所有している賃貸物件の空室が続いたり、周辺相場より家賃が低くなったりしていませんか。室内リノベーションで物件の価値を高めれば、家賃アップも夢ではありません。しかし、どこから手を付ければいいのか分からず、悩んでいる大家さんも多いでしょう。この記事では、費用対効果の高いリノベーション箇所の選び方から、具体的な進め方、予算の組み方まで、初心者でも実践できる方法を詳しく解説します。適切な順序でリノベーションを進めることで、投資額を最小限に抑えながら、最大限の家賃アップを実現できるようになります。
リノベーションで家賃が上がる仕組みを理解する

室内リノベーションによる家賃アップを成功させるには、まず入居者が何に価値を感じるかを理解することが重要です。国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、賃貸住宅を選ぶ際に重視される項目は、立地条件に次いで「住宅の質や設備」が上位に入っています。つまり、物件の立地は変えられなくても、室内の質を高めることで入居者の評価を大きく変えられるのです。
家賃アップの基本原理は、物件の市場価値を高めることにあります。周辺の類似物件と比較して、明確な差別化ポイントを作ることで、入居希望者は高い家賃でも「この物件なら納得できる」と感じるようになります。例えば、築20年のワンルームマンションでも、水回りを最新設備に交換し、壁紙を明るい色に変えるだけで、周辺相場より5,000円から1万円高い家賃設定が可能になるケースも珍しくありません。
重要なのは、リノベーション費用と家賃アップ額のバランスです。100万円かけてリノベーションしても、月5,000円しか家賃が上がらなければ、投資回収に16年以上かかってしまいます。一方、50万円の投資で月1万円の家賃アップが実現できれば、わずか4年強で回収できる計算になります。このように、費用対効果を常に意識することが、成功するリノベーションの鍵となります。
また、ターゲット層によって求められる設備や仕様は大きく異なります。単身者向けなら機能性とデザイン性、ファミリー向けなら収納力と安全性が重視される傾向があります。自分の物件がどの層をターゲットにするのかを明確にすることで、効果的なリノベーション計画を立てられるようになります。
最優先で手を付けるべき3つのポイント

室内リノベして家賃上げたい どこから手を付けるかを考える際、最も費用対効果が高いのは水回り設備の更新です。キッチン、浴室、トイレといった水回りは、入居者が最も気にする部分であり、古さが目立つと大きなマイナス評価につながります。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査では、入居者の約70%が水回りの清潔さと設備の新しさを重視すると回答しています。
特にキッチンは、毎日使う場所だけに入居者の満足度に直結します。システムキッチンへの交換は50万円から80万円程度の投資が必要ですが、家賃を月5,000円から1万円アップできる可能性があります。さらに、IHクッキングヒーターや食器洗い乾燥機などの設備を追加すれば、周辺物件との差別化がより明確になります。ただし、単身者向け物件では過度に高級な設備は不要で、清潔感と使いやすさを重視した中価格帯の設備で十分効果が得られます。
次に優先すべきは内装の刷新です。壁紙や床材は、部屋全体の印象を大きく左右する要素です。古くなった壁紙は、どんなに掃除しても暗く古臭い印象を与えてしまいます。明るい色の壁紙に張り替えるだけで、部屋が広く見え、清潔感が格段に向上します。ワンルームマンションなら20万円から30万円程度で全面的な壁紙交換が可能で、この投資で月3,000円から5,000円の家賃アップが期待できます。
床材については、フローリングへの変更が特に効果的です。畳やカーペットは古さが目立ちやすく、メンテナンスも大変です。一方、フローリングは清潔感があり、現代的な印象を与えます。最近では、傷に強く施工が簡単なクッションフロアや、本物の木の質感を再現したフロアタイルなど、コストを抑えながら高級感を出せる素材も増えています。6畳の部屋なら10万円から15万円程度で施工できるため、費用対効果は非常に高いといえます。
三つ目の優先ポイントは照明と収納の改善です。照明は部屋の雰囲気を大きく変える要素でありながら、比較的低コストで実現できます。古い蛍光灯をLED照明に変更するだけでなく、間接照明やダウンライトを追加することで、おしゃれで快適な空間を演出できます。また、収納スペースの不足は入居者の大きな不満要因です。クローゼットの追加や、デッドスペースを活用した収納棚の設置など、限られた空間を有効活用する工夫が求められます。
