お台場の人気温浴施設「大江戸温泉物語」が閉館したと聞いて、「なぜ突然?」「また行けると思っていたのに」と驚いた方も多いのではないでしょうか。2003年の開業以来、江戸の町並みを再現した独自の世界観で多くのファンを魅了してきた施設だっただけに、その閉館は多くの人に惜しまれました。この記事では、閉館の経緯や背景にある理由をわかりやすく解説します。「なぜ閉館したのか」「跡地はどうなるのか」といった疑問にも順を追ってお答えしますので、ぜひ最後までお読みください。
お台場 大江戸温泉物語とはどんな施設だったのか
まず、この施設がどのような場所だったかを振り返っておきましょう。お台場 大江戸温泉物語は、2003年3月に東京都江東区の青海エリアで営業を開始した大型温浴テーマパークです(大江戸温泉物語グループ公式沿革より)。単なる銭湯や温泉施設ではなく、江戸時代の下町をイメージした街並みを館内に再現し、浴衣を着て縁日気分を楽しめる独自のコンセプトが話題を呼びました。
お台場という立地も大きな魅力でした。東京の観光スポットが集まるウォーターフロントエリアに位置していたため、地元の方だけでなく観光客や外国人旅行者にも広く親しまれました。温泉に浸かりながら江戸情緒を体験できるという体験型エンターテインメントの先駆けとして、開業当初から注目を集めた施設です。
大江戸温泉物語グループはその後、全国各地に施設を展開していきます。お台場の施設はグループの「旗艦店」的な存在として長年にわたって運営され、多くのファンに愛され続けました。それだけに、2021年の閉館発表は多くの人にとって突然の出来事として受け止められたのです。
閉館の直接的な理由は「借地契約の終了」

なぜ閉館したのか、その答えはシンプルです。施設が建つ土地の借地契約が期限を迎え、延長できなかったことが直接の原因です。ITmedia NEWSの報道によれば、大江戸温泉物語は2021年6月23日に、同年9月5日の営業をもって閉館すると発表しました。理由として、開業前に東京都と交わした事業用定期借地権設定契約の期限が2021年12月に到来することが挙げられています。
「事業用定期借地権」とは、事業目的で土地を借りるための契約形態のひとつです。通常の借地権とは異なり、契約期間が満了すると原則として更新されず、借りた土地を地主に返還しなければなりません。つまり、最初から「いつかは返す」ことが決まっている契約なのです。この仕組みを理解すると、閉館が避けられなかった理由がよくわかります。
さらに、テレビ朝日の報道では「東京都との間で土地の利用を巡る契約が終了し、再契約もできなかった」と伝えられています。単に期限が来ただけでなく、再契約の交渉も実らなかったという点が、閉館を決定づけた要因です。ITmedia NEWSによれば、建物を解体撤去して更地にした上で土地を返還する必要があったため、9月の閉館が決定されました。
土地の所有者は東京都だった
閉館の背景をより深く理解するには、この土地が誰のものだったかを知ることが重要です。施設が建っていた青海E区画は、東京都が所有する土地でした。東京都議会の記録によれば、令和3年度(2021年度)に事業用定期借地による暫定利用の貸付期間が終了した区画として、大江戸温泉物語株式会社が温泉テーマパーク施設を運営していた青海E区画が挙げられています。同記録では、この区画の面積は約3.1ヘクタールと説明されています(東京都議会 令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録より)。
3.1ヘクタールというのは、東京ドームのグラウンド面積(約1.3ヘクタール)の2倍以上に相当する広大な土地です。これほどの規模の土地を東京都が所有し、暫定的に民間事業者へ貸し付けていたという事実は、閉館の構造的な理由を理解する上で欠かせないポイントです。
「暫定利用」という言葉にも注目が必要です。東京都議会の記録でも「暫定利用の貸付期間が終了した」と明記されており、この土地の利用はあくまでも期間限定の措置だったことがわかります。つまり、大江戸温泉物語の営業は最初から「期限付き」であり、閉館はある意味で最初から決まっていた結末だったとも言えます。
閉館はいつ、どのように発表されたのか
