一棟アパートを購入したものの、毎月の管理費がどれくらいかかるのか不安に感じていませんか。管理費は不動産投資の収益性を大きく左右する重要な要素です。実は、管理費の内訳を正しく理解し、適切な管理会社を選ぶことで、年間数十万円のコスト削減も可能になります。この記事では、一棟アパートの管理費の相場から具体的な内訳、さらには賢い削減方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
一棟アパートの管理費とは何か

一棟アパートの管理費とは、物件を適切に維持管理するために必要な費用の総称です。区分マンションの管理費とは性質が異なり、オーナー自身が全額を負担する点が大きな特徴となります。
管理費には大きく分けて「管理委託費」と「建物維持費」の2つがあります。管理委託費は、管理会社に物件管理を依頼する際に支払う費用です。一方、建物維持費は清掃や設備点検、修繕など、物件を良好な状態に保つための実費となります。
多くの初心者オーナーが見落としがちなのは、管理費が固定費ではないという点です。入居者の入退去状況や建物の経年劣化によって、月々の支出は大きく変動します。そのため、余裕を持った資金計画を立てることが重要になります。
また、管理費は経費として計上できるため、確定申告時に節税効果も期待できます。ただし、修繕費と資本的支出の区別など、税務上の知識も必要となるため、税理士への相談も検討すると良いでしょう。
管理費の相場と内訳を知る

一棟アパートの管理費は、物件の規模や立地、築年数によって大きく異なります。一般的な相場としては、家賃収入の5〜15%程度が目安となります。例えば、月額家賃収入が50万円の物件であれば、管理費は2万5千円から7万5千円程度が標準的な範囲です。
管理委託費の相場は、家賃収入の3〜5%が一般的です。この費用には、入居者対応や家賃集金、契約更新手続きなどの業務が含まれます。管理会社によっては、基本料金に加えて入居者募集時の広告費や契約更新時の手数料が別途発生する場合もあるため、契約前に詳細を確認することが大切です。
建物維持費については、共用部分の清掃費が月額1万円から3万円、エレベーターがある場合は保守点検費として月額2万円から4万円が追加されます。さらに、消防設備の点検費用として年間5万円から10万円、貯水槽の清掃費用として年間3万円から5万円程度が必要になります。
国土交通省の調査によると、築10年以上の物件では修繕費が年々増加する傾向にあります。特に築20年を超えると、外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕が必要となり、一時的に数百万円の支出が発生することもあります。このような大規模修繕に備えて、月々の収入から修繕積立金を確保しておくことが賢明です。
管理委託と自主管理の違いを理解する
一棟アパートの管理方法には、管理会社に委託する「管理委託」と、オーナー自身が行う「自主管理」の2つの選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
管理委託の最大のメリットは、時間と手間を大幅に削減できる点です。入居者からのクレーム対応や家賃滞納の督促、設備トラブルの手配など、煩雑な業務をすべて管理会社が代行してくれます。特に本業が忙しい方や、物件から離れた場所に住んでいる方には、管理委託が適しています。また、プロの管理会社は入居者募集のノウハウも豊富で、空室期間を短縮できる可能性が高まります。
一方、自主管理のメリットは管理委託費を節約できることです。家賃収入の3〜5%を節約できれば、年間で数十万円のコスト削減につながります。さらに、入居者と直接コミュニケーションを取ることで、物件の状況をリアルタイムで把握でき、きめ細かな対応が可能になります。
しかし、自主管理には相応の労力が必要です。夜間や休日でも入居者からの連絡に対応しなければならず、プライベートの時間が制約されます。また、法律知識や税務知識が不足していると、トラブル時に適切な対応ができないリスクもあります。実際に、賃貸借契約や原状回復をめぐるトラブルは年々増加しており、専門知識なしでの対応は困難な場合が多いのです。
初心者の方には、まず管理委託から始めることをおすすめします。管理会社の業務を観察しながら不動産管理の知識を蓄積し、経験を積んだ後に自主管理へ移行するという段階的なアプローチが安全です。
管理費を削減する具体的な方法
管理費の削減は、不動産投資の収益性を高める重要な戦略です。ただし、過度な削減はサービス品質の低下を招き、結果的に空室率の上昇につながる可能性があるため、バランスを考えることが大切です。
まず検討すべきは、管理会社の見直しです。複数の管理会社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較することで、より条件の良い会社を見つけられる可能性があります。ただし、安さだけで選ぶのではなく、実績や対応力、入居者からの評判なども総合的に判断しましょう。管理会社を変更する際は、既存の入居者への影響を最小限に抑えるため、契約更新のタイミングに合わせることが望ましいです。
清掃費用の見直しも効果的です。共用部分の清掃頻度を週2回から週1回に減らすだけで、月額1万円程度の削減が可能になります。ただし、清潔さは入居者満足度に直結するため、物件の状態を定期的にチェックし、必要に応じて頻度を調整することが重要です。また、清掃業者を複数比較することで、同じサービス内容でもコストを抑えられる場合があります。
設備の保守点検費用も削減の余地があります。法定点検は省略できませんが、任意の点検については頻度を見直すことができます。例えば、エレベーターの保守点検を年12回から年6回に減らすことで、年間10万円程度の削減が可能です。ただし、設備の故障リスクが高まるため、築年数や使用頻度を考慮して判断する必要があります。
修繕費については、計画的な予防保全が長期的なコスト削減につながります。小さな不具合を放置すると、後に大規模な修繕が必要になり、結果的に高額な費用がかかります。定期的な点検を行い、問題を早期に発見して対処することで、トータルの修繕費を抑えることができます。
管理会社選びで失敗しないポイント
管理会社の選択は、一棟アパート経営の成否を左右する重要な決断です。適切な管理会社を選ぶことで、安定した賃貸経営と資産価値の維持が実現できます。
まず重視すべきは、管理会社の実績と専門性です。地域での管理戸数や管理年数、入居率などの実績を確認しましょう。特に、自分の物件と同じエリアや同じタイプの物件を多く管理している会社は、地域特性を理解しており、効果的な入居者募集や適切な家賃設定が期待できます。
入居者募集力も重要な判断基準です。自社で入居者募集を行っているか、他の仲介会社とのネットワークはどの程度あるか、インターネット広告の活用状況などを確認します。2025年12月時点で全国のアパート空室率は21.2%と依然として高い水準にあるため、強力な募集力を持つ管理会社を選ぶことが空室リスクの軽減につながります。
対応の迅速性とコミュニケーション能力も見逃せません。入居者からのクレームや設備トラブルに対して、どれだけ迅速に対応できるかは、入居者満足度に直結します。契約前に、実際の対応事例や緊急時の連絡体制について詳しく聞いておくことをおすすめします。また、オーナーへの報告頻度や内容についても確認し、定期的に物件の状況を把握できる体制が整っているかチェックしましょう。
契約内容の透明性も重要なポイントです。管理委託費の内訳、追加費用が発生する条件、契約解除の条件などを明確に確認します。特に、入居者募集時の広告費や契約更新時の手数料など、基本料金以外に発生する費用については、事前に詳細を把握しておくことでトラブルを防げます。
複数の管理会社を比較する際は、単に費用だけでなく、提供されるサービスの質と範囲を総合的に評価することが大切です。最も安い会社が必ずしも最良の選択とは限りません。長期的な視点で、安定した賃貸経営をサポートしてくれるパートナーを選びましょう。
まとめ
一棟アパートの管理費は、不動産投資の収益性を大きく左右する重要な要素です。家賃収入の5〜15%が一般的な相場ですが、物件の規模や築年数、管理方法によって大きく変動します。管理費の内訳を正しく理解し、管理委託費と建物維持費のバランスを考えることが、安定した賃貸経営の第一歩となります。
管理方法については、初心者の方はまず管理委託から始めることをおすすめします。時間と手間を削減しながら、プロの管理ノウハウを学ぶことができます。経験を積んだ後、自主管理への移行を検討するという段階的なアプローチが安全です。
管理費の削減は重要ですが、過度な削減はサービス品質の低下を招きます。管理会社の見直しや清掃頻度の調整、計画的な予防保全など、バランスを考えた削減方法を実践しましょう。特に、信頼できる管理会社を選ぶことは、長期的な資産価値の維持と安定した収益確保につながります。
これから一棟アパート投資を始める方も、すでに運営中の方も、管理費の適正化は継続的に取り組むべき課題です。定期的に管理費の内訳を見直し、必要に応じて管理方法や管理会社の変更を検討することで、より収益性の高い不動産投資を実現できます。まずは現在の管理費の内訳を確認し、改善できる点がないか検討してみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅統計 – https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2.html
- 公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会 – https://www.jpm.jp/
- 国土交通省 賃貸住宅管理業法 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000088.html
- 一般社団法人 全国賃貸不動産管理業協会 – https://www.zenchin.com/
- 国土交通省 不動産市場動向マンスリーレポート – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構 – https://www.reins.or.jp/
- 国税庁 不動産所得の必要経費 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm