不動産投資を続けていると「毎月の返済額をもっと下げたい」「変動金利が上がったらどうしよう」といった不安が付きまといます。特に2025年9月時点で変動型の店頭金利は1.5〜2.0%と依然として低水準ですが、物価と金利が同時に上昇する局面ではリスク対策が欠かせません。本記事では、初心者でも理解しやすいように不動産投資ローン 借り換え リスク回避の基本から手続きのコツまでを丁寧に解説します。読み終えるころには「自分は借り換えるべきか」「どの金利タイプを選べば安全か」を判断できるようになります。
不動産投資ローンを借り換えるべきタイミング

重要なのは、金利差だけでなく残債と残期間のバランスを見極めることです。全国銀行協会の調査によると、2025年9月の固定10年型は2.5〜3.0%で推移しており、変動より1%程度高くなっています。この差を埋めるには、残期間が10年以上あり、かつ残債が1,500万円以上あるケースが目安です。つまり、借り換えによるメリットが手数料を上回るかを数字で確認する姿勢が必要になります。
まず、現行ローンの返済予定表を取り寄せ、金利上昇が1.0%あった場合のシミュレーションを行いましょう。金融庁が公表する「民間金融機関住宅ローン統計」では、過去20年で長期金利が年1.5%上昇した期間もありました。この実績を参考に、金利上昇シナリオと借り換え後の固定金利負担を比較すると判断が容易になります。一方で、残期間が5年未満なら手数料負担が重くなるため、繰上返済や金利交渉で乗り切る方が合理的です。
借り換えのメリットと見落としがちなコスト

ポイントは、表面金利だけに目を奪われないことです。借り換えで得られる主なメリットは月々の返済額圧縮と総返済額の削減ですが、諸費用が発生する点を忘れてはいけません。具体的には保証料、事務手数料、抵当権設定・抹消の登記費用、そして団体信用生命保険(団信)の加入料が代表的です。
以下の諸費用は合計で残債の2〜3%になる場合があります。
- 保証料:0.2〜0.4%
- 事務手数料:定額33,000円〜定率2.2%
- 登記費用:10〜15万円
金融機関によっては「保証料ゼロ」をうたう商品もありますが、その分事務手数料が定率で高く設定されていることも珍しくありません。また、団信も医療保障付きに変更すると金利が0.1〜0.3%上乗せされます。数字を積み上げ、借り換え効果がネットでいくら残るかを必ず試算しましょう。
金利タイプ変更でリスクを抑える方法
実は、リスク回避のカギを握るのは金利タイプの乗り換えです。変動金利のまま借り換えても短期的な返済額は下がりますが、将来の金利上昇リスクは残るため根本的な安心にはつながりません。一方で固定金利へ切り替えると、返済額が読める安心感を得られる半面、初期コストはやや増えます。投資家は、このトレードオフを理解したうえで選択する必要があります。
固定に切り替える際は、物件の利回りとローン金利の差(イールドギャップ)を再計算してください。たとえば表面利回り6.5%の中古アパートで固定金利2.7%を選んだ場合、イールドギャップは3.8%となり、手取りキャッシュフローが確保しやすくなります。空室が続いたとしても、金利上昇によるダブルパンチを避けられる点は大きなメリットです。逆に、利回り4%未満の都心区分マンションでは固定金利の上乗せが収益を圧迫するため、変動に据え置きつつ毎年繰上返済を進める柔軟策も有効です。
物件価値とキャッシュフローの再評価
まず押さえておきたいのは、借り換えの審査では物件の現在価値が改めて評価されるという事実です。築年数が進むと評価額が下がり、フルローンが組みにくくなる点は避けられません。国土交通省「不動産価格指数」によると、地方の中古木造アパートは築20年を超えると価格指数が築年比で平均25%低下しています。このため、築浅のうちに借り換えを検討した方が審査が通りやすくなります。
キャッシュフローも再点検が必要です。空室率の上昇や修繕費の増大を反映した実質利回りを使い、借り換え後の返済余力を測ってください。たとえば家賃年収600万円、経費率25%の場合、手残り450万円から年間返済額が300万円以内に収まるかが安全ラインです。この計算により、想定外の支出や金利上昇があっても赤字に転落しないことを確認できます。もし安全ラインを超える場合は、返済期間を延ばすか一部元本を繰上返済してから借り換えるプランが現実的です。
借り換え手続きをスムーズに進めるポイント
ポイントは、書類準備と金融機関選定を並行して行うことです。金融機関は決算書類やレントロール(家賃明細)を重視するため、最新版を準備しておくと審査が早まります。さらに、2025年度はオンライン完結型の申し込みシステムを導入する銀行が増えました。電子契約に対応すれば、物件所在地から離れていても手続きを進められるので、遠方投資家にとっては助かる仕組みです。
交渉では「他行の事前審査結果」を提示するのが有効です。複数行を同時に進めると、金利や事務手数料の優遇幅が広がり、結果的に総返済額をさらに抑えられます。また、借り換え後に追加融資枠を確保できるかも確認してください。将来のリフォーム代や新規物件購入に利用できれば、資金調達の選択肢を増やし、長期的なリスク分散につながります。
まとめ
本記事では、不動産投資ローン 借り換え リスク回避をテーマに、タイミングの見極めから金利タイプの選択、キャッシュフローの再評価までを解説しました。借り換えのメリットは大きいものの、保証料や登記費用などのコストを差し引いた正味効果を計算しなければいけません。金利上昇局面では固定金利への切り替えがリスク低減に役立ちますが、物件利回りとのバランスを忘れないようにしましょう。まずは現行ローンの返済予定表を取り寄せ、複数行の事前審査を同時に進めることが最初の一歩です。行動を先延ばしにせず、数字で判断する習慣があなたの投資を長期的に安定させます。
参考文献・出典
- 全国銀行協会 – https://www.zenginkyo.or.jp
- 金融庁 住宅ローン統計 – https://www.fsa.go.jp
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 日本銀行 長期金利推移 – https://www.boj.or.jp
- 総務省 統計局 家計調査 – https://www.stat.go.jp