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築古物件の実質利回りを徹底解説!初心者が知るべき計算方法と注意点

不動産投資を始めようと物件情報を見ていると、築古物件の高い利回りに魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。確かに築古物件は新築や築浅物件と比べて価格が安く、表面利回りが10%を超えることも珍しくありません。しかし、実際に手元に残る収益を正確に把握するには「実質利回り」を理解することが不可欠です。この記事では、築古物件の実質利回りの計算方法から、見落としがちな費用、そして投資判断のポイントまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

実質利回りとは何か?表面利回りとの違いを理解する

実質利回りとは何か?表面利回りとの違いを理解するのイメージ

不動産投資の収益性を測る指標として、まず押さえておきたいのが「表面利回り」と「実質利回り」の違いです。多くの物件情報サイトに掲載されているのは表面利回りですが、これだけでは実際の収益性を正確に判断できません。

表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」というシンプルな計算式で求められます。例えば、1,000万円の物件で年間家賃収入が80万円なら、表面利回りは8%です。この数字は物件の収益力を大まかに把握するには便利ですが、実際の運営にかかる費用が一切考慮されていません。

一方、実質利回りは運営費用を差し引いた実際の収益を反映した指標です。計算式は「(年間家賃収入-年間運営費用)÷(物件価格+購入時諸費用)×100」となります。同じ1,000万円の物件でも、年間運営費用が20万円、購入時諸費用が80万円かかる場合、実質利回りは約5.6%まで下がります。この差が投資判断を大きく左右するのです。

実質利回りを正確に計算することで、物件の真の収益力が見えてきます。特に築古物件の場合、修繕費や管理費が高額になりやすいため、表面利回りだけで判断すると大きな誤算につながる可能性があります。投資を成功させるためには、必ず実質利回りベースで物件を評価する習慣をつけましょう。

築古物件の実質利回りに含めるべき費用項目

築古物件の実質利回りに含めるべき費用項目のイメージ

築古物件の実質利回りを正確に算出するには、どのような費用を計上すべきか理解することが重要です。見落としがちな費用項目を含めることで、より現実的な収支予測が可能になります。

まず購入時にかかる諸費用として、不動産取得税、登記費用、仲介手数料、印紙税などがあります。これらは物件価格の7〜10%程度が目安となり、1,000万円の物件なら70〜100万円の初期費用が必要です。さらに融資を利用する場合は、融資手数料や保証料も加わります。これらの費用は実質利回りの分母に加えて計算します。

運営段階では毎年発生する固定費を正確に把握しましょう。固定資産税・都市計画税は物件価格の1.5〜2%程度、管理費は区分マンションなら月1〜2万円、一棟物件なら家賃収入の5〜10%が相場です。また、火災保険料や地震保険料も年間数万円から十数万円かかります。

築古物件で特に注意が必要なのが修繕費です。築20年を超えると、給排水設備の交換、外壁塗装、屋根の補修など、大規模な修繕が必要になる可能性が高まります。一棟物件の場合、外壁塗装だけで100万円以上かかることも珍しくありません。これらの費用を年間平均で見積もり、運営費用に含めることが大切です。

さらに空室期間中の家賃損失も考慮に入れる必要があります。築古物件は新築に比べて空室リスクが高く、年間10〜20%の空室率を想定しておくと安全です。これらすべての費用を織り込んで初めて、実質的な収益性が見えてくるのです。

築古物件の実質利回りを高める戦略

築古物件でも工夫次第で実質利回りを改善することは可能です。重要なのは、費用を抑えながら収入を最大化する戦略を立てることです。

物件選びの段階から実質利回りを意識することが第一歩となります。同じ築年数でも、管理状態の良い物件を選べば修繕費を大幅に削減できます。購入前に建物診断(インスペクション)を実施し、今後5〜10年間で必要な修繕項目と費用を把握しておくと、予期せぬ出費を防げます。診断費用は5〜10万円程度ですが、数百万円の修繕費を回避できる可能性を考えれば、十分に価値のある投資です。

リフォーム戦略も実質利回りに大きく影響します。すべてを新品に交換するのではなく、費用対効果の高い部分に絞って改修することが賢明です。例えば、壁紙の張り替えや照明のLED化は比較的低コストで印象を大きく変えられます。一方、水回りの全面交換は高額になるため、清掃やコーキングの打ち直しなど、最小限の手入れで済ませる方法も検討しましょう。

家賃設定では、周辺相場を綿密に調査することが欠かせません。築古物件だからといって必要以上に家賃を下げる必要はなく、リフォームや設備の充実度によっては相場並みの家賃を維持できます。また、礼金や更新料の設定、インターネット無料などの付加価値を提供することで、実質的な収入増加を図ることも効果的です。

管理会社の選定も実質利回りを左右する重要な要素です。管理手数料が安いだけでなく、空室期間を短縮できる営業力や、適切な修繕提案ができる会社を選ぶことで、長期的には収益性が向上します。複数の管理会社を比較し、手数料率だけでなく実績やサービス内容を総合的に評価しましょう。

築古物件投資で失敗しないための実質利回りの目安

実質利回りがどの程度あれば投資として成立するのか、具体的な目安を知っておくことは重要です。ただし、一概に「○%以上なら良い」とは言えず、エリアや物件タイプによって基準は変わります。

東京23区内の築古区分マンションの場合、実質利回り4〜6%が一般的な水準です。都心部では3%台でも立地の良さや資産価値の安定性から投資対象となることもあります。一方、地方都市では実質利回り8〜10%以上を目指すべきでしょう。地方は空室リスクや将来的な人口減少リスクが高いため、それを補うだけの利回りが必要になります。

一棟アパートや一棟マンションの場合、区分マンションより高い利回りが期待できます。築古の一棟物件では実質利回り10%以上を目標にする投資家が多く、15%を超える物件も存在します。ただし、一棟物件は修繕費や管理の手間が大きいため、高い利回りが必要になるのです。

実質利回りを評価する際は、金融機関の融資金利も考慮に入れましょう。2026年2月現在、不動産投資ローンの金利は2〜4%程度が一般的です。実質利回りが融資金利を大きく上回っていれば、レバレッジ効果により自己資金に対する収益率を高められます。最低でも融資金利プラス2〜3%の実質利回りを確保したいところです。

さらに、実質利回りは購入後も定期的に見直すことが大切です。家賃の下落、修繕費の増加、税金の変動などにより、当初の想定から乖離することがあります。年に一度は収支を振り返り、実質利回りを再計算することで、早期に問題を発見し対策を講じることができます。

築古物件の実質利回り計算で陥りやすい落とし穴

実質利回りの計算では、初心者が見落としがちなポイントがいくつかあります。これらを理解しておくことで、より正確な投資判断が可能になります。

最も多い失敗が、修繕費の過小評価です。築古物件では「当面は大きな修繕は不要」と考えがちですが、建物や設備は確実に劣化していきます。特に給湯器やエアコンなどの設備は10〜15年で交換時期を迎えるため、購入時の築年数と設備の設置時期を確認し、近い将来の交換費用を見込んでおく必要があります。一つの設備交換で10〜30万円かかることを考えると、年間の修繕積立として家賃収入の10〜15%程度を確保しておくと安心です。

空室率の想定も楽観的になりがちな部分です。物件情報に「満室想定」の利回りが記載されていても、実際には入退去の際の空室期間や、長期空室のリスクがあります。築古物件では年間15〜20%の空室率を見込むのが現実的です。つまり、満室時の家賃収入の80〜85%を実際の収入として計算すべきなのです。

また、購入時の諸費用を実質利回りの計算に含めないケースも見られます。仲介手数料や登記費用などで物件価格の7〜10%が追加でかかるため、これを無視すると実質利回りが1〜2%程度高く見積もられてしまいます。特に低価格の築古物件では、諸費用の割合が相対的に大きくなるため注意が必要です。

税金の計算も複雑で見落としやすいポイントです。不動産所得には所得税と住民税がかかり、他の所得と合算して課税されます。給与所得がある場合、不動産所得が加わることで税率が上がる可能性もあります。また、減価償却費は実際の支出を伴わない経費として計上できますが、築古物件は償却期間が短いため、数年後には減価償却費が大幅に減少し、税負担が増えることも考慮しておきましょう。

まとめ

築古物件の実質利回りを正確に理解することは、不動産投資で成功するための基本中の基本です。表面利回りの高さに惑わされず、購入時諸費用、運営費用、修繕費、空室損失など、すべての費用を織り込んで計算することで、物件の真の収益力が見えてきます。

実質利回りを高めるには、物件選びの段階から慎重に検討し、費用対効果の高いリフォームを行い、適切な家賃設定と管理体制を整えることが重要です。また、エリアや物件タイプに応じた利回りの目安を知り、融資金利との関係も考慮しながら投資判断を行いましょう。

築古物件は確かに高利回りを実現できる魅力的な投資対象ですが、それは正確な収支計画と適切な管理があってこそです。この記事で解説した実質利回りの計算方法と注意点を参考に、堅実な不動産投資の第一歩を踏み出してください。定期的な収支の見直しを行いながら、長期的に安定した収益を生み出す物件運営を目指しましょう。

参考文献・出典

  • 国土交通省「不動産市場動向マンスリーレポート」 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
  • 一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」 – https://www.reinet.or.jp/
  • 公益財団法人東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」 – https://www.reins.or.jp/
  • 国税庁「不動産所得の計算方法」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
  • 一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会「賃貸住宅市場景況感調査」 – https://www.zenchin.com/
  • 総務省統計局「住宅・土地統計調査」 – https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/

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