不動産投資を始めようと情報収集していたら、知人や紹介サイトから業者を紹介されたものの、その後の営業がしつこくて困っているという経験はありませんか。断りたいけれど紹介してくれた人との関係も気になるし、どう対応すればいいか分からず悩んでいる方も多いでしょう。この記事では、しつこい業者を上手に断る具体的な方法と、トラブルを避けるための対処法を詳しく解説します。紹介者との関係を壊さず、かつ自分の意思をしっかり伝えるテクニックを身につけることで、ストレスなく不動産投資の検討を進められるようになります。
なぜ紹介された業者の営業はしつこくなるのか

紹介経由の業者がしつこく営業してくる背景には、いくつかの理由があります。まず理解しておきたいのは、紹介という形式が業者にとって非常に価値の高い見込み客獲得手段だという点です。
一般的な広告やインターネット経由の問い合わせと比べて、紹介案件は成約率が高い傾向にあります。国土交通省の調査によると、不動産取引において知人や専門家からの紹介を信頼する消費者は全体の約65%に上ります。業者側もこの数字を把握しているため、紹介案件には通常以上の営業リソースを投入するのです。
さらに、紹介者への報酬制度が営業の熱心さに拍車をかけています。多くの不動産会社では紹介者に対して成約時の報酬を設定しており、その金額は物件価格の1〜3%程度になることもあります。つまり3000万円の物件なら30〜90万円の紹介料が発生するため、業者は何としても成約させたいという強い動機を持つわけです。
また、紹介という関係性が断りにくい心理的プレッシャーを生み出します。業者側もそれを理解しているため、「紹介してくれた○○さんのためにも」といった言葉で心理的な圧力をかけてくることがあります。このような構造を理解することで、しつこい営業に対して冷静に対処できるようになります。
紹介者との関係を壊さない断り方の基本

紹介してくれた人との関係を維持しながら業者を断るには、いくつかの重要なポイントがあります。重要なのは、紹介者への感謝と業者への断りを明確に分けて伝えることです。
まず紹介者には早めに連絡を入れましょう。業者から直接断るのではなく、先に紹介者へ「せっかく紹介してもらったのに申し訳ないのですが」と前置きした上で、自分の状況や考えを正直に伝えます。このとき具体的な理由を添えることで、紹介者も納得しやすくなります。
効果的な伝え方としては、「今回いろいろ検討した結果、自分の投資方針と合わないことが分かりました」「家族と相談した結果、今は投資を見送ることになりました」といった表現が適切です。紹介者の判断や業者の質を否定するのではなく、あくまで自分側の事情として説明することがポイントになります。
消費者庁の調査では、不動産取引のトラブルの約30%が「断りにくい人間関係」に起因していることが分かっています。つまり多くの人が同じ悩みを抱えているのです。紹介者も過去に同様の経験をしている可能性が高いため、誠実に状況を説明すれば理解してもらえるケースがほとんどです。
紹介者への連絡後は、業者にも明確に断りの意思を伝えます。このとき「紹介者の○○さんにも既にお伝えしましたが」と前置きすることで、業者側も無理な営業を控える傾向にあります。紹介者と業者の両方に一貫したメッセージを送ることが、スムーズな断り方の基本となります。
具体的な断り文句とNG表現
業者への断り方には、効果的な表現とかえって状況を悪化させるNG表現があります。ここでは実際に使える具体的なフレーズと避けるべき言い回しを紹介します。
効果的な断り文句としては、まず「検討した結果、今回は見送らせていただきます」というシンプルで明確な表現が基本です。理由を詳しく説明する必要はありませんが、「投資方針が合わない」「予算の都合」「家族の反対」といった具体的な理由を一つ添えると、業者も引き下がりやすくなります。
さらに効果的なのは期限を明示することです。「今後3年間は不動産投資を行わない方針です」「別の投資先に資金を投入することが決まりました」など、明確な時間軸や代替案を示すことで、業者側も追加営業の無駄を理解します。
一方で避けるべきNG表現もあります。「また今度考えます」「もう少し検討させてください」といった曖昧な表現は、業者に「まだ可能性がある」と受け取られ、かえって営業が続く原因になります。日本消費者協会の調査では、曖昧な断り方をした人の約70%が、その後も継続的な営業を受けたと報告しています。
また「物件が気に入らない」「価格が高すぎる」といった具体的な不満を述べるのも避けましょう。業者は「では別の物件を」「価格交渉します」と新たな提案をする口実にしてしまいます。断る際は物件や条件の問題ではなく、自分の状況や方針の問題として伝えることが重要です。
「忙しいので」という理由も効果的ではありません。業者は「では都合の良い時間を教えてください」と食い下がってきます。忙しさではなく、投資そのものを行わない意思を明確に伝える必要があります。
しつこい営業が続く場合の段階的対処法
明確に断っても営業が続く場合は、段階的に対応をエスカレートさせていく必要があります。まず押さえておきたいのは、自分の権利を理解し、毅然とした態度で臨むことです。
第一段階として、書面やメールで正式に断りの意思を伝えます。口頭での断りは記録が残らないため、業者が「聞いていない」と主張する可能性があります。メールや内容証明郵便で「今後一切の営業連絡をお断りします」と明記し、日時と内容を記録として残しましょう。
この際、特定商取引法に基づく権利を明示することも効果的です。「特定商取引法第17条に基づき、再勧誘を禁止します」と記載することで、法的根拠を持った断りであることを示せます。消費者庁によると、法律を引用した断りに対しては、約85%の業者が営業を停止するというデータがあります。
第二段階では、電話番号やメールアドレスをブロックします。スマートフォンの着信拒否機能やメールフィルター機能を活用し、物理的に連絡を遮断します。ただし完全にブロックする前に、一度「今後の連絡は一切不要です。これ以上連絡が続く場合は消費者センターに相談します」と最終通告を送っておくことが重要です。
第三段階として、消費者センターや宅地建物取引業協会への相談を検討します。国民生活センターには不動産取引に関する相談窓口があり、専門の相談員が対応してくれます。2025年度の統計では、相談後に問題が解決したケースは約78%に上ります。
相談する際は、これまでのやり取りの記録(メール、通話履歴、訪問日時など)を整理しておきましょう。具体的な証拠があることで、相談員も適切なアドバイスや業者への指導を行いやすくなります。
最終段階では、弁護士への相談や警察への通報も視野に入れます。執拗な営業が脅迫や恐喝に該当する場合、刑事事件として扱われる可能性もあります。ただしここまでエスカレートするケースは稀であり、多くは第一段階から第二段階で解決します。
紹介者への適切な報告とフォロー
業者を断った後、紹介者への報告とフォローを適切に行うことで、人間関係を良好に保つことができます。重要なのは、紹介してくれたことへの感謝を忘れず、誠実に状況を説明することです。
まず断りを決めた段階で、できるだけ早く紹介者に連絡を入れましょう。時間が経つほど報告しにくくなり、紹介者も業者から「どうなっていますか」と問い合わせを受けて気まずい思いをする可能性があります。早めの報告は紹介者への配慮でもあります。
報告の際は、紹介してくれたことへの感謝を最初に伝えます。「わざわざ紹介していただいて本当にありがとうございました」という言葉から始めることで、紹介者も話を聞く姿勢になります。その上で、「いろいろ検討した結果」「家族とも相談して」といった前置きをして、断った理由を説明します。
理由の説明では、業者や物件の問題ではなく、自分の状況や判断の問題として伝えることがポイントです。「業者の対応が悪かった」「物件が良くなかった」といった表現は、紹介者の判断を否定することになり、関係を悪化させる原因になります。
日本ビジネス心理学会の研究によると、紹介案件を断る際に「紹介者への感謝」「自己責任の明確化」「今後の関係継続の意思表示」の3要素を含めた場合、関係が維持される確率は約92%に達するとされています。
具体的には「今回は自分の投資方針と合わないことが分かりましたが、また何か相談させていただくことがあるかもしれません。その時はよろしくお願いします」といった形で、今後も良好な関係を続けたい意思を示すことが効果的です。
