不動産投資を始めようと考えたとき、多くの方が最初につまずくのが「家賃相場の調べ方」です。物件を購入する前に適正な家賃を把握できなければ、収益計画が立てられず、投資判断を誤ってしまう可能性があります。実は家賃相場を調べる方法は複数あり、それぞれの特徴を理解すれば初心者でも正確な情報を得ることができます。この記事では、家賃相場の調べ方がわからない方に向けて、具体的な調査方法から注意点まで、実践的な情報をわかりやすく解説していきます。
家賃相場を調べる重要性とは

不動産投資において家賃相場の把握は、成功と失敗を分ける最も重要な要素の一つです。適正な家賃を設定できなければ、空室が続いて収益が得られないだけでなく、ローン返済が滞るリスクも高まります。
国土交通省の調査によると、賃貸住宅の空室率は全国平均で約13%に達しており、特に家賃設定を誤った物件では空室期間が長期化する傾向にあります。つまり、市場の相場を正確に把握することが、安定した賃貸経営の第一歩となるのです。
家賃相場を調べることで得られるメリットは多岐にわたります。まず購入前の収益シミュレーションが正確になり、投資判断の精度が向上します。また、既に物件を所有している場合でも、定期的に相場を確認することで適切な家賃改定のタイミングを見極められます。さらに、周辺物件との比較により、自分の物件の競争力を客観的に評価できるようになります。
重要なのは、家賃相場は常に変動しているという点です。経済状況や地域の開発、季節要因などによって相場は上下します。そのため、一度調べて終わりではなく、継続的に市場動向をチェックする習慣を身につけることが大切です。
インターネットを活用した家賃相場の調べ方

現代において最も手軽で効率的な方法は、インターネットの不動産ポータルサイトを活用することです。SUUMO、HOME’S、athomeなどの大手サイトでは、膨大な賃貸物件情報が掲載されており、誰でも無料で閲覧できます。
具体的な調べ方としては、まず投資を検討している物件と同じエリアを検索条件に設定します。次に間取り、築年数、駅からの距離など、できるだけ条件を近づけて絞り込みます。この際、完全に一致する物件を探すのではなく、類似条件の物件を10件程度ピックアップすることがポイントです。
集めた物件情報から家賃の平均値を算出しますが、単純平均だけでなく中央値も確認しましょう。極端に高い物件や低い物件が含まれている場合、平均値だけでは実態を把握できないためです。また、掲載されている家賃には管理費や共益費が含まれているか確認し、比較する際は条件を揃えることが重要です。
さらに詳しく調べたい場合は、不動産ポータルサイトの「家賃相場」機能を活用する方法もあります。多くのサイトでは、エリアと間取りを指定するだけで、そのエリアの平均家賃を自動的に表示してくれます。この機能は過去のデータも参照できるため、相場の推移を把握するのにも役立ちます。
ただし、インターネット上の情報には注意点もあります。掲載されている物件が必ずしも成約するとは限らず、相場より高めに設定されているケースもあります。また、人気物件はすぐに成約して情報が削除されるため、掲載期間が長い物件ばかりを参考にすると、相場より高めの印象を持ってしまう可能性があります。
不動産会社への直接問い合わせで得られる情報
インターネットでの調査に加えて、地域の不動産会社に直接問い合わせることで、より実践的な情報を得ることができます。地元の不動産会社は、ネット上には公開されていない成約事例や、エリアの細かな特性まで把握しているためです。
問い合わせる際は、複数の不動産会社にコンタクトを取ることをおすすめします。1社だけの意見では偏りが生じる可能性があるため、最低でも3社程度から情報を集めると良いでしょう。電話やメールで「○○エリアで1LDKの物件を検討しているが、適正な家賃相場を教えてほしい」と具体的に質問すれば、多くの会社が快く対応してくれます。
不動産会社から得られる情報の価値は、単なる相場の数字だけではありません。そのエリアの入居者層の特徴、人気の設備、閑散期と繁忙期の家賃差など、実務経験に基づいた貴重なアドバイスを受けられます。また、「この条件なら家賃を○万円に設定すれば、1ヶ月以内に入居者が決まる」といった具体的な見通しも聞けることがあります。
さらに、物件の管理を依頼する可能性のある会社であれば、より詳細な情報提供を受けられる場合もあります。過去の管理実績や、同じマンション内の他の部屋の家賃設定なども教えてもらえることがあるのです。
ただし、不動産会社の意見を聞く際は、その会社の立場も考慮する必要があります。売買仲介を主業務とする会社は高めの家賃を提示する傾向があり、賃貸管理を主業務とする会社は現実的な相場を教えてくれる傾向にあります。複数の会社から情報を集めることで、こうした偏りを補正できます。
公的機関のデータを活用した相場調査
より客観的で信頼性の高い情報を求める場合は、公的機関が提供するデータを活用する方法があります。国土交通省や各自治体が公開している統計データは、市場全体の動向を把握するのに非常に有効です。
国土交通省が運営する「土地総合情報システム」では、実際の不動産取引価格や賃料の情報を検索できます。このシステムでは、都道府県や市区町村単位で賃料の相場を確認でき、間取り別や築年数別のデータも閲覧可能です。実際の取引に基づいたデータのため、広告に掲載されている希望家賃よりも実態に近い情報が得られます。
また、総務省統計局が実施している「住宅・土地統計調査」も参考になります。この調査は5年ごとに実施され、全国の住宅の状況や家賃水準について詳細なデータが公開されています。エリアごとの平均家賃だけでなく、世帯構成や入居者の年齢層なども分かるため、ターゲット層の設定にも役立ちます。
