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ファミリーマンション実質利回りの真実|初心者が知るべき計算方法と相場

不動産投資を始めようと考えたとき、多くの方が「利回り」という言葉に戸惑います。特にファミリーマンションへの投資を検討している方にとって、実質利回りの正確な理解は成功への第一歩です。物件情報に記載された利回りだけを見て判断すると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。この記事では、ファミリーマンション投資における実質利回りの計算方法から、現実的な相場、そして収益性を高めるポイントまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。実際の数値例を交えながら、あなたの投資判断に役立つ実践的な知識をお届けします。

実質利回りと表面利回りの違いを理解する

実質利回りと表面利回りの違いを理解するのイメージ

不動産投資の世界では、利回りに「表面利回り」と「実質利回り」という2つの指標があります。この違いを理解していないと、投資判断を大きく誤る可能性があるため、まず押さえておきたい基本知識です。

表面利回りは「グロス利回り」とも呼ばれ、年間家賃収入を物件価格で割った単純な数値です。例えば、5,000万円のファミリーマンションで月額15万円の家賃が得られる場合、年間家賃収入は180万円となり、表面利回りは3.6%となります。物件情報サイトに掲載されている利回りは、ほとんどがこの表面利回りです。

一方、実質利回りは運営に必要な諸経費を差し引いた、より現実的な収益性を示す指標です。管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、管理委託費など、実際に発生する費用をすべて考慮します。同じ物件でも、これらの経費を年間50万円と仮定すると、実質的な収入は130万円となり、実質利回りは2.6%まで下がります。

この1%の差は、長期的に見ると大きな影響を及ぼします。30年間の投資期間で考えると、数百万円単位の収益差が生まれることも珍しくありません。したがって、物件選びの際は必ず実質利回りで比較検討することが重要です。

ファミリーマンション実質利回りの計算方法

ファミリーマンション実質利回りの計算方法のイメージ

実質利回りを正確に計算することで、投資の真の収益性が見えてきます。計算式自体はシンプルですが、どの費用を含めるかが重要なポイントです。

基本的な計算式は「実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)÷物件価格×100」となります。年間経費には、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、賃貸管理委託費、原状回復費用の積立分などが含まれます。

具体的な例で見てみましょう。東京都内の築15年ファミリーマンション(3LDK、70㎡)を5,500万円で購入し、月額家賃16万円で賃貸する場合を考えます。年間家賃収入は192万円です。一方、年間経費として管理費12万円、修繕積立金18万円、固定資産税・都市計画税20万円、火災保険料2万円、賃貸管理委託費(家賃の5%)9.6万円、原状回復費用積立6万円の合計67.6万円が発生します。

この場合、実質利回りは(192万円-67.6万円)÷5,500万円×100=2.26%となります。表面利回りの3.49%と比較すると、1.23ポイントも低くなることが分かります。

さらに正確な収益性を把握するには、空室期間も考慮する必要があります。年間で1ヶ月の空室を想定すると、実際の家賃収入は176万円となり、実質利回りは1.97%まで下がります。このように、現実的なシミュレーションを行うことで、投資判断の精度が高まります。

2026年のファミリーマンション実質利回り相場

不動産投資において、相場を知ることは適正な投資判断の基準となります。2026年2月時点でのファミリーマンション実質利回りの相場を、エリア別に見ていきましょう。

日本不動産研究所のデータによると、2026年2月時点の東京23区におけるファミリーマンションの平均表面利回りは3.8%です。実質利回りに換算すると、経費率を考慮して概ね2.5〜3.0%程度が相場となっています。都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)では2.0〜2.5%、城南エリア(品川区、目黒区、世田谷区など)で2.3〜2.8%、城東エリア(江東区、墨田区、江戸川区など)で2.8〜3.3%という傾向が見られます。

首都圏の他のエリアでは、横浜市で3.0〜3.5%、川崎市で3.2〜3.7%、さいたま市で3.5〜4.0%、千葉市で3.8〜4.3%程度が一般的です。地方都市では、大阪市で3.5〜4.0%、名古屋市で3.8〜4.3%、福岡市で4.0〜4.5%、札幌市で4.5〜5.0%といった水準となっています。

これらの数値は築年数や立地条件によって大きく変動します。駅徒歩5分以内の好立地物件は利回りが低めになる一方、駅から離れた物件や築古物件では利回りが高くなる傾向があります。ただし、高利回りには相応のリスクが伴うため、単純に数値だけで判断するのは危険です。

