不動産投資に興味はあっても、「最初の物件はどう選べばいいのか」「本当に安定収益になるのか」と不安に感じる方は多いはずです。私も相談を受けるたびに、情報量の多さに戸惑う初心者の姿を見てきました。本記事では、やり方 不動産投資 物件選びの基本から、2025年9月時点で活用できる制度までを丁寧に整理します。読めば、物件を絞り込む視点と数字の読み方が分かり、迷いなく次のアクションへ進めるようになるでしょう。
市場の動きを読むために押さえたい3つの視点

重要なのは、立地や利回り以前に「市場全体の流れ」を把握することです。ここを省くと、後で賃料下落や空室に悩む確率が高まります。
まず人口動態を確認しましょう。総務省「住民基本台帳人口移動報告」では、2024年から2025年にかけて都内23区への転入超過が再び拡大しました。つまり都心部の単身向け需要は依然強いと言えます。一方、郊外では転出超過が続く市区町村も多く、長期賃料の伸びは鈍化傾向です。
次に賃料指数です。国土交通省の「賃貸住宅市場レポート」によると、2025年第1四半期の全国平均賃料は前年同期比1.8%上昇しましたが、上昇幅の7割は政令市中心部に集中しています。立地が需要を支える構図が数字で裏付けられています。
最後に金融環境を見ます。日本銀行の統計では2025年7月時点の変動金利平均は1.95%で、10年前と比べて0.4%高い水準です。今後の金利上昇リスクを考慮し、返済比率は家賃収入の50%以内に抑える設計が現実的です。こうしたデータをつなげることで、購入前にリスクの輪郭を鮮明にできます。
失敗しない物件選びのポイント

ポイントは「立地」「収益性」「リスク耐性」をセットで評価する姿勢です。この3要素を切り離すと、机上の利回りに惑わされます。
立地では最寄り駅からの徒歩分数だけでなく、駅の乗降客数と再開発計画を照合します。たとえば、JR総武線沿線は2025年度に複数の駅ビル改装が進み、完成後の商業集積が賃料を押し上げる見込みです。実際、周辺で築10年のワンルームは表面利回り4.8%でも1カ月以内に入居が決まるケースが多いです。
収益性は実質利回りで判断します。管理費、修繕積立金、固定資産税を差し引いたネット利回りが4%を下回る場合、金利1%上昇でキャッシュフローが赤字化しやすくなります。Excelで10年間のCF(キャッシュフロー)シミュレーションを作り、空室率15%、賃料下落年1%という保守条件でも手残りが出るか確かめると安心です。
リスク耐性では、築年数がカギを握ります。築25年以上のRC造(鉄筋コンクリート)は減価償却メリットが大きい一方、配管や防水の大規模修繕が重なりがちです。管理組合の修繕計画書を読み込み、次回工事の資金積立が十分かを確認すると、突発損失を抑えられます。
キャッシュフローを安定させる資金計画
実は、同じ物件でも融資条件と自己資金割合で手残りは大きく変わります。資金計画を最適化すれば、リスクを抑えつつ利回りを底上げできます。
まず自己資金は物件価格の20%を目安にしてください。金融機関の審査が通りやすいだけでなく、返済比率を下げられるため空室時の耐性が高まります。日本政策金融公庫の統計では、自己資金10%未満の区分マンション投資家は、初回更新時に約12%が売却を検討する状況に追い込まれています。
ローン金利は0.3%差でも30年で総支払額が数百万円変わります。地銀と信用金庫を同時に打診し、団体信用生命保険の特約料まで含めた実質金利で比較する習慣が有効です。2025年9月時点では、ネット系銀行が投資用住宅ローンに団信を無料付帯するケースが増えており、条件交渉の材料になります。
さらに、修繕費用の積立口座を別に設けると精神的な余裕が生まれます。毎月家賃の10%を自動振替で積み立てれば、将来の外壁補修や設備交換に備えられ、キャッシュフローの急減を回避できます。この仕組みがあるだけで、長期保有戦略が取りやすくなるでしょう。
2025年度も使える融資・税制優遇の活用法
まず押さえておきたいのは、青色申告特別控除です。2025年度も最大65万円の控除が適用されるため、帳簿付けにクラウド会計を導入する価値は高いです。家賃収入を事業的規模(おおむね5棟10室以上)で運用すれば、減価償却費とあわせて課税所得を大幅に圧縮できます。
また、賃貸住宅の新築に対して固定資産税が3年間1/2になる措置は2025年度末まで延長されました。新築木造アパートを検討する場合、この軽減期間をフルに享受すると表面利回りの見かけ以上にネット利回りが向上します。
融資面では、住宅金融支援機構の「賃貸住宅融資保険」が2025年度も継続中です。耐震・省エネ基準を満たすことで、金利が通常より0.2%優遇されるうえ、最長35年の固定金利を選択できます。長期金利上昇局面でも返済額を固定できる点は大きな安心材料です。
さらに、小規模企業共済の活用も検討してください。掛金は全額所得控除となり、退職金代わりの資金形成が可能です。不動産経営を事業とみなして加入すれば、出口戦略の一部を税制面で有利に設計できます。
長期運用と出口戦略をどう描くか
基本的に、不動産投資は「買うまで」より「持ち続ける間」の判断が成否を分けます。将来の売却価格や賃料水準を想定し、複数シナリオを用意する習慣が不可欠です。
最初に考えるべきは売却時期です。築20年を境に建物評価が下がりやすいため、減価償却メリットが薄くなる築25年前後での売却を検討する投資家が増えています。実際、レインズの成約データでは築25年RCワンルームが前年比4%高い成約価格を維持しており、出口の取りやすさが数字で示されています。
一方で、長期保有を前提とするならリノベーション計画がカギです。築30年でも水回りと内装を刷新すると、新築比90%以上の賃料が狙えるケースがあります。賃借人の属性を高め、空室期間を短縮すれば、キャッシュフローは安定します。
最後に相続・贈与を視野に入れると、法人化も選択肢です。法人税実効税率が約30%で頭打ちになる一方、個人の所得税・住民税は最高55%に達します。所得が増えて税負担が重くなった段階で合同会社を設立し、物件を管理受託または購入させる形に切り替えると、手取りベースでメリットが出やすいです。税理士と早めにシナリオを共有することで、出口戦略の選択肢が広がります。
まとめ
本記事では、市場分析から物件選定、資金計画、税制活用、出口戦略までを一気通貫で整理しました。やり方 不動産投資 物件選びの核心は、データに基づいて立地と数字を見極め、将来のシナリオを複数用意することです。まずは人口動態と賃料指数を確認し、ネット利回り4%以上で資金計画に無理のない物件を探しましょう。次に青色申告や固定資産税の軽減など2025年度の制度を使い、キャッシュフローを底上げしてください。そして、売却や法人化まで視野に入れた長期戦略を立てれば、変動の大きい時代でも安定収益が期待できます。今日からできる一歩は、気になるエリアの賃料データを調べ、シミュレーションシートを作ることです。行動を積み重ね、理想の投資ポートフォリオを実現していきましょう。
参考文献・出典
- 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp
- 国土交通省 賃貸住宅市場レポート – https://www.mlit.go.jp
- 日本銀行 金融統計月報 – https://www.boj.or.jp
- 財務省 税制改正大綱2025 – https://www.mof.go.jp
- 住宅金融支援機構 賃貸住宅融資保険制度 – https://www.jhf.go.jp
- レインズ マーケットインフォメーション – https://www.reins.or.jp