各都道府県や市区町村が独自に公開している不動産関連のデータも見逃せません。特に東京都や大阪府などの大都市圏では、詳細な地域別の家賃相場データを公開していることがあります。自治体のホームページで「住宅」「賃貸」「統計」などのキーワードで検索すると、有益な情報が見つかることがあります。
公的データの利点は、その信頼性と網羅性にあります。民間の情報サイトでは掲載されていない物件の情報も含まれているため、より正確な市場全体の傾向を把握できます。一方で、データの更新頻度が低い場合があることや、最新の市場動向を反映していない可能性がある点には注意が必要です。
現地調査で得られるリアルな市場感覚
インターネットや公的データだけでは分からない、現場のリアルな情報を得るために、実際に現地を訪れて調査することも重要です。現地調査では、数字だけでは見えてこない街の雰囲気や物件の実際の状態を確認できます。
現地調査の基本は、投資を検討しているエリアを実際に歩いてみることです。駅から物件までの道のりを歩き、周辺環境を確認します。スーパーやコンビニ、病院、学校などの生活施設の充実度は、入居者にとって重要な判断材料となり、家賃相場にも影響します。また、街の清潔さや治安の良さも、実際に歩いてみなければ分からない要素です。
周辺の賃貸物件の外観や共用部分の状態も観察しましょう。競合となる物件がどの程度メンテナンスされているか、どのような設備を備えているかを確認することで、自分の物件の競争力を評価できます。また、空室の多い物件があれば、その理由を考察することも勉強になります。
不動産会社の店頭に掲示されている物件情報も貴重な情報源です。多くの不動産会社では、店頭に最新の賃貸物件情報を掲示しています。これらの情報は、インターネットに掲載される前の新鮮な情報であることも多く、リアルタイムの市場動向を把握できます。店舗に入って直接話を聞けば、さらに詳しい情報を得られることもあります。
現地調査では、時間帯を変えて複数回訪れることをおすすめします。平日の昼間と夜間、休日では街の表情が大きく異なることがあります。特に夜間の治安状況や騒音レベルは、入居者の満足度に直結する要素です。また、通勤時間帯の駅の混雑状況なども確認しておくと、入居者目線での物件評価ができます。
家賃相場を調べる際の注意点と活用方法
家賃相場を調べる際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを理解しておかないと、誤った判断をしてしまう可能性があります。
まず理解すべきは、家賃相場には季節変動があるという点です。一般的に1月から3月の引っ越しシーズンは需要が高まり、家賃相場も上昇傾向にあります。一方、夏場や年末は需要が落ち着き、相場も下がる傾向があります。そのため、調査する時期によって得られる情報が異なることを認識しておく必要があります。
また、同じエリア内でも細かな立地条件によって家賃は大きく変わります。駅からの距離が徒歩5分と10分では、家賃に数千円から1万円程度の差が生じることも珍しくありません。さらに、同じ駅からの距離でも、商店街側か住宅街側か、坂道があるかないかなどの要素も家賃に影響します。
物件の設備や仕様も家賃を左右する重要な要素です。オートロック、宅配ボックス、独立洗面台、浴室乾燥機などの人気設備の有無によって、相場から数千円から1万円程度の上乗せが可能になります。逆に、これらの設備がない場合は相場より低めの設定になることを考慮する必要があります。
調査した相場情報を実際の家賃設定に活用する際は、自分の物件の強みと弱みを客観的に評価することが大切です。相場より高く設定できる要素があれば積極的にアピールし、弱点がある場合は相場より低めに設定することで早期の入居を実現できます。
さらに、家賃相場は定期的に見直すことが重要です。不動産市場は常に変動しており、数年前の相場が現在も通用するとは限りません。少なくとも年に1回は相場を確認し、必要に応じて家賃の見直しを検討しましょう。特に入居者の退去時は、家賃を見直す絶好のタイミングです。
まとめ
家賃相場の調べ方がわからないという悩みは、適切な方法を知ることで解決できます。インターネットの不動産ポータルサイト、不動産会社への問い合わせ、公的機関のデータ活用、現地調査という4つの方法を組み合わせることで、より正確な相場情報を得ることができます。
重要なのは、一つの情報源だけに頼らず、複数の方法で調査した結果を総合的に判断することです。それぞれの方法には長所と短所があり、組み合わせることで互いの弱点を補完できます。また、調査した情報は物件の個別条件と照らし合わせて、適切な家賃設定に活用しましょう。
家賃相場の把握は、不動産投資の成功に欠かせないスキルです。最初は時間がかかるかもしれませんが、経験を積むことで効率的に調査できるようになります。この記事で紹介した方法を実践し、確実な収益を生み出す不動産投資を実現してください。
参考文献・出典
- 国土交通省 土地総合情報システム – https://www.land.mlit.go.jp/webland/
- 総務省統計局 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/
- 国土交通省 不動産市場動向マンスリーレポート – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
- 公益財団法人 不動産流通推進センター – https://www.retpc.jp/
- 一般財団法人 日本不動産研究所 不動産統計集 – https://www.reinet.or.jp/
- 全国宅地建物取引業協会連合会 – https://www.zentaku.or.jp/
- 東京都 住宅政策本部 住宅統計 – https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/