また、2026年は新築マンション価格の高騰が続いており、東京23区の平均価格は7,580万円(前年比+3.2%)に達しています。この価格上昇により、新築物件の利回りは低下傾向にある一方、中古物件への投資需要が高まっている状況です。

実質利回りを左右する重要な経費項目

実質利回りを正確に把握するには、どのような経費が発生するのかを詳しく理解する必要があります。各経費項目の特徴と相場を見ていきましょう。

管理費と修繕積立金は、マンション投資における最も大きな固定費です。管理費は共用部分の清掃、設備点検、管理人の人件費などに充てられ、70㎡のファミリーマンションで月額1万〜1.5万円程度が一般的です。修繕積立金は将来の大規模修繕に備えるもので、築年数とともに増額される傾向があります。新築時は月額5,000円程度でも、築20年を超えると2万円以上になることも珍しくありません。

固定資産税と都市計画税は、物件の評価額に応じて毎年課税されます。東京都内の5,000万円程度のファミリーマンションでは、年間15万〜25万円程度が目安です。新築時は軽減措置があり負担が少ないものの、数年後には通常税率に戻るため、長期的な計画に組み込む必要があります。

賃貸管理委託費は、入居者募集や家賃回収、トラブル対応などを管理会社に委託する費用です。相場は家賃の3〜5%で、月額家賃15万円の物件なら月4,500円〜7,500円となります。自主管理すれば節約できますが、時間と労力を考えると、多くの投資家は管理会社に委託しています。

原状回復費用も見落とせない経費です。入居者が退去する際、クリーニングや設備交換が必要になります。ファミリータイプでは1回あたり30万〜50万円程度かかることが多く、5年に1回の頻度を想定すると、年間6万〜10万円を積み立てておくべきです。

火災保険料は建物の構造や補償内容によって異なりますが、年間1万〜3万円程度が一般的です。地震保険を付帯する場合は、さらに年間2万〜4万円程度が加算されます。

実質利回りを高めるための実践的戦略

実質利回りを向上させるには、収入を増やすか経費を削減するかの2つのアプローチがあります。両面から具体的な戦略を考えていきましょう。

家賃収入を増やす最も効果的な方法は、物件の付加価値を高めることです。リノベーションによって室内を魅力的にすれば、周辺相場より高い家賃設定が可能になります。例えば、築20年の物件に200万円投資してキッチンや浴室を最新設備に交換し、フローリングを張り替えることで、月額家賃を2万円アップできれば、年間24万円の収入増となります。投資回収期間は約8年となり、その後は純粋な収益増加につながります。

設備面では、宅配ボックスの設置、インターネット無料化、防犯カメラの増設などが入居者に好評です。特にファミリー層は子育て環境を重視するため、セキュリティ強化は家賃アップの正当な理由になります。月額1万円の家賃アップができれば、年間12万円の収入増です。

経費削減では、まず管理会社の見直しが効果的です。複数の管理会社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討しましょう。管理委託費を家賃の5%から3%に下げられれば、月額家賃15万円の物件で年間3.6万円の経費削減になります。

火災保険も見直しの余地があります。複数の保険会社を比較し、必要な補償内容を精査することで、年間数千円から1万円程度の節約が可能です。10年一括払いにすると、さらに割引が適用されることもあります。

修繕積立金の適正化も重要です。管理組合の総会で長期修繕計画を確認し、過剰な積立になっていないかチェックしましょう。ただし、将来の大規模修繕に備えて極端に削減するのは避けるべきです。

空室期間を短縮することも実質利回り向上に直結します。退去が決まったら速やかに原状回復を行い、複数の仲介会社に募集を依頼します。繁忙期(1〜3月)に合わせて募集活動を行えば、空室期間を最小限に抑えられます。

ファミリーマンション投資のリスクと対策

実質利回りだけでなく、投資に伴うリスクを理解し、適切な対策を講じることが長期的な成功につながります。ファミリーマンション特有のリスクと対処法を見ていきましょう。

空室リスクは不動産投資における最大の懸念事項です。ファミリーマンションは単身者向け物件と比べて入居期間が長い傾向がありますが、一度空室になると次の入居者が決まるまで時間がかかることがあります。対策としては、立地選びが最も重要です。小学校や保育園が近く、スーパーや病院などの生活施設が充実したエリアを選ぶことで、ファミリー層からの需要を確保できます。

