不動産の税金

アパート経営の収益性は本当に儲かる?

アパート経営に興味はあっても、「実際に儲かるのか」「空室が多いと赤字になるのでは」と不安に感じる方は多いはずです。家賃収入で安定したキャッシュフローを得られれば魅力的ですが、初期費用や管理コスト、税金まで考えると難しそうにも思えます。本記事では、15年以上アパート経営を続けてきた筆者が、最新データを交えつつ収益性の考え方を基礎から解説します。読み終えたころには、どのように数字を見れば「アパート経営 収益性 儲かる」のかを自分で判断できるようになるでしょう。

アパート経営で利益が生まれる仕組み

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まず押さえておきたいのは、アパート経営の利益が「家賃収入-支出」で決まるという極めてシンプルな構造です。家賃収入には共益費や駐車場料金も含まれ、支出にはローン返済、管理費、修繕費、税金が並びます。つまり総収入の最大化と総支出の最小化を同時に図ることが、儲かる経営への第一歩になります。

しかし、家賃収入は入居率によって大きく変動します。国土交通省住宅統計によると、2025年7月の全国アパート空室率は21.2%で前年比0.3ポイント低下しました。この数字は一見高く感じるかもしれませんが、地域格差が大きい点が重要です。都心駅近エリアでは10%台前半まで改善している一方、地方郊外では30%を超えるケースも少なくありません。

また、支出の中でもメンテナンス費用は見過ごされがちです。築10年を超える頃から外壁塗装や給湯器交換などの大規模修繕が必要になります。適切な長期修繕計画を立てずに家賃だけを追い求めると、突然の出費でキャッシュフローが一気に悪化するので注意が必要です。

収益性を左右する五つの指標

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ポイントは、投資判断を数値化することで感覚的な不安を減らすことです。収益性を測る代表的な指標として「表面利回り」「実質利回り」「キャッシュフロー」「自己資金回収期間」「資産価値の伸び」が挙げられます。

まず表面利回りは、年間家賃収入を物件価格で割ったシンプルな比率です。利回り10%と聞くと高収益に見えますが、管理費や修繕費を差し引くと実質利回りは7%程度まで下がることが一般的です。この差が大きいほどランニングコストがかさんでいると理解できます。

キャッシュフローは、税引き前の手残り金額を示す実額です。例えば年間家賃収入960万円、経費と返済合計が780万円なら、キャッシュフローは180万円となります。数字が明確になると、次の修繕に備える貯蓄計画も立てやすくなります。

自己資金回収期間は、投入した自己資金を何年で回収できるかを示します。自己資金1,000万円で年間キャッシュフロー200万円なら、5年で元が取れる計算です。短ければ短いほど再投資のチャンスが増えるため、筆者は10年以内を目安にしています。

最後に資産価値の伸びを見逃してはいけません。同じ利回りでも、将来的に土地値が上がるエリアと下がるエリアでは最終的な儲けが大きく変わります。国勢調査や都市計画マスタープランを確認し、人口増加や再開発予定があるかを必ずチェックしましょう。

初心者が見落としやすいリスクと対策

実は、アパート経営が「儲からない」と感じる多くのケースでリスク管理が不十分です。空室リスク・家賃下落リスク・金利上昇リスクの三つを想定し、事前に対策を講じることが肝心です。

空室リスクには、立地改善よりも入居者ターゲットの明確化が効果的です。大学近くでは学生向けにネット無料を提供し、都市部の単身者向けには家具付きプランを用意するといった差別化が入居率を押し上げます。また、募集開始を退去2カ月前から行うなど、管理会社と連携して先手を打つことが大切です。

家賃下落リスクについては、築年数に応じたリノベーションと家賃改定のタイミングを見極めることがポイントになります。例えば築15年で水回りを一新し、周辺相場より1割高い家賃を実現できた事例もあります。投資額と家賃アップのバランスを検証し、無駄な改装を避けることが費用対効果を高める秘訣です。

金利上昇リスクは、固定金利を選ぶか、変動金利でも繰上返済用の資金をプールすることで抑えられます。日銀の長期金利誘導目標が上昇した場合、変動金利は反応が早い傾向があります。したがって返済比率を家賃収入の50%以内に収め、金利2%上昇後でもキャッシュフローが黒字になるか試算しておきましょう。

2025年度の融資・税制優遇を活用する

重要なのは、国の制度を正しく使いこなして支出を減らすことです。2025年度も引き続き、新築賃貸住宅に対する固定資産税の3年間半額措置が継続されています。建物評価額が年間60万円なら、3年間で90万円の節税効果が期待できます。

さらに、アパートローン金利はメガバンクよりも地方銀行や信用金庫のほうが柔軟な審査を行う場合があります。2025年9月時点での平均変動金利は年2.3%前後ですが、実績のある投資家は1.8%台の提示を受けることも珍しくありません。新規参入者でも自己資金を30%用意し、長期修繕計画を提示すると好条件を引き出せる可能性が高まります。

また、青色申告特別控除は賃貸業でも最大65万円を適用でき、家族への給与支払いを経費化することで所得税を軽減できます。税理士に依頼する費用を差し引いても手残りが増えるケースが多いため、早い段階で専門家と組むメリットは大きいでしょう。

儲かるアパート経営を実現するステップ

まず、投資エリアを絞り込み、空室率と家賃水準をデータで確認します。次に、物件ごとに五つの指標を算出し、自己資金回収期間が目標内に収まるかをチェックします。そのうえで、リスク別シナリオ(空室率30%、家賃5%下落、金利3%上昇)でも収支が黒字かどうかを検証すると安心です。

物件選定後は、融資条件と管理体制を同時並行で整えます。管理会社との契約では、入居付けのスピードや修繕対応力を評価し、手数料率だけで決めないことが長期的な収益性を高めます。さらに、家賃送金明細を毎月チェックし、早期に数値の異変を察知する習慣をつけると大きなトラブルを防げます。

最後に、キャッシュフローの一部を修繕積立と次の投資準備金に分けることで、安定経営と拡大戦略の両立が可能になります。筆者の場合、手残りの40%を修繕積立、30%を再投資、残り30%を生活費に充当するルールで運用し、10年で保有戸数を3倍に増やしました。数字を味方につけ、計画と実行を継続すればアパート経営は十分「儲かる」ビジネスになり得ます。

まとめ

本記事では、アパート経営の収益性を判断する仕組みと五つの指標、さらに2025年度の制度活用法まで解説しました。数字で可視化し、リスクを先回りして管理すれば、安定した家賃収入を得ることは決して難しくありません。まずは気になる物件を見つけたら、実質利回りとキャッシュフローを算出し、空室や金利変動のシナリオにも耐えられるかを確認しましょう。行動に移すことで、データだけでは見えない市場感覚も養われます。あなたも今日から一歩踏み出し、堅実に「アパート経営 収益性 儲かる」を実現してみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省住宅局「住宅・土地統計調査」 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本銀行「主要金融指標」 – https://www.boj.or.jp
  • 総務省統計局「国勢調査」 – https://www.stat.go.jp
  • 国税庁「青色申告制度の概要」 – https://www.nta.go.jp
  • 各都道府県都市計画課「都市計画マスタープラン」 – 各自治体公式サイト

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