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NOI利回りとは?表面利回りとの違いと活用法

不動産投資を始めると、「利回り」という言葉をよく耳にします。しかし一口に利回りといっても、表面利回りやNOI利回り、NCFなど複数の種類があり、どれを使えばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。実は、物件の収益性を正確に判断するためには、NOI利回りの考え方を理解することが非常に重要です。この記事では、NOI利回りの基本的な定義から計算方法、表面利回りとの違い、さらに実際の市場データまでをわかりやすく解説します。初心者の方でも最後まで読めば、物件選びの判断軸として活用できるようになるはずです。

NOI利回りとは何か

NOI利回りとは何かのイメージ

まず押さえておきたいのは、NOI(Net Operating Income)という言葉の意味です。日本語では「純営業収益」または「営業純利益」と訳され、不動産から得られる収入のうち、運営にかかる費用を差し引いた後の利益を指します。国土交通省の定義によれば、NOIは「賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引いたもの」とされています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/land04_hh_000042.html)。

NOI利回りは、このNOIを物件の取得価格で割ることで求められます。具体的な計算式は「NOI利回り(%)=(年間家賃収入-運営管理費)÷物件価格×100」です(日本FP協会 https://www.jafp.or.jp/know/info/column/20220513.shtml)。たとえば年間家賃収入が120万円、運営管理費が20万円、物件価格が2,000万円であれば、NOI利回りは(120万円-20万円)÷2,000万円×100=5.0%となります。

重要なのは、NOIの計算から減価償却費や支払利息などの金融費用は除外するという点です。これは、物件そのものの収益力を純粋に評価するためであり、融資条件や税務上の処理に左右されない客観的な指標として機能します(Renosy https://www.renosy.com/magazine/entries/4113)。つまりNOI利回りは、「その物件が本来どれだけ稼ぐ力を持っているか」を示す指標といえます。

表面利回りとの決定的な違い

表面利回りとの決定的な違いのイメージ

不動産情報サイトで最もよく目にするのが「表面利回り(グロス利回り)」です。これは年間家賃収入を物件価格で割るだけのシンプルな計算で、運営にかかる費用をまったく考慮しません。そのため、収益性の判断基準としては不十分であるとされています(立命館大学 https://www.lij.jp/news/research_memo/20210531_1.pdf)。

たとえば同じ5%の表面利回りを持つ2つの物件があっても、一方は管理費や修繕費が高く、実際の手取りが大きく異なるケースは珍しくありません。表面利回りはあくまで「粗い目安」であり、物件の収益力を比較するには運営費用を差し引いたNOI利回りを使うのが実務上の一般的な考え方です。

また、NOIからさらに資本的支出(大規模修繕など将来の設備更新費用)を差し引いた指標をNCF(純キャッシュフロー)といいます。国土交通省の整理では「NCF=NOI-資本的支出」と定義されており(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/land04_hh_000042.html)、不動産鑑定評価の現場ではNCFを純収益として用いることもあります。一方、実際の不動産投資においてはNOIを純収益として用いる方が一般的とされています(立命館大学 https://www.lij.jp/news/research_memo/20210531_1.pdf)。

運営管理費の内訳と注意点

NOI利回りを計算する際に最も注意が必要なのが、「運営管理費に何を含めるか」という点です。実は運営管理費には厳密な定義がなく、物件や情報提供者によって含まれる項目が異なることがあります(日本FP協会 https://www.jafp.or.jp/know/info/column/20220513.shtml)。そのため、提示されたNOI利回りの数値だけを見て判断するのではなく、必ずその内訳を確認することが重要です。

一般的に運営管理費として含まれることが多い項目としては、管理委託費、固定資産税・都市計画税、損害保険料、修繕費・維持費などが挙げられます。これらをすべて含めて計算するか、一部だけを含めるかによって、NOI利回りの数値は大きく変わります。たとえば修繕費を含めない場合は見かけ上の利回りが高くなりますが、実際の手取りはそれより低くなる可能性があります。

さらに、物件の取得にかかる諸費用(仲介手数料、登記費用、不動産取得税など)を分母の取得価格に含めるかどうかによっても数値が変わります。諸費用を含めた「実質的な投資総額」を分母にすれば、より保守的で実態に近い利回りが算出されます。物件を比較する際は、同じ基準で計算された数値かどうかを確認する習慣をつけることが大切です。

市場のNOI利回りはどのくらいか

実際の市場でNOI利回りがどの程度の水準にあるのかを知ることは、物件の割安・割高を判断する上で非常に役立ちます。近年の調査によると、東京の主要エリアのオフィスやワンルーム住宅の期待利回りは、概ね3%台の水準が報告されています(日本不動産研究所 https://www.reinet.or.jp/pdf/REIS/published-document_main_the-japanese-real-estate-investor-survey_202504.pdf)。