家賃下落リスクも考慮すべき要素です。築年数の経過とともに、周辺の新築物件との競争で家賃を下げざるを得ない状況が生じます。築10年で5〜10%、築20年で15〜20%程度の家賃下落を想定した収支計画を立てることが賢明です。定期的なメンテナンスやリフォームによって物件の魅力を維持することで、家賃下落を最小限に抑えられます。

修繕費の増加も長期投資では避けられません。築15年を超えると給湯器やエアコンなどの設備交換が必要になり、築25年前後では大規模修繕が実施されます。修繕積立金だけでなく、一時金の徴収が発生する可能性もあるため、予備資金として物件価格の10%程度を確保しておくと安心です。

金利上昇リスクは変動金利でローンを組んでいる場合に特に重要です。2026年現在、日本の金利は依然として低水準ですが、将来的な上昇可能性を考慮する必要があります。金利が1%上昇した場合の返済額増加をシミュレーションし、それでもキャッシュフローがプラスを維持できるか確認しましょう。

災害リスクへの備えも欠かせません。地震や水害などの自然災害は物件価値を大きく損なう可能性があります。購入前にハザードマップを確認し、地震保険や水災補償を含む火災保険に加入することで、リスクを軽減できます。

成功するファミリーマンション投資の物件選び

実質利回りを確保しながら長期的に安定した収益を得るには、物件選びが最も重要です。ファミリーマンション投資で成功するための選定基準を具体的に解説します。

立地条件は収益性を左右する最大の要素です。駅徒歩10分以内、できれば5分以内の物件を選ぶことで、空室リスクを大幅に低減できます。ファミリー層は通勤・通学の利便性を重視するため、主要駅へのアクセスが良い路線沿いの物件が有利です。また、小学校区も重要な判断材料となります。評判の良い公立小学校の学区内にある物件は、長期入居が期待できます。

周辺環境の充実度も見逃せません。徒歩圏内にスーパーマーケット、ドラッグストア、病院、公園があることが理想的です。特に公園の存在はファミリー層にとって大きな魅力となります。実際に現地を訪れて、子育て世帯が住みやすい環境かどうかを確認しましょう。

築年数と価格のバランスを見極めることも大切です。新築は価格が高く利回りが低い一方、築古物件は利回りが高くても修繕費がかさみます。築10〜20年の物件は、価格と設備のバランスが取れており、実質利回りを確保しやすい傾向があります。ただし、管理状態を必ず確認し、修繕履歴や長期修繕計画をチェックしましょう。

間取りと専有面積も重要な要素です。ファミリー向けとしては3LDKで65〜80㎡程度が標準的で、需要が安定しています。2LDKは小さすぎ、4LDKは家賃が高くなりすぎて需要が限られるため、3LDKが最もバランスが良いと言えます。

建物の管理体制も確認すべきポイントです。管理組合が適切に機能しており、修繕積立金が計画的に積み立てられているか、総会議事録などで確認しましょう。管理が行き届いていない物件は、将来的に大きな出費が発生するリスクがあります。

実質利回りシミュレーションの実践例

理論だけでなく、具体的な数値を使ったシミュレーションで実質利回りを理解しましょう。3つの異なるケースを比較することで、投資判断のポイントが見えてきます。

ケース1は東京都心部の築15年ファミリーマンションです。物件価格6,000万円、専有面積70㎡、3LDK、駅徒歩5分の好立地です。月額家賃は17万円で年間収入204万円、表面利回りは3.4%となります。年間経費として、管理費14.4万円、修繕積立金21.6万円、固定資産税・都市計画税22万円、火災保険料2万円、賃貸管理委託費10.2万円、原状回復費用積立8万円の合計78.2万円が発生します。実質利回りは(204万円-78.2万円)÷6,000万円×100=2.10%です。

ケース2は東京郊外の築10年ファミリーマンションです。物件価格4,500万円、専有面積75㎡、3LDK、駅徒歩8分の立地です。月額家賃は14万円で年間収入168万円、表面利回りは3.73%となります。年間経費として、管理費10.8万円、修繕積立金15.6万円、固定資産税・都市計画税16万円、火災保険料1.8万円、賃貸管理委託費8.4万円、原状回復費用積立6万円の合計58.6万円が発生します。実質利回りは(168万円-58.6万円)÷4,500万円×100=2.43%です。

