築20年の中古物件を購入したいけれど、住宅ローンの審査が通るか不安に感じていませんか。新築に比べて審査が厳しいのではないか、そもそも融資を受けられるのだろうかと心配される方は少なくありません。実は築20年の物件でも、審査基準を正しく理解し適切な準備をすれば、十分に融資を受けることが可能です。この記事では、築20年物件における住宅ローン審査の実態から、審査を通りやすくする具体的な方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。物件選びから申し込みまでの流れを理解することで、あなたの住宅購入計画がスムーズに進むはずです。
築20年物件の住宅ローン審査が厳しくなる理由

築20年の物件に対する住宅ローン審査では、新築物件とは異なる評価基準が適用されます。金融機関が最も重視するのは、物件の担保価値と将来的な資産価値の維持です。
建物の構造によって耐用年数が異なることが、審査の厳しさに大きく影響します。木造住宅の法定耐用年数は22年、鉄骨造は34年、鉄筋コンクリート造は47年と定められています。築20年の木造住宅の場合、残存耐用年数がわずか2年となるため、金融機関は担保価値を低く評価する傾向にあります。一方、鉄筋コンクリート造のマンションであれば、まだ27年の耐用年数が残っているため、比較的審査に通りやすいといえます。
物件の維持管理状態も審査の重要なポイントです。築20年が経過していても、適切な修繕やメンテナンスが行われている物件は高く評価されます。特にマンションの場合、管理組合による長期修繕計画の有無や修繕積立金の状況が審査に影響します。国土交通省の調査によると、適切な修繕計画を持つマンションは資産価値の下落率が年間1〜2%程度に抑えられるのに対し、計画のない物件では年間3〜5%下落するケースもあります。
さらに立地条件が審査結果を左右します。駅から徒歩10分以内、主要都市圏内、周辺環境が良好といった条件を満たす物件は、築年数が古くても需要が見込めるため、金融機関の評価が高くなります。実際に、都心部の築20年マンションは郊外の新築物件よりも担保評価が高いケースも珍しくありません。
金融機関が重視する審査基準とは

住宅ローン審査では、物件の評価だけでなく借入者の返済能力が総合的に判断されます。金融機関が特に注目するのは、安定した収入と健全な財務状況です。
年収に対する返済比率が最も重要な指標となります。一般的に、年間返済額が年収の25〜35%以内に収まることが望ましいとされています。例えば年収500万円の場合、年間返済額は125万円から175万円、月々の返済額では約10万円から14万円が目安です。築20年物件の場合、物件価格が比較的安いため、この返済比率を満たしやすいというメリットがあります。
勤続年数と雇用形態も審査の重要な要素です。正社員で勤続3年以上あれば、安定した収入があると判断されやすくなります。一方、転職直後や自営業の場合は、過去3年分の確定申告書や決算書の提出を求められ、収入の安定性を厳しくチェックされます。2026年度の審査基準では、リモートワークの普及により雇用形態の評価方法も変化しつつあり、フリーランスでも継続的な取引実績があれば評価される傾向にあります。
他の借入状況も審査に大きく影響します。自動車ローンやカードローンなどの既存の借入がある場合、それらの返済額も含めた総返済比率で判断されます。クレジットカードのキャッシング枠も借入とみなされるため、使用していない枠は事前に解約しておくことが賢明です。個人信用情報機関に登録されている過去の延滞履歴も確認されるため、携帯電話料金の支払い遅延なども注意が必要です。
健康状態も見落とせないポイントです。多くの金融機関では団体信用生命保険への加入が融資条件となっています。持病がある場合でも、ワイド団信など条件付きで加入できる保険商品もありますが、保険料が割高になる点は考慮しておく必要があります。
築20年物件で審査を通りやすくする5つの方法
築20年の物件でも、適切な準備と戦略により審査通過の可能性を大きく高めることができます。ここでは実践的な5つの方法をご紹介します。
第一に、自己資金を多めに用意することが効果的です。物件価格の20〜30%を頭金として準備できれば、金融機関の評価は格段に上がります。例えば2000万円の物件なら400万円から600万円の自己資金です。頭金が多いほど借入額が減り、返済比率が改善されるため、審査に通りやすくなります。さらに、諸費用分として物件価格の5〜10%程度を別途用意しておくと、より安心です。
第二に、物件選びの段階で審査に有利な条件を意識することが重要です。鉄筋コンクリート造のマンション、駅近物件、管理状態の良好な物件を選ぶことで、担保評価を高められます。特にマンションの場合、管理組合の議事録や長期修繕計画書を事前に確認し、適切な管理が行われているかチェックしましょう。修繕積立金が計画通りに積み立てられている物件は、金融機関からの評価も高くなります。