また、複数の不動産調査機関の調査では、大手町オフィスや東京都心エリアのワンルーム住宅、ファミリー住宅のNOI利回り平均が報告されており、東京の主要エリアでは3%台前半から後半が一つの目安になっていることが示されています(CBRE https://mktgdocs.cbre.com/2299/78eab48a-8877-45ff-910a-37091931ed76-401985907/GeneralVers_JapanCapRateSurvey.pdf)。

一方、J-REITの実例を見ると、日本プライムリアルティ投資法人のポートフォリオNOI利回りは4%台の水準を示しており(日本プライムリアルティ投資法人 https://www.jpr-reit.co.jp/ja/portfolio/)、日本リート投資法人は5%台のNOI利回りを掲示しています(日本リート投資法人 https://www.nippon-reit.com/ja/portfolio/data.html)。なお、各投資法人の定義では「鑑定NOIの合計÷取得価格の合計」で算出されており、算出方法の違いが数値に影響することも理解しておきましょう。

キャップレートとの関係を理解する

NOI利回りと密接に関連する概念として「キャップレート(還元利回り)」があります。不動産価格は「NOI÷キャップレート」という式で表されることがあり、キャップレートが上昇すると不動産価格は下落し、キャップレートが低下すると価格は上昇するという関係にあります(三井住友トラスト基礎研究所 https://www.smtri.jp/report_column/report/pdf/report_20250407.pdf)。

ただし、J-REITの世界では「インプライドキャップレート」と「NOI利回り」は異なる概念として区別されています。インプライドキャップレートは市場評価価格(時価)で割るのに対し、NOI利回りは実際に取得した際の不動産価格(取得原価)で割るため、同じ「利回り」という言葉でも意味が異なります(内閣府 https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07n01470.html)。また、REITの文脈では、NOI利回りを「年換算のNOIを所有不動産の簿価(取得原価)で割った率」として説明する場合もあります(野村證券 https://www.nomura.co.jp/terms/english/n/A02377.html)。

このように、NOI利回りは使う場面や算出方法によって微妙に意味が変わることがあります。数値を比較する際は、どのような定義・算出方法に基づいているかを確認することが、正確な判断につながります。

まとめ

NOI利回りは、不動産投資の収益性を正確に評価するための重要な指標です。表面利回りが運営費用を無視した粗い数値であるのに対し、NOI利回りは実際の運営コストを差し引いた「物件本来の稼ぐ力」を示します。計算式自体はシンプルですが、運営管理費の内訳や取得諸費用の扱いによって数値が変わるため、比較の際は必ず算出基準を確認することが大切です。

市場水準としては、近年の調査で東京主要エリアのNOI利回りは概ね3%台が一つの目安となっており、J-REITの実例では4〜5%台の水準も見られます。物件を検討する際は、こうした市場データと自分の試算を照らし合わせながら、冷静に収益性を判断してみてください。NOI利回りを正しく理解することが、失敗しない不動産投資への第一歩となります。

参考文献・出典

  • 日本FP協会「不動産投資における利回りの意味」 — https://www.jafp.or.jp/know/info/column/20220513.shtml
  • 野村證券「NOI利回り|証券用語解説集」 — https://www.nomura.co.jp/terms/english/n/A02377.html
  • Renosy「不動産投資のNOI(営業純利益)とは?利回りについて徹底解説」 — https://www.renosy.com/magazine/entries/4113
  • 国土交通省「不動産市場データベースの公表について」 — https://www.mlit.go.jp/report/press/land04_hh_000042.html
  • 立命館大学「投資用不動産のNOI利回りに関する実態分析~J-REITを例にして」 — https://www.lij.jp/news/research_memo/20210531_1.pdf
  • 内閣府「第3節 緩やかな物価上昇への動き(47)」 — https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07n01470.html
  • 三井住友トラスト基礎研究所「J-REIT不動産価格指数・NOI指数・キャップレート(2025年版)」 — https://www.smtri.jp/report_column/report/pdf/report_20250407.pdf
  • 日本不動産研究所「第52回 不動産投資家調査(2025年4月現在)」 — https://www.reinet.or.jp/pdf/REIS/published-document_main_the-japanese-real-estate-investor-survey_202504.pdf
  • CBRE「Japan Cap Rate Survey December 2025」 — https://mktgdocs.cbre.com/2299/78eab48a-8877-45ff-910a-37091931ed76-401985907/GeneralVers_JapanCapRateSurvey.pdf
  • 日本プライムリアルティ投資法人「ポートフォリオサマリー」 — https://www.jpr-reit.co.jp/ja/portfolio/
  • 日本リート投資法人「ポートフォリオデータ」 — https://www.nippon-reit.com/ja/portfolio/data.html

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