予算別のリノベーション戦略
限られた予算でも効果的なリノベーションは可能です。予算30万円以下の場合、壁紙の全面張り替えと照明のLED化に集中するのが賢明です。壁紙を明るい色に変えるだけで、部屋の印象は劇的に変わります。特に、アクセントクロスを一面だけ使用することで、低コストでデザイン性の高い空間を作れます。照明については、既存の器具をそのまま使いながら、LED電球に交換するだけでも十分な効果があります。この予算帯でも、月2,000円から3,000円の家賃アップは十分に狙えます。
予算50万円から100万円の場合、水回りの部分的な更新と内装の全面刷新が可能になります。例えば、浴室は既存のユニットバスを活かしながら、シャワーヘッドや水栓を最新のものに交換し、壁パネルを張り替えるだけでも見違えるほど綺麗になります。キッチンも、システムキッチン全体の交換ではなく、扉の交換や天板の張り替えで費用を抑えられます。この予算帯なら、月5,000円から8,000円の家賃アップが現実的です。
予算100万円以上を確保できる場合は、水回りの全面リニューアルと内装の高品質化が可能です。システムキッチンやユニットバスを最新のものに交換し、床材も質の高いフローリングを選択できます。さらに、エアコンの新設や追加、防音性能の向上など、快適性を高める設備投資も検討できます。この規模のリノベーションなら、月1万円から1万5,000円の家賃アップも十分に期待できるでしょう。
ただし、予算が多ければ良いというわけではありません。重要なのは、物件の立地や築年数、ターゲット層に合わせた適切な投資です。例えば、駅から徒歩15分の築30年物件に200万円かけても、周辺相場を大きく上回る家賃設定は難しいでしょう。一方、駅近の築15年物件なら、同じ投資額でも高い家賃アップが見込めます。物件の特性を見極めた上で、最適な予算配分を考えることが成功の鍵です。
業者選びと工事の進め方
リノベーション業者の選定は、プロジェクトの成否を左右する重要なステップです。まず複数の業者から見積もりを取ることが基本です。最低でも3社、できれば5社程度から見積もりを取得し、価格だけでなく提案内容や対応の質も比較しましょう。見積もりの際は、具体的な要望を明確に伝え、同じ条件で比較できるようにすることが大切です。
業者選びでは、賃貸物件のリノベーション実績が豊富かどうかを確認しましょう。居住用住宅のリフォームと賃貸物件のリノベーションでは、求められるポイントが異なります。賃貸物件では、耐久性とコストパフォーマンスが重視されるため、その分野に精通した業者を選ぶことで、より効果的な提案を受けられます。実際の施工事例を見せてもらい、仕上がりの質を確認することも忘れないでください。
工事のスケジュール管理も重要です。空室期間が長引けば、その分家賃収入が失われてしまいます。工事期間は、壁紙の張り替えだけなら2日から3日、水回りを含む全面リノベーションでも2週間から3週間程度が一般的です。業者と綿密に打ち合わせを行い、工期を明確にしてもらいましょう。また、予期せぬトラブルに備えて、余裕を持ったスケジュールを組むことも大切です。
工事中は定期的に現場を確認することをお勧めします。写真での報告を依頼するのも良いでしょう。特に、壁の中や床下など、完成後には見えなくなる部分の状態を確認しておくことで、将来的なトラブルを防げます。また、追加工事が必要になった場合の対応方法や費用についても、事前に取り決めておくと安心です。
家賃設定と入居者募集のコツ
リノベーション完了後の家賃設定は、慎重に行う必要があります。周辺の類似物件の家賃相場を徹底的に調査し、自分の物件の強みを明確にした上で価格を決めましょう。不動産ポータルサイトで、同じエリア、同じ間取り、同じ築年数の物件を検索し、設備や内装の違いによる価格差を分析します。リノベーションによって追加された価値を適切に評価し、相場より高すぎず、安すぎない絶妙な価格設定を目指します。
家賃を上げる際は、段階的なアプローチも効果的です。最初は周辺相場と同程度に設定し、内見者の反応を見ながら調整していく方法です。内見者が多く、すぐに申し込みが入るようなら、次回の募集時に家賃を上げる余地があります。逆に、内見者は多いのに成約に至らない場合は、価格が高すぎる可能性があります。市場の反応を見ながら柔軟に対応することで、最適な家賃を見つけられます。
入居者募集では、リノベーションのポイントを効果的にアピールすることが重要です。物件写真は、プロのカメラマンに依頼するか、少なくとも明るい時間帯に撮影し、リノベーションした箇所を重点的に撮影しましょう。特に、キッチンや浴室などの水回り、おしゃれな壁紙やフローリングなど、視覚的にアピールできる部分を強調します。物件説明文でも「2026年2月に全面リノベーション済み」「最新設備導入」といった文言を入れることで、検索結果での目立ち度が上がります。