第三に、複数の金融機関に相談することをお勧めします。都市銀行、地方銀行、信用金庫、ネット銀行など、それぞれ審査基準が異なります。ある銀行で断られても、別の金融機関では承認されるケースは珍しくありません。特に地域密着型の信用金庫は、大手銀行より柔軟な審査を行う傾向があります。住宅ローン専門のファイナンシャルプランナーに相談すれば、あなたの状況に最適な金融機関を紹介してもらえます。
第四に、既存の借入を整理することが効果的です。カードローンや自動車ローンがある場合、可能な限り完済してから住宅ローンを申し込みましょう。完済が難しい場合でも、残高を減らすだけで審査に有利に働きます。クレジットカードのキャッシング枠も、使用していなければ解約しておくことで、借入余力があると判断されやすくなります。
第五に、リフォーム費用を含めた一体型ローンの活用を検討しましょう。築20年の物件では、購入後にリフォームが必要になるケースが多くあります。リフォーム費用を別途借りるより、物件購入費用と一体化した方が金利面で有利です。さらに、耐震補強や省エネリフォームを行う場合、2026年度の住宅ローン減税制度の対象となる可能性もあります。ただし、リフォーム内容によっては審査が厳しくなる場合もあるため、事前に金融機関に相談することが大切です。
構造別に見る審査基準の違い
建物の構造によって審査基準が大きく異なることを理解しておくことは、物件選びの重要なポイントです。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
木造住宅の場合、築20年という年数は審査において最も厳しい評価を受けます。法定耐用年数22年に対して残り2年しかないため、担保価値はほぼ土地の評価のみとなるケースが一般的です。金融機関によっては、建物部分の融資を大幅に減額したり、借入期間を短く設定したりします。ただし、2000年以降に建築された新耐震基準を満たす物件や、定期的なメンテナンスが記録されている物件は、比較的評価が高くなります。
鉄骨造住宅は木造と鉄筋コンクリート造の中間的な評価となります。法定耐用年数34年のため、築20年でもまだ14年の耐用年数が残っています。軽量鉄骨と重量鉄骨で評価が分かれ、重量鉄骨の方が耐久性が高いと判断されます。都市部の3階建て住宅などに多く見られる構造で、適切な防錆処理が施されているかが審査のポイントになります。
鉄筋コンクリート造のマンションは、築20年物件の中で最も審査に通りやすい構造です。法定耐用年数47年に対して27年の残存期間があり、物理的にも十分な耐久性を持っています。国土交通省の調査では、適切に管理されたマンションの実際の寿命は60年以上とされており、築20年はまだ建物の中盤期といえます。特に大規模修繕が適切に実施されている物件は、新築に近い評価を受けることもあります。
構造に関わらず、耐震基準適合証明書の有無が審査に影響します。1981年6月以降の新耐震基準で建築された物件は評価が高く、それ以前の旧耐震基準の物件でも、耐震診断を受けて補強工事を実施していれば、審査上のマイナスを軽減できます。耐震基準適合証明書があれば、住宅ローン減税の対象にもなるため、取得しておくメリットは大きいといえます。
必要書類と審査の流れ
住宅ローン審査をスムーズに進めるためには、必要書類を事前に準備し、審査の流れを理解しておくことが重要です。
事前審査の段階では、本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードが必要です。収入を証明する書類として、会社員の場合は源泉徴収票や住民税決定通知書、自営業の場合は確定申告書3期分と納税証明書を用意します。物件に関する書類としては、販売図面や物件概要書、登記簿謄本のコピーなどが求められます。これらの書類を揃えて申し込むと、通常3〜7日程度で事前審査の結果が出ます。
事前審査に通過したら、本審査に進みます。本審査では、より詳細な書類の提出が必要です。住民票や印鑑証明書などの公的書類に加え、健康診断書や団体信用生命保険の申込書も提出します。物件に関しては、売買契約書、重要事項説明書、建物の図面、検査済証などが必要になります。築20年の物件では、建物状況調査報告書や既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書があると、審査に有利に働きます。
本審査には通常1〜2週間かかります。この期間中、金融機関は物件の現地調査を行い、担保価値を詳細に評価します。築20年物件の場合、建物の劣化状況や修繕履歴が重点的にチェックされます。マンションであれば、管理組合の財務状況や修繕積立金の積立状況も確認されます。
