資への借り換えを実行する計画を立てることも一つの方法です。
ノンバンク融資を利用する際の注意点と成功のポイント
ノンバンク融資を利用する際は、まず複数の業者を比較することが重要です。ノンバンクによって金利や手数料、審査基準は大きく異なります。少なくとも3社以上から見積もりを取り、条件を比較検討しましょう。金利だけでなく、繰上返済手数料や事務手数料、保証料なども含めた総コストで判断することが大切です。
契約内容は細部まで確認してください。特に注意すべきは、変動金利の場合の金利上昇リスク、繰上返済の条件、期限前返済時のペナルティ、保証人や担保の要件などです。契約書の文言が分かりにくい場合は、不動産投資に詳しい専門家に相談することをお勧めします。数万円の相談料を惜しんで、後で数百万円の損失を被ることのないようにしましょう。
収支シミュレーションは、厳しめの条件で作成することが成功の鍵です。空室率は20〜30%、金利は現在より1〜2%高い条件、修繕費は年間家賃収入の10〜15%など、保守的な数字で計算しましょう。これらの厳しい条件でもキャッシュフローがプラスになる物件なら、ノンバンク融資でも安全に運用できる可能性が高まります。
借り換え計画も最初から立てておくべきです。ノンバンクで融資を受けた後、1〜2年間の返済実績を作り、その間に自己資金を貯めて、銀行融資への借り換えを目指しましょう。借り換えが成功すれば、金利負担を大幅に軽減できます。ただし、借り換え時の手数料や登記費用も考慮に入れ、トータルでメリットがあるか計算することが重要です。
まとめ
ノンバンク融資は、決して「やめたほうがいい」と一概に言えるものではありません。審査の柔軟性、スピード、対象物件の幅広さなど、明確なメリットがある一方で、高金利による返済負担の増加というデメリットも存在します。
重要なのは、あなたの状況と投資戦略に合っているかを冷静に判断することです。銀行融資が受けられる可能性があるなら、まずは銀行を優先すべきでしょう。しかし、審査基準を満たせない、購入機会を逃したくない、高利回り物件を短期保有する戦略を取るといった場合には、ノンバンク融資が有効な選択肢となります。
利用する際は、複数の業者を比較し、契約内容を細部まで確認し、厳しめの収支シミュレーションを行うことが成功の鍵です。また、可能であれば将来的な銀行融資への借り換えも視野に入れておきましょう。
不動産投資は長期的な視点が必要な投資です。目先の購入機会だけにとらわれず、総合的な収益性とリスクを考慮して、最適な資金調達方法を選択してください。必要に応じて、不動産投資の専門家やファイナンシャルプランナーに相談することも、成功への近道となります。
参考文献・出典
- 国土交通省 – 不動産市場動向マンスリーレポート – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
- 金融庁 – 貸金業者の実態調査 – https://www.fsa.go.jp/
- 日本銀行 – 貸出約定平均金利の推移 – https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/index.htm
- 一般社団法人不動産流通経営協会 – 不動産投資市場の動向 – https://www.frk.or.jp/
- 住宅金融支援機構 – 民間住宅ローンの実態調査 – https://www.jhf.go.jp/
- 全国宅地建物取引業協会連合会 – 不動産取引の実態調査 – https://www.zentaku.or.jp/
- 国土交通省 – 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html