閉館の発表から実際の営業終了まで、どのような経緯をたどったのかを整理しておきましょう。ITmedia NEWSの報道によれば、閉館の発表は2021年6月23日に行われました。そして、同年9月5日の営業をもって正式に閉館しています。大江戸温泉物語グループの公式沿革でも、「お台場 大江戸温泉物語(東京都)営業終了」として2021年9月が記録されています。
発表から閉館まで約2か月半という期間は、長年通い続けたファンにとって別れを惜しむには短すぎる時間だったかもしれません。一方で、借地契約の期限が2021年12月に迫っていたことを考えると、建物の解体撤去と土地返還のスケジュールを逆算した結果として、9月閉館という判断は事業者側にとっても苦渋の選択だったと推察されます。
不動産開示資料(有価証券報告書)にも、「東京都を地権者とする事業用定期借地権設定契約の終了に伴い、2021年9月5日に営業を終了し閉館した」と明記されており、閉館の事実と理由が公式に記録されています。これらの情報を総合すると、閉館は経営上の問題ではなく、土地の契約関係という外部要因によるものだったことが明確にわかります。
閉館後の跡地と大江戸温泉物語グループのその後
閉館後の跡地がどうなったかについては、現時点で公式な最終決定内容の詳細は確認できていません。ただ、約3.1ヘクタールという広大な東京都有地が、今後どのように活用されるかは多くの人が関心を持つテーマです。最新の情報については、東京都の公式発表をご確認いただくことをおすすめします。
一方、大江戸温泉物語グループ自体はお台場の閉館後も全国各地で施設を運営し続けています。グループの公式沿革を見ると、お台場以外にも多数の施設が展開されており、グループとしての事業は継続されています。お台場の閉館はあくまでも特定の施設における借地契約の終了によるものであり、グループ全体の経営危機を意味するものではありませんでした。
お台場の施設を愛していた方にとっては、同グループの他施設を訪れることで、あの独特の江戸情緒あふれる雰囲気を再び体験できるかもしれません。全国各地に展開する施設の最新情報は、大江戸温泉物語グループの公式サイトでご確認いただけます。
まとめ
お台場 大江戸温泉物語は、2003年3月の開業から2021年9月5日の閉館まで、約18年間にわたって多くの人に愛された温浴テーマパークでした。閉館の理由は経営上の問題ではなく、東京都との事業用定期借地権設定契約の期限到来と再契約不成立という、土地の契約関係によるものです。施設が建っていた青海E区画は東京都有地であり、暫定利用の期間が終了したことで、建物を解体して土地を返還する必要が生じました。
「なぜ閉館したのか」という疑問の答えは、一言で言えば「借りていた土地を返す時期が来たから」です。この事実を知ると、閉館を惜しむ気持ちとともに、18年間という長い期間にわたって施設を運営し続けた事業者の努力も改めて感じられます。お台場の思い出を大切にしながら、大江戸温泉物語グループの他施設でその魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 大江戸温泉物語グループ(GENSEN HOLDINGS)公式沿革 — https://corporate.ooedoonsen.jp/history/
- 東京都議会 令和三年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号 — https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/municipal-utility-account/fy2021-10.html
- ITmedia NEWS「『大江戸温泉物語』9月閉館 借地契約の期限で」 — https://www.itmedia.co.jp/news/article/2106/23/1210623141/
- テレビ朝日「お台場の『大江戸温泉』閉館へ 土地利用契約終了で」 — https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000220297.html
- 有価証券報告書(日本ホテル・リート投資法人) — https://nhr-reit.com/file/en-ir_library_term-e58d1b1071f838da8ebfdf2097994be0d4cd77b4.pdf