ケース3は地方都市の築5年ファミリーマンションです。物件価格3,000万円、専有面積70㎡、3LDK、駅徒歩10分の立地です。月額家賃は11万円で年間収入132万円、表面利回りは4.4%となります。年間経費として、管理費9.6万円、修繕積立金12万円、固定資産税・都市計画税11万円、火災保険料1.5万円、賃貸管理委託費6.6万円、原状回復費用積立5万円の合計45.7万円が発生します。実質利回りは(132万円-45.7万円)÷3,000万円×100=2.88%です。

これらのシミュレーションから、物件価格が低い地方都市の方が実質利回りは高くなる傾向が分かります。しかし、都心部の物件は資産価値の下落リスクが低く、売却時の出口戦略も立てやすいという利点があります。単純に利回りだけで判断せず、総合的な投資戦略の中で検討することが重要です。

長期保有を前提とした収益計画の立て方

ファミリーマンション投資は長期保有が基本となるため、10年、20年先を見据えた収益計画が必要です。時間経過に伴う変化を織り込んだ計画の立て方を解説します。

まず家賃収入の変動を現実的に予測しましょう。新築や築浅物件は当初の家賃を維持しやすいものの、築10年を過ぎると周辺相場との比較で徐々に下落していきます。一般的には5年ごとに5%程度の下落を想定するのが妥当です。月額15万円でスタートした家賃は、10年後に13.5万円、20年後に12万円程度になる可能性があります。

経費の増加も計画に組み込む必要があります。特に修繕積立金は築年数とともに段階的に上昇します。新築時に月額5,000円だった積立金が、築15年で1.5万円、築25年で2.5万円になることも珍しくありません。管理費も物価上昇に伴って緩やかに増加する傾向があります。

大規模修繕のタイミングも重要な計画要素です。一般的に築12〜15年で第1回、築25〜30年で第2回の大規模修繕が実施されます。修繕積立金で賄えない場合、一時金として数十万円の負担が発生することもあります。これらの出費を事前に把握し、予備資金を確保しておくことが大切です。

ローン返済計画も長期的視点で考えましょう。変動金利を選択している場合、金利上昇リスクを考慮したシミュレーションが必要です。現在の金利に1〜2%上乗せした場合でも、キャッシュフローがマイナスにならないか確認します。また、繰り上げ返済によって利息負担を軽減する戦略も有効です。

税金面では、減価償却費による節税効果が年々減少していくことを理解しておきましょう。建物部分の減価償却は47年(RC造の場合)で行われるため、初期の節税効果は大きいものの、時間とともに効果は薄れていきます。

出口戦略も計画の一部として考えておくべきです。何年後にどのような条件で売却するのか、あるいは長期保有を続けるのか、複数のシナリオを想定しておきます。築20年程度までは比較的売却しやすいものの、それ以降は買い手が限られる傾向があります。

まとめ

ファミリーマンション投資における実質利回りは、表面利回りから各種経費を差し引いた、より現実的な収益性の指標です。2026年2月現在、東京23区では2.5〜3.0%程度が相場となっており、地方都市ではやや高めの水準となっています。

実質利回りを正確に計算するには、管理費、修繕積立金、固定資産税、賃貸管理委託費、原状回復費用など、すべての経費を漏れなく計上することが重要です。物件情報に記載された表面利回りだけで判断すると、実際の収益性を大きく見誤る可能性があります。

収益性を高めるには、リノベーションによる家賃アップ、管理会社の見直しによる経費削減、空室期間の短縮など、複数のアプローチがあります。また、立地条件、築年数、管理状態などを総合的に判断した物件選びが、長期的な投資成功の鍵となります。

ファミリーマンション投資は、単身者向け物件と比べて入居期間が長く安定した収益が期待できる一方、空室時の影響も大きくなります。リスクを理解し、適切な対策を講じながら、長期的な視点で収益計画を立てることが大切です。

実質利回りの数値だけにとらわれず、資産価値の維持、出口戦略、税務面でのメリットなども含めて、総合的に投資判断を行いましょう。不動産投資は長期的な資産形成の手段であり、焦らず慎重に進めることが成功への近道です。

参考文献・出典

  • 日本不動産研究所 – https://www.reinet.or.jp/
  • 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
  • 国土交通省 不動産情報ライブラリ – https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
  • 東京都主税局 固定資産税・都市計画税 – https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/
  • 公益財団法人 東日本不動産流通機構(REINS) – https://www.reins.or.jp/
  • 一般社団法人 不動産流通経営協会 – https://www.frk.or.jp/
  • 国土交通省 土地総合情報システム – https://www.land.mlit.go.jp/webland/

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