不動産融資

検査済証がない物件は買って大丈夫?リスクと対処法を徹底解説

中古物件を探していると「検査済証なし」という物件に出会うことがあります。価格が相場より安いため魅力的に見えますが、本当に購入しても問題ないのでしょうか。実は検査済証がない物件には、融資の問題や将来的なリフォーム制限など、さまざまなリスクが潜んでいます。この記事では、検査済証がない物件の実態と購入時の注意点、そして安全に取引するための対処法を詳しく解説します。検査済証の有無が不動産投資や住宅購入にどのような影響を与えるのか、具体的な事例とともに理解していきましょう。

検査済証とは何か?その役割と重要性

検査済証とは何か?その役割と重要性のイメージ

検査済証は、建物が建築基準法に適合していることを証明する重要な書類です。建物の新築や増改築が完了した際、建築主事または指定確認検査機関が完了検査を行い、法令に適合していると認められた場合に交付されます。この書類は建物の安全性を公的に保証するものであり、不動産取引において非常に重要な意味を持っています。

検査済証が交付されるまでの流れを理解しておくことが大切です。まず建築主は建築確認申請を行い、確認済証の交付を受けます。その後、工事が完了したら完了検査の申請を行い、検査に合格すると検査済証が交付されるという流れです。つまり、検査済証は建築プロセスの最終段階で発行される、いわば建物の「合格証明書」なのです。

しかし、実際には検査済証が交付されていない建物が数多く存在します。国土交通省の調査によると、1998年以前に建てられた建物の約4割が検査済証を取得していないというデータがあります。これは当時、完了検査の受検が義務化されていなかったことや、検査を受けなくても罰則が軽微だったことが背景にあります。

検査済証がない建物でも、必ずしも違法建築とは限りません。建築当時は適法に建てられたものの、完了検査を受けなかっただけというケースも多いのです。ただし、検査を受けていないため、建築基準法に適合しているかどうかが公的に証明されていない状態となります。この「証明がない」という点が、さまざまな問題を引き起こす原因となるのです。

検査済証がない物件の具体的なリスク

検査済証がない物件の具体的なリスクのイメージ

検査済証がない物件を購入する場合、最も大きな問題となるのが住宅ローンの審査です。多くの金融機関は、検査済証がない物件への融資を断るか、融資条件を厳しくする傾向があります。これは金融機関が建物の安全性や適法性を確認できないため、担保価値を低く評価せざるを得ないからです。

実際の融資状況を見ると、メガバンクや大手地方銀行の多くは検査済証なしの物件への融資を原則として行いません。一方、一部の地方銀行や信用金庫では、建築士による調査報告書などの代替書類を条件に融資を検討するケースもあります。ただし、その場合でも金利が通常より0.5〜1.0%程度高く設定されたり、融資額が物件価格の60〜70%に制限されたりすることが一般的です。

将来的なリフォームや増改築にも大きな制約が生じます。建築基準法では、一定規模以上のリフォームを行う際に建築確認申請が必要となりますが、検査済証がない建物の場合、この申請が非常に困難になります。特に10平方メートルを超える増築や、主要構造部の大規模な修繕を行う場合は、既存部分も含めて現行の建築基準法に適合させる必要が生じることがあります。

売却時の問題も見逃せません。将来この物件を売却しようとした際、検査済証がないことが大きなマイナス要因となります。買主候補が融資を受けられない可能性が高いため、現金購入できる買主に限定されてしまい、売却価格が相場より2〜3割程度低くなることも珍しくありません。また、売却までの期間も長期化する傾向があります。

建物の安全性に関する不安も残ります。検査済証がないということは、建築基準法に適合しているかどうかが公的に確認されていないということです。構造計算が適切に行われているか、防火基準を満たしているか、といった重要な安全性の確認ができていない状態なのです。特に耐震性については、1981年の新耐震基準以前に建てられた建物の場合、大地震時の安全性に大きな懸念が残ります。

検査済証がない理由を見極める

検査済証がない物件に遭遇した場合、まずその理由を明確にすることが重要です。理由によってリスクの程度が大きく異なるため、慎重な調査が必要になります。

最も多いケースは、建築当時の慣習により完了検査を受けなかったというものです。1998年の建築基準法改正以前は、完了検査の受検率が全国平均で40%程度と非常に低い状況でした。当時は検査を受けなくても実質的な罰則がなく、また検査に時間がかかることから、多くの建築主が完了検査を省略していたのです。このケースでは、建物自体は適法に建てられている可能性が高いと言えます。

一方、意図的に検査を避けたケースには注意が必要です。建築確認申請の内容と実際の建物が異なる場合、完了検査に合格できないため、あえて検査を受けなかったという可能性があります。例えば、申請では2階建てとしながら実際には3階建てにしている、用途地域の制限を超えて建築している、建ぺい率や容積率をオーバーしているといった違反があるケースです。

書類の紛失というケースもあります。実際には検査済証が交付されていたものの、所有者の変更や時間の経過により書類が失われてしまったという場合です。このケースでは、建築確認台帳記載事項証明書を取得することで、検査済証が交付されていたことを証明できる可能性があります。特定行政庁の建築指導課などで台帳を確認し、検査済証の交付記録があれば、台帳記載事項証明書の発行を受けることができます。

増改築の際に検査を受けなかったケースも存在します。当初の建物は適法に建てられ検査済証も取得していたものの、その後の増築やリフォームで建築確認申請を行わず、結果として現状の建物が検査済証のない状態になっているというパターンです。この場合、増築部分の規模や内容によって対応方法が変わってきます。

購入前に行うべき調査と確認事項

検査済証がない物件の購入を検討する場合、通常の物件以上に綿密な調査が必要です。まず建築確認台帳の確認から始めましょう。物件所在地を管轄する特定行政庁で建築確認台帳記載事項証明書を取得し、建築確認申請の有無や検査済証の交付記録を確認します。この証明書により、検査済証が交付されていたが紛失しただけなのか、そもそも交付されていないのかが判明します。

建築士による現地調査も重要です。一級建築士や二級建築士に依頼して、建物が現行の建築基準法に適合しているかどうかを調査してもらいます。調査費用は物件の規模にもよりますが、一般的な戸建住宅で15万円から30万円程度が相場です。調査では構造の安全性、防火基準への適合性、建ぺい率・容積率の確認などが行われ、詳細な報告書が作成されます。

登記簿謄本と建築確認申請書の内容を照合することも必須です。登記されている床面積と建築確認申請書の床面積が一致しているか、用途が適切かなどを確認します。もし大きな相違がある場合は、無届けの増改築が行われている可能性が高く、購入を見送るべきサインとなります。

金融機関への事前相談も早めに行いましょう。複数の金融機関に検査済証がない物件への融資可能性を確認し、融資条件を比較検討します。この段階で融資が困難と判明した場合、購入計画自体を見直す必要があります。また、融資可能な場合でも、どのような代替書類が必要か、金利や融資額の条件はどうなるかを明確にしておくことが大切です。

近隣への聞き込みも有効な調査方法です。建物の建築時期や増改築の有無、過去のトラブルなどについて、近隣住民から情報を得ることで、書類だけでは分からない実態が見えてくることがあります。特に違法建築の疑いがある場合、近隣とのトラブル履歴がないかを確認することは重要です。

検査済証がない物件を安全に購入する方法

検査済証がない物件でも、適切な対策を講じることで安全に購入できる場合があります。最も確実な方法は、12条5項報告制度を活用することです。これは建築基準法第12条第5項に基づく制度で、検査済証がない既存建築物について、特定行政庁が建築基準法に適合していることを確認する仕組みです。

12条5項報告を受けるためには、まず建築士に建物の調査を依頼し、現行の建築基準法に適合しているかどうかの報告書を作成してもらいます。その報告書を添えて特定行政庁に申請を行い、審査に合格すれば適合確認通知書が交付されます。この通知書は検査済証に準ずる書類として扱われ、多くの金融機関で融資審査の際に有効な書類として認められています。

ただし、12条5項報告には注意点もあります。建物が現行の建築基準法に完全に適合している必要があるため、旧耐震基準で建てられた建物の場合、耐震補強工事が必要になることがあります。また、申請から通知書の交付まで2〜3ヶ月程度かかることが一般的です。費用は建築士への調査費用と合わせて30万円から50万円程度が目安となります。

建築基準法適合状況調査という方法もあります。これは12条5項報告ほど厳格ではありませんが、建築士が建物の現状を調査し、建築基準法への適合状況を報告書にまとめるものです。この報告書を金融機関に提出することで、融資審査に通る可能性が高まります。特にフラット35では、この調査報告書があれば検査済証がなくても融資対象となる場合があります。

