不動産投資を始める際、多くの方が変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか悩まれます。特に変動金利は当初の金利が低く魅力的に見えますが、「危ない」「リスクが高い」という声も少なくありません。実際のところ、変動金利には確かにリスクがありますが、正しく理解して対策を講じれば、必ずしも避けるべき選択肢ではないのです。この記事では、変動金利の投資ローンが危ないと言われる理由を明確にし、そのリスクを最小限に抑える方法まで詳しく解説します。これから不動産投資を始める方も、すでに変動金利で借りている方も、ぜひ最後までお読みください。
変動金利の投資ローンが危ないと言われる3つの理由

変動金利の投資ローンが危険視される最大の理由は、金利上昇リスクにあります。変動金利は市場の金利動向に応じて半年ごとに見直されるため、経済情勢が変化すれば返済額が増加する可能性があるのです。
まず理解しておきたいのは、変動金利と固定金利の根本的な違いです。2026年2月現在、変動金利は1.5〜2.0%程度、固定10年は2.5〜3.0%程度となっています。一見すると変動金利の方が0.5〜1.0%も低く、月々の返済負担も軽いように感じられます。しかし、この金利差こそが将来のリスクプレミアムなのです。
具体的に3000万円を30年ローンで借りた場合を考えてみましょう。変動金利1.5%なら月々の返済額は約10万3千円ですが、もし金利が3.0%に上昇すれば約12万7千円に跳ね上がります。年間で約29万円、30年間では数百万円の差が生じる計算です。この返済額の増加が、投資物件の収支を圧迫し、最悪の場合は赤字転落につながる恐れがあります。
さらに問題なのは、金利上昇のタイミングが予測できないことです。日本銀行の金融政策は経済状況に応じて変更されますが、投資家がそれを正確に予測することは困難です。2024年以降、日本でも金融政策の正常化が進み、長年続いた超低金利時代が転換期を迎えています。つまり、今後は金利が上昇する可能性が以前よりも高まっているのです。
金利上昇が投資収支に与える具体的な影響

金利上昇は単に返済額が増えるだけでなく、不動産投資全体の収益構造を根本から変えてしまいます。ここでは実際の数字を使って、その影響を見ていきましょう。
例えば、家賃収入が月15万円の投資物件を考えます。変動金利1.5%で3000万円を借りた場合、月々の返済額は約10万3千円です。管理費や修繕積立金、固定資産税などを合わせて月3万円とすると、手元に残るキャッシュフローは約1万7千円となります。年間で約20万円の利益が見込める計算です。
しかし、金利が2.5%に上昇すると、返済額は約11万9千円に増加します。すると月々のキャッシュフローは約3千円まで減少し、年間利益はわずか約4万円です。さらに金利が3.5%になれば、返済額は約13万5千円となり、月々2万円以上の赤字に転落してしまいます。
この例から分かるように、わずか1〜2%の金利上昇でも、投資の収益性は大きく変わります。特に問題なのは、空室が発生した場合です。金利が低い時期なら一時的な空室にも耐えられますが、金利上昇後は自己資金を持ち出さなければならない状況に陥りやすくなります。全国銀行協会のデータによると、2026年2月時点で変動金利は1.5〜2.0%程度ですが、過去には4〜5%の時期もありました。長期的な視点で見れば、現在の金利水準は歴史的に見ても低い水準にあるのです。
変動金利を選ぶべき人、避けるべき人の特徴
変動金利が危ないからといって、すべての投資家が避けるべきというわけではありません。重要なのは、自分の投資スタイルやリスク許容度に合った選択をすることです。
変動金利が向いているのは、まず十分な自己資金を持っている投資家です。具体的には、物件価格の30%以上の頭金を入れられる方や、予備資金として年間返済額の2〜3年分を確保できる方です。金利が上昇しても、自己資金で対応できる余裕があれば、変動金利の低金利メリットを最大限に活かせます。
また、短期間での売却を視野に入れている投資家にも変動金利は適しています。5〜10年程度で物件を売却する計画なら、その期間中に大幅な金利上昇が起きるリスクは比較的低いと言えます。さらに、複数の物件を所有している経験豊富な投資家も、ポートフォリオ全体でリスク分散できるため、一部の物件で変動金利を選択する余地があります。
一方で、変動金利を避けるべきなのは、ギリギリの資金計画で投資を始める初心者です。自己資金が少なく、フルローンやオーバーローンで物件を購入する場合、金利上昇時の返済負担増に耐えられない可能性が高くなります。また、給与収入が不安定な方や、他にも借入がある方も、変動金利のリスクは大きすぎるでしょう。
さらに注意が必要なのは、老後の安定収入を目的とした投資家です。30年という長期ローンを組む場合、その間に金利が上昇する可能性は極めて高く、老後の生活設計が狂うリスクがあります。このような場合は、多少金利が高くても固定金利を選び、将来の返済額を確定させる方が安全です。
変動金利のリスクを最小限に抑える5つの対策
変動金利を選択する場合でも、適切な対策を講じることでリスクを大幅に軽減できます。ここでは実践的な5つの方法をご紹介します。
第一の対策は、返済額の上昇を想定したシミュレーションを行うことです。現在の金利だけでなく、金利が1%、2%、3%上昇した場合の返済額と収支を必ず計算しましょう。金利が3%上昇しても赤字にならない物件なら、比較的安全に変動金利を選択できます。このシミュレーションは、物件購入前の段階で必ず実施すべき重要なステップです。