内見時の対応も成約率を左右します。可能であれば、リノベーション前の写真を用意し、ビフォーアフターを見せることで、物件の価値向上を実感してもらえます。また、使用した設備や素材のグレード、こだわったポイントなどを説明することで、家賃の妥当性を理解してもらいやすくなります。清潔感を保つため、内見前には必ず清掃を行い、換気をして良い印象を与えることも忘れないでください。
失敗しないための注意点とリスク管理
リノベーションで最も避けたい失敗は、過剰投資です。高級な設備や素材を使えば確かに物件の質は上がりますが、周辺相場を大きく超える家賃設定は現実的ではありません。例えば、周辺相場が6万円のエリアで、150万円かけてリノベーションしても、家賃を10万円に設定することは困難です。投資額と期待できる家賃アップ額のバランスを常に意識し、回収期間が10年を超えるような投資は避けるべきでしょう。
デザイン性を重視しすぎることも注意が必要です。個性的すぎる内装は、好みが分かれるため入居者層を狭めてしまいます。特に、派手な色使いや奇抜なデザインは避け、多くの人に受け入れられるシンプルで清潔感のある仕上がりを目指しましょう。ただし、シンプルすぎても印象に残らないため、アクセントクロスや照明などで適度な個性を出すバランス感覚が求められます。
法令遵守も重要なポイントです。特に、間取り変更を伴うリノベーションでは、建築基準法や消防法などの規制を確認する必要があります。例えば、窓のない部屋を居室として使用することは原則として認められていません。また、マンションの場合は、管理規約で工事内容に制限がある場合もあります。工事を始める前に、必ず管理組合に届け出を行い、承認を得ることが必要です。
リノベーション後のメンテナンス計画も立てておきましょう。新しい設備や内装も、時間とともに劣化していきます。特に、水回り設備は定期的な点検とメンテナンスが必要です。入居者が退去した際の原状回復費用も考慮に入れ、耐久性の高い素材を選ぶことで、長期的なコスト削減につながります。また、設備の保証期間や、故障時の対応方法についても、業者と事前に確認しておくと安心です。
まとめ
室内リノベして家賃上げたい どこから手を付けるかは、物件の状況とターゲット層によって異なりますが、基本的には水回り設備の更新、内装の刷新、照明と収納の改善という順序で進めることが効果的です。限られた予算でも、優先順位を明確にし、費用対効果の高い箇所から着手することで、確実に家賃アップを実現できます。
重要なのは、リノベーション費用と家賃アップ額のバランスを常に意識することです。投資回収期間が10年を超えるような過剰投資は避け、周辺相場を踏まえた現実的な家賃設定を行いましょう。また、信頼できる業者を選び、工事の品質とスケジュールを適切に管理することも成功の鍵となります。
リノベーション完了後は、効果的な写真と説明文で物件の魅力を最大限にアピールし、内見時には丁寧な対応を心がけることで、成約率を高められます。適切な計画と実行により、あなたの物件も魅力的な住空間に生まれ変わり、安定した収益を生み出す資産となるでしょう。まずは物件の現状を把握し、できることから一歩ずつ進めていくことをお勧めします。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅局 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/
- 国土交通省 住宅市場動向調査 – https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000146.html
- 公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会 – https://www.jpm.jp/
- 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会 – https://www.j-reform.com/
- 独立行政法人 住宅金融支援機構 – https://www.jhf.go.jp/
- 公益財団法人 不動産流通推進センター – https://www.retpc.jp/
- 国土交通省 建築基準法関連情報 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000043.html