価格交渉も重要な戦略です。検査済証がないことによるリスクやコストを考慮し、適正な価格での購入を目指しましょう。具体的には、12条5項報告の取得費用、将来の売却時の価格下落リスク、融資条件の不利さなどを根拠に、相場価格から10〜20%程度の値引きを交渉することが妥当です。売主側も検査済証がないことを理解しているため、合理的な根拠があれば交渉に応じる可能性は高いと言えます。

契約書に特約条項を盛り込むことも忘れてはいけません。検査済証がないことを明記し、それに起因する問題について売主の責任範囲を明確にしておきます。また、購入後に違法建築が判明した場合の契約解除条項や、是正工事が必要になった場合の費用負担についても取り決めておくことが重要です。

購入を避けるべきケースの見極め方

検査済証がない物件の中には、どのような対策を講じても購入すべきでないものがあります。明らかな違法建築が確認された場合は、購入を断念すべきです。建ぺい率や容積率を大幅に超過している、用途地域の制限に違反している、構造上の重大な欠陥があるといったケースでは、是正に多額の費用がかかるだけでなく、最悪の場合は建物の一部撤去を命じられる可能性もあります。

接道義務を満たしていない物件も要注意です。建築基準法では、建物の敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないと定められています。この要件を満たしていない場合、再建築ができない「再建築不可物件」となり、建物の資産価値は著しく低下します。将来的に建て替えができないため、長期的な投資としては適していません。

構造上の重大な問題が発見された場合も購入を見送るべきです。基礎の沈下、主要構造部の著しい劣化、違法な構造変更などが確認された場合、安全性に重大な懸念があります。特に耐震性に問題がある場合、大規模な補強工事が必要となり、その費用が物件価格を上回ることもあります。

売主が建物の状況について虚偽の説明をしている場合も危険信号です。検査済証がない理由について曖昧な説明しかしない、建築確認台帳の確認を拒否する、増改築の履歴を隠そうとするといった態度が見られる場合は、何か重大な問題を隠している可能性があります。このような場合は、たとえ価格が魅力的でも購入を控えるべきです。

周辺環境との関係も確認が必要です。近隣住民との間に建物に関するトラブルがある場合、日照権の侵害や境界線の問題などが潜んでいる可能性があります。また、行政から是正指導を受けた履歴がある物件も、将来的に問題が再燃するリスクが高いため避けた方が賢明です。

まとめ

検査済証がない物件は、必ずしも購入してはいけないというわけではありませんが、通常の物件以上に慎重な判断が求められます。最も重要なのは、検査済証がない理由を明確にし、建物の安全性と適法性を専門家に調査してもらうことです。建築士による詳細な調査と12条5項報告の活用により、多くのリスクは軽減できます。

融資の問題については、複数の金融機関に相談し、条件を比較検討することが大切です。フラット35や一部の地方銀行では、適切な代替書類があれば融資を受けられる可能性があります。また、価格交渉により検査済証がないことによるリスクを経済的に補填することも有効な戦略です。

一方で、明らかな違法建築や構造上の重大な問題がある物件、再建築不可物件などは、どのような条件でも購入を避けるべきです。短期的な価格の安さに惑わされず、長期的な視点でリスクとリターンを冷静に評価することが成功への鍵となります。

検査済証がない物件の購入を検討する際は、不動産の専門家や建築士、弁護士などの専門家チームを組んで、多角的に物件を評価することをお勧めします。適切な調査と対策を行えば、検査済証がない物件でも安全に購入し、満足のいく不動産投資や住宅取得が可能になります。

参考文献・出典

  • 国土交通省 – 建築基準法の概要 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000043.html
  • 国土交通省 – 完了検査率の推移 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/inspection.html
  • 一般財団法人 住宅金融普及協会 – 住宅ローンと検査済証 – https://www.sumai-info.com/
  • 公益社団法人 日本建築士会連合会 – 既存建築物の調査について – https://www.kenchikushikai.or.jp/
  • 独立行政法人 住宅金融支援機構 – フラット35の技術基準 – https://www.jhf.go.jp/
  • 国土交通省 – 建築基準法第12条第5項に基づく報告制度 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/
  • 公益財団法人 不動産流通推進センター – 既存住宅の取引実務 – https://www.retpc.jp/

関連記事

TOP
不動産売買なら青山地所