審査承認後は、金銭消費貸借契約を結び、融資実行となります。契約時には実印と印鑑証明書が必要で、司法書士による本人確認も行われます。融資実行は物件の引き渡し日に合わせて行われるのが一般的です。売買代金の決済と同時に抵当権設定登記が行われ、鍵の引き渡しを受けます。
審査期間中は、新たな借入をしたり転職したりすることは避けましょう。信用情報に変化があると、承認が取り消される可能性もあります。また、物件の売買契約には「ローン特約」を必ず付けておくことで、万が一審査に通らなかった場合でも、手付金が返還され契約を白紙に戻せます。
審査に落ちた場合の対処法
住宅ローン審査に落ちてしまっても、諦める必要はありません。原因を分析し、適切な対策を講じることで、再チャレンジの道は開けます。
まず審査に落ちた理由を金融機関に確認することが大切です。具体的な理由は教えてもらえないケースもありますが、「返済比率」「勤続年数」「物件評価」など、大まかな要因は把握できることがあります。理由が分かれば、それに応じた対策を立てられます。
返済比率が原因の場合、借入額を減らすか返済期間を延ばすことを検討しましょう。頭金を増やして借入額を減らせば、返済比率は改善されます。また、配偶者の収入を合算する「ペアローン」や「収入合算」を利用することで、世帯収入を基準に審査を受けられます。ただし、この場合は配偶者も債務者となるため、将来的なリスクも考慮が必要です。
物件評価が低いことが原因なら、物件の変更を検討することも一つの選択肢です。同じ予算内でも、構造や立地、管理状態の良い物件を選び直すことで、審査に通る可能性が高まります。特に木造からマンションへの変更は、担保評価の大幅な改善につながります。
信用情報に問題がある場合は、時間をかけて改善する必要があります。過去の延滞記録は一定期間が経過すれば消えますが、通常5年程度かかります。その間に、既存の借入を完済したり、クレジットカードの利用実績を積んだりすることで、信用力を高められます。
別の金融機関に申し込むことも有効な方法です。審査基準は金融機関ごとに異なるため、A銀行で落ちてもB銀行では通るケースは珍しくありません。特にフラット35は、民間金融機関とは異なる審査基準を持っているため、選択肢の一つとして検討する価値があります。フラット35では建物の技術基準を満たせば、築年数による制限が比較的緩やかです。
住宅金融支援機構が提供するフラット35は、築20年物件でも利用しやすい制度です。物件が建築基準法に適合し、住宅金融支援機構の定める技術基準を満たしていれば、築年数に関わらず最長35年の借入が可能です。金利は全期間固定型のため、将来の金利上昇リスクを避けたい方にも適しています。
まとめ
築20年物件の住宅ローン審査は、新築に比べて厳しい面もありますが、適切な準備と戦略により十分に融資を受けることが可能です。重要なのは、物件の構造や管理状態、立地条件を考慮した物件選びと、自己資金の準備、既存借入の整理など、審査に有利な条件を整えることです。
金融機関が重視するのは、物件の担保価値と借入者の返済能力です。鉄筋コンクリート造のマンションは築20年でも高い評価を受けやすく、木造住宅は土地の評価が中心となります。返済比率を年収の25〜35%以内に抑え、安定した収入と健全な信用情報を維持することが、審査通過の鍵となります。
審査に落ちた場合でも、原因を分析して対策を講じれば、再チャレンジの道は開けます。複数の金融機関に相談したり、フラット35などの公的融資制度を活用したりすることで、あなたに最適な住宅ローンが見つかるはずです。
築20年の中古物件は、新築に比べて価格が手頃で、立地の良い物件を選べるメリットがあります。適切な知識と準備を持って臨めば、理想の住まいを手に入れることができるでしょう。まずは信頼できる不動産会社や金融機関に相談し、あなたの状況に合った最適なプランを見つけることから始めてみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅局 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/
- 住宅金融支援機構 フラット35 – https://www.flat35.com/
- 一般社団法人 不動産流通経営協会 – https://www.frk.or.jp/
- 国土交通省 既存住宅流通活性化等事業 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000171.html
- 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会 – https://www.j-reform.com/
- 公益財団法人 マンション管理センター – https://www.mankan.or.jp/
- 日本銀行 金融機構局 – https://www.boj.or.jp/