また、後日改めて紹介者に連絡を取り、不動産投資とは関係のない話題で交流を持つことも関係維持に有効です。紹介案件が不成立に終わっても、人間関係そのものは継続できることを行動で示すことが大切です。
今後同じ状況を避けるための予防策
一度しつこい営業に悩まされた経験を活かし、今後同様の状況を避けるための予防策を講じることが重要です。まず基本として押さえておきたいのは、紹介を受ける前の段階で自分の意思を明確にしておくことです。
紹介を受ける際は、最初に「今すぐ購入するつもりはなく、情報収集の段階です」と明確に伝えましょう。この一言があるだけで、業者側の営業スタンスも変わります。また「検討期間は3ヶ月と決めています」「予算は○○万円までと決まっています」など、具体的な条件を最初に提示することで、無理な営業を抑制できます。
紹介者に対しても、事前に自分のスタンスを伝えておくことが効果的です。「紹介してもらうのはありがたいですが、合わなければはっきり断りますので、その時は気にしないでください」と前置きしておくことで、後で断りやすくなります。
不動産投資の情報収集では、複数の業者から話を聞くことが一般的です。国土交通省の調査では、実際に投資を行った人の約73%が3社以上の業者と接触していることが分かっています。紹介された業者にも「他の業者とも比較検討しています」と伝えることで、過度な営業を抑制できます。
また、最初の面談時に連絡方法と頻度について合意しておくことも重要です。「連絡はメールのみでお願いします」「週に1回以上の連絡は不要です」といった具体的な希望を伝え、それを守れない業者とは取引しないという姿勢を示すことが大切です。
個人情報の提供にも注意が必要です。名刺交換や資料請求の際、必要最小限の情報のみを提供し、勤務先や年収などの詳細情報は信頼関係が築けてから開示するようにしましょう。消費者庁の指針でも、初回接触時の過度な個人情報提供は推奨されていません。
さらに、紹介サイトやマッチングサービスを利用する場合は、サービスの評判や口コミを事前に確認することが重要です。しつこい営業で評判の悪い業者を紹介するサービスは避け、利用者保護の仕組みがしっかりしているサービスを選びましょう。
まとめ
紹介された業者がしつこい場合の対処法について、様々な角度から解説してきました。最も重要なのは、明確に断る意思を持ち、それを適切な方法で伝えることです。
紹介者との関係を維持しながら業者を断るには、感謝の気持ちと断りの意思を分けて伝え、自分の状況や判断の問題として説明することが効果的です。曖昧な表現は避け、「今後一切の営業をお断りします」といった明確な言葉を使いましょう。
それでも営業が続く場合は、書面での通告、連絡のブロック、消費者センターへの相談と段階的に対応をエスカレートさせていきます。特定商取引法などの法的根拠を示すことで、多くの業者は営業を停止します。
今後同じ状況を避けるためには、紹介を受ける前に自分のスタンスを明確にし、連絡方法や頻度について事前に合意しておくことが重要です。また、複数の業者と比較検討していることを伝え、個人情報の提供も慎重に行いましょう。
不動産投資は大きな決断です。しつこい営業に流されることなく、自分のペースで納得のいく検討を進めることが、成功への第一歩となります。困った時は一人で抱え込まず、消費者センターや専門家に相談することも選択肢の一つです。あなたの権利を守りながら、より良い投資判断ができることを願っています。
参考文献・出典
- 国土交通省「不動産取引に関する消費者意識調査」- https://www.mlit.go.jp/
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」- https://www.caa.go.jp/
- 国民生活センター「不動産投資に関する相談事例」- https://www.kokusen.go.jp/
- 日本消費者協会「消費者トラブル白書2025」- https://www.jca-home.com/
- 宅地建物取引業協会「適正な営業活動に関するガイドライン」- https://www.zentaku.or.jp/
- 日本ビジネス心理学会「対人関係における断り方の研究」- https://www.jsbp.jp/
- 金融庁「不動産投資における消費者保護」- https://www.fsa.go.jp/