第二に、繰り上げ返済を積極的に活用することです。金利が低い時期に余裕資金ができたら、迷わず繰り上げ返済を行いましょう。元本を減らすことで、将来の金利上昇時の影響を小さくできます。特に期間短縮型の繰り上げ返済は、総返済額を大きく削減する効果があります。毎月の家賃収入から一定額を繰り上げ返済用に積み立てる習慣をつけることをお勧めします。
第三の対策は、金利上昇時の借り換えを視野に入れることです。変動金利が大きく上昇した場合、固定金利への借り換えを検討する選択肢があります。ただし、借り換えには手数料がかかるため、金利差が1%以上あり、残存期間が10年以上ある場合に検討する価値があります。複数の金融機関の条件を定期的にチェックし、有利な借り換え先を把握しておくことが大切です。
第四に、予備資金を必ず確保しておくことです。理想的には、年間返済額の2〜3年分を別口座で管理し、金利上昇や空室発生時に備えます。この予備資金は投資に回さず、流動性の高い普通預金や定期預金で保管しましょう。予備資金があることで、一時的な収支悪化にも冷静に対応できます。
第五の対策は、金利動向を定期的にチェックする習慣をつけることです。日本銀行の金融政策決定会合の結果や、長期金利の動きを月に一度は確認しましょう。金利上昇の兆候を早期に察知できれば、繰り上げ返済や借り換えなどの対策を先手で打つことができます。経済ニュースに関心を持ち、マクロ経済の動きを理解することも、不動産投資家として重要なスキルです。
変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか
最終的に変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきかは、投資家の状況によって異なります。ここでは判断基準となるポイントを整理します。
基本的な考え方として、リスク許容度と投資期間が重要な判断材料になります。リスクを取れる投資家は変動金利で低金利のメリットを享受し、安定を重視する投資家は固定金利で将来の不確実性を排除するという選択が合理的です。
具体的な判断基準として、まず自己資金比率を確認しましょう。物件価格の30%以上の頭金を用意できるなら、変動金利を選択する余地があります。一方、自己資金が20%未満の場合は、固定金利で返済額を確定させる方が安全です。また、投資経験も重要な要素です。初めての不動産投資なら、まずは固定金利で経験を積み、2件目以降で変動金利を検討するという段階的なアプローチも有効です。
年齢と投資期間も考慮すべきポイントです。30代で30年ローンを組む場合、途中で金利が上昇する可能性が高いため、固定金利の方が安心できます。一方、50代で10年程度の短期ローンを組むなら、変動金利のメリットを活かしやすいでしょう。
実は、変動金利と固定金利を組み合わせるミックスローンという選択肢もあります。例えば、借入額の半分を変動金利、残り半分を固定金利にすることで、リスクとリターンのバランスを取ることができます。この方法なら、金利が上昇しても影響は半分に抑えられ、金利が低いままなら固定金利部分以外は低金利のメリットを享受できます。
また、物件の収益性も判断材料になります。利回りが高く、キャッシュフローに余裕がある物件なら、多少の金利上昇にも耐えられるため変動金利を選びやすくなります。逆に、利回りが低く収支がギリギリの物件では、固定金利で安定性を確保すべきです。国土交通省のデータによると、都心部の投資用マンションの平均利回りは4〜5%程度ですが、この水準では金利上昇リスクに十分な注意が必要です。
まとめ
変動金利の投資ローンが危ないと言われる理由は、金利上昇による返済額増加のリスクにあります。わずか1〜2%の金利上昇でも、月々の返済額は数万円増加し、投資収支を大きく悪化させる可能性があるのです。特に自己資金が少ない初心者や、長期ローンを組む投資家にとって、このリスクは無視できません。
しかし、変動金利が必ずしも悪い選択というわけではありません。十分な自己資金を持ち、金利上昇を想定したシミュレーションを行い、適切な対策を講じることで、変動金利の低金利メリットを安全に享受することも可能です。繰り上げ返済の活用、予備資金の確保、金利動向のチェックなど、リスク管理を徹底することが成功の鍵となります。
最も重要なのは、自分の投資スタイルとリスク許容度に合った選択をすることです。無理な資金計画で変動金利を選ぶのではなく、最悪のシナリオでも耐えられる計画を立てましょう。不動産投資は長期戦です。目先の金利の低さに惑わされず、10年後、20年後も安定した収益を得られる堅実な選択を心がけてください。変動金利のリスクを正しく理解し、適切に対処することで、あなたの不動産投資はより確実な成功へと近づくはずです。
参考文献・出典
- 全国銀行協会 – https://www.zenginkyo.or.jp/
- 日本銀行 金融政策 – https://www.boj.or.jp/
- 国土交通省 不動産市場動向 – https://www.mlit.go.jp/
- 金融庁 金融サービス利用者相談室 – https://www.fsa.go.jp/
- 住宅金融支援機構 – https://www.jhf.go.jp/
- 不動産投資連合会 – https://www.reia.or.jp/
- 総務省統計局 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp/