公務員として安定した収入を得ながら、将来の資産形成や老後の備えとしてアパート経営に興味を持つ方が増えています。しかし「公務員は副業禁止では?」「どこから始めればいいのか分からない」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。実は公務員でも一定の条件を満たせば、合法的にアパート経営を行うことができます。この記事では、公務員がアパート経営を始めるための具体的な手順から、注意すべきポイント、成功のコツまで、初心者にも分かりやすく解説していきます。公務員ならではの信用力を活かした不動産投資の始め方を、一緒に学んでいきましょう。
公務員でもアパート経営は可能なのか

多くの公務員が最初に抱く疑問が「そもそも公務員は副業禁止なのでは?」というものです。確かに国家公務員法や地方公務員法では営利目的の副業が制限されていますが、実は一定の条件を満たせばアパート経営は認められています。
重要なのは、アパート経営が「自営兼業」として扱われる点です。人事院規則では、一定規模以下の不動産賃貸であれば許可なく行えると定められています。具体的には、独立家屋の賃貸なら5棟未満、アパート・マンションなら10室未満、駐車場なら10台未満という基準があります。また、年間の賃料収入が500万円未満であることも条件の一つです。
ただし、これらの基準を超える場合でも、所属機関に申請して許可を得られれば経営は可能です。許可申請では、本業に支障をきたさないこと、公務の公正性を損なわないことなどが審査されます。実際に多くの公務員が適切な手続きを経てアパート経営を行っており、2026年現在では地方自治体を中心に柔軟な対応が進んでいます。
さらに公務員には大きなメリットがあります。それは金融機関からの信用力の高さです。安定した収入と雇用が保証されているため、住宅ローンや不動産投資ローンの審査が通りやすく、有利な条件で融資を受けられる可能性が高いのです。この信用力を活かすことが、公務員のアパート経営成功の第一歩となります。
アパート経営を始める前に押さえておくべき基礎知識

アパート経営を始める前に、不動産投資の基本的な仕組みを理解しておくことが重要です。まず知っておきたいのは、アパート経営の収益構造です。家賃収入から管理費、修繕費、固定資産税、ローン返済額などを差し引いた金額が実質的な利益となります。
キャッシュフローという概念も押さえておきましょう。これは毎月の収入と支出の差額を指し、プラスであれば黒字、マイナスであれば持ち出しが発生している状態です。初心者が陥りがちな失敗は、表面利回りだけを見て物件を選んでしまうことです。表面利回りは年間家賃収入を物件価格で割った数値ですが、実際には諸経費がかかるため、実質利回りで判断する必要があります。
国土交通省の2026年2月のデータによると、全国のアパート空室率は21.2%となっており、前年比で0.3%改善しています。しかし依然として5室に1室以上が空室という状況であり、立地選びの重要性が浮き彫りになっています。都市部と地方では空室率に大きな差があり、東京23区では15%程度である一方、地方都市では30%を超える地域も存在します。
また、アパート経営には様々なリスクが伴います。空室リスク、家賃滞納リスク、建物の老朽化リスク、金利上昇リスクなどです。これらのリスクを理解し、対策を講じることが長期的な成功につながります。特に公務員の場合、本業が忙しく物件管理に時間を割けないケースが多いため、管理会社の選定が重要なポイントとなります。
公務員がアパート経営を始める具体的なステップ
実際にアパート経営を始めるには、計画的なステップを踏むことが大切です。まず最初に行うべきは、自己資金の確認と資金計画の策定です。一般的に物件価格の20〜30%程度の自己資金があると、金融機関の審査が通りやすくなります。また、物件購入時には仲介手数料、登記費用、不動産取得税などの諸費用が物件価格の7〜10%程度かかることも考慮しましょう。
次に重要なのが物件選びです。公務員の場合、勤務地の近くで物件を探す方が多いですが、必ずしもそれが最適とは限りません。人口動態、賃貸需要、将来性などを総合的に判断する必要があります。新築物件は入居者が集まりやすい反面、価格が高く利回りが低い傾向にあります。一方、中古物件は価格が抑えられますが、修繕費用が多くかかる可能性があります。
物件が決まったら、金融機関への融資相談を行います。公務員は信用力が高いため、メガバンクから地方銀行、信用金庫まで幅広い選択肢があります。複数の金融機関を比較し、金利や返済条件を検討しましょう。変動金利は当初の金利が低いですが、将来的な金利上昇リスクがあります。固定金利は金利が高めですが、返済計画が立てやすいメリットがあります。
購入後は管理会社の選定が重要です。入居者募集、家賃回収、クレーム対応、建物メンテナンスなど、管理会社が担う業務は多岐にわたります。管理手数料は家賃の5〜10%程度が相場ですが、サービス内容をしっかり確認することが大切です。特に公務員の場合、本業に専念するためにも信頼できる管理会社を見つけることが成功の鍵となります。
公務員ならではの注意点と手続き
公務員がアパート経営を行う際には、一般の投資家とは異なる注意点があります。最も重要なのは、所属機関への報告や許可申請です。前述の基準(10室未満、年間収入500万円未満など)を超える場合は、必ず事前に許可を得る必要があります。無許可で経営を行った場合、懲戒処分の対象となる可能性があるため、十分な注意が必要です。
許可申請の際には、事業計画書や収支見込み書の提出を求められることが一般的です。本業に支障をきたさないこと、公務の信用を損なわないことを明確に示す必要があります。実際には、管理会社に業務を委託することで本業への影響を最小限に抑えられることをアピールすると良いでしょう。
また、確定申告も忘れてはいけません。アパート経営で得た収入は不動産所得として申告する必要があります。公務員の給与所得とは別に、家賃収入から必要経費を差し引いた金額を申告します。必要経費には、管理費、修繕費、固定資産税、減価償却費、ローンの利息部分などが含まれます。青色申告を選択すれば、最大65万円の特別控除を受けられるメリットもあります。
さらに注意したいのが、相続税対策としての側面です。現金で資産を保有するよりも、不動産として保有する方が相続税評価額を抑えられる場合があります。ただし、これは専門的な知識が必要な分野ですので、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。公務員の場合、将来的な退職金も考慮に入れた総合的な資産設計が重要です。
成功するための物件選びのポイント
アパート経営の成功は、物件選びで8割が決まると言われています。まず重視すべきは立地条件です。駅からの距離、周辺環境、生活利便性などが入居率に大きく影響します。一般的に駅徒歩10分以内の物件は空室リスクが低く、安定した経営が期待できます。
人口動態の分析も欠かせません。総務省の統計によると、日本全体では人口減少が進んでいますが、東京圏や地方中核都市では依然として人口流入が続いています。将来的にも賃貸需要が見込める地域を選ぶことが、長期的な収益確保につながります。特に大学や大企業の事業所がある地域は、安定した需要が期待できます。
建物の状態も慎重にチェックしましょう。築年数だけでなく、外壁や屋根の状態、配管設備の劣化具合などを専門家に診断してもらうことをお勧めします。中古物件の場合、購入後すぐに大規模修繕が必要になるケースもあるため、修繕履歴や今後の修繕計画を確認することが重要です。
利回りの目安としては、都市部で5〜7%、地方で7〜10%程度が一般的です。ただし、高利回り物件には何らかのリスクが潜んでいることが多いため、表面的な数字だけで判断せず、なぜその利回りなのかを分析する必要があります。空室率が高い、建物が古い、立地が悪いなど、高利回りの理由を理解した上で投資判断を行いましょう。
リスク管理と長期的な運営戦略
アパート経営を長期的に成功させるには、適切なリスク管理が不可欠です。最も大きなリスクである空室対策としては、適正な家賃設定が重要です。周辺相場より高すぎると入居者が集まらず、安すぎると収益性が低下します。定期的に市場調査を行い、競合物件と比較しながら適切な家賃を設定しましょう。
入居者の質も経営の安定性に影響します。家賃滞納リスクを避けるため、入居審査は慎重に行う必要があります。保証会社の利用も検討すべきでしょう。保証料は入居者負担が一般的ですが、オーナーが一部負担することで入居率を高める戦略もあります。
修繕計画も長期的な視点で立てることが大切です。外壁塗装は10〜15年ごと、屋根の補修は15〜20年ごとに必要となります。これらの大規模修繕に備えて、毎月の家賃収入から一定額を積み立てておくことをお勧めします。突発的な修繕にも対応できるよう、最低でも100万円程度の予備資金を確保しておきましょう。
金利上昇リスクへの対策も考えておく必要があります。変動金利でローンを組んでいる場合、金利が1%上昇すると月々の返済額が大きく増加します。収支シミュレーションを作成する際は、金利が2〜3%上昇した場合でも経営が成り立つか確認しておくことが重要です。また、繰り上げ返済を活用して元本を減らすことも、リスク軽減の有効な手段です。
まとめ
公務員がアパート経営を始めることは、適切な知識と準備があれば十分に可能です。安定した収入と高い信用力という公務員ならではの強みを活かし、将来の資産形成や老後の備えとして不動産投資に取り組む価値は大いにあります。
重要なポイントをおさらいすると、まず所属機関の規定を確認し、必要に応じて許可を得ることが第一歩です。物件選びでは立地と収益性のバランスを重視し、長期的な視点で判断しましょう。金融機関からの融資条件を比較検討し、無理のない返済計画を立てることも欠かせません。
また、信頼できる管理会社を見つけることで、本業に専念しながら安定した経営が可能になります。リスク管理を怠らず、空室対策や修繕計画を立てることで、長期的な収益確保につながります。
アパート経営は一朝一夕に成功するものではありませんが、計画的に進めることで着実に資産を築くことができます。まずは不動産投資セミナーに参加したり、専門書を読んだりして知識を深めることから始めてみてはいかがでしょうか。公務員という安定した立場を活かし、賢明な不動産投資で豊かな未来を築いていきましょう。
参考文献・出典
- 人事院 – 営利企業への従事等に関する規則 – https://www.jinji.go.jp/
- 国土交通省 – 住宅統計調査(2026年2月) – https://www.mlit.go.jp/
- 総務省 – 人口推計統計 – https://www.stat.go.jp/
- 国税庁 – 不動産所得の確定申告について – https://www.nta.go.jp/
- 日本不動産研究所 – 不動産投資家調査(2026年版) – https://www.reinet.or.jp/
- 全国宅地建物取引業協会連合会 – 不動産市場動向データ – https://www.zentaku.or.jp/
- 住宅金融支援機構 – アパートローン金利動向 – https://www.jhf.go.jp/