投資を考えた瞬間、「今買うべきか、もう少し待つべきか」と迷う人は多いものです。特にマンション投資は価格が大きく動くため、タイミングの判断が収益を左右します。本記事では最新データをもとに、市場環境や金利動向、ライフプランなど多角的な視点から「マンション投資 いつ」がベストかを探ります。読み終えるころには、自分に合った買い時を見極める基準と具体的なアクションプランが描けるはずです。
今の市場環境を理解する

まず押さえておきたいのは、2025年9月時点での首都圏マンション市場の温度感です。不動産経済研究所によると、東京23区の新築平均価格は7,580万円で前年比3.2%上昇しました。これはコロナ禍の反動と資材高騰が重なった結果であり、需要そのものは2023年から横ばいが続いています。
次に、中古マンションの価格指数を見ると上昇幅は新築より緩やかです。国土交通省の不動産価格指数では首都圏中古指数が前年同月比1.1%増にとどまり、値上がり疲れが見え始めています。つまり、新築はまだ高値圏にある一方、中古は横ばいに近づき、相場全体が踊り場に入ったといえます。
加えて、都心と郊外で需給バランスは異なります。都心の空室率は5%前後で安定していますが、郊外では10%を超えるエリアもあり賃料が伸び悩む事例が増えました。立地格差が広がる段階にあるため、エリア選定がこれまで以上に重要になります。
総じて今は「高値警戒感」と「選別進行」が同居する局面です。買い手にとっては慎重な物件リサーチが必須であり、価格交渉の余地が生まれやすいタイミングでもあります。
金利と融資条件の変化を読む

ポイントは、市場価格と同じくらい金利がキャッシュフローに影響するという事実です。キャッシュフローとは、家賃収入からローン返済や管理費を差し引いた手取りの現金収支を指します。日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、2025年9月現在の長期固定金利はおおむね1.8〜2.0%で推移しています。
ただし、金融機関は物件の築年数やエリアを細かく評価し始めました。築20年超の物件に対する融資期間は25年が上限になるケースが多く、毎月返済額が増えるため利回りが良くても手残りが減るリスクがあります。一方、新築や築浅であれば35年の長期融資が通りやすく、低金利のメリットを長く享受できます。
また、借入割合(LTV:Loan to Value)にも変化が見られます。2023年ごろは物件価格の90%まで融資が出た銀行でも、2025年は80%程度に抑える姿勢が一般的です。自己資金を増やすか、共同出資でレバレッジを下げる戦略が再び注目されています。
したがって、金利が緩やかに上昇局面にある今は「固定か変動か」より「融資期間と自己資金比率」を最適化することが肝心です。金利水準だけで焦って購入するより、融資条件が整いやすい時期を狙う方が結果的に安定した投資になります。
価格サイクルと買い時の見極め方
実は、マンション価格には約10年周期で波があるといわれます。リーマン・ショック後の底値が2012年ごろ、その後の上昇局面が2021年まで続きました。現在は高値圏の踊り場にあり、次の調整は2026〜2027年にかけて訪れる可能性が指摘されています。
しかし、値下がりを待ちすぎると家賃収入の機会損失が積み上がります。たとえば、家賃15万円の物件を2年間見送れば360万円の収入を逃す計算です。つまり、「底値で買う」より「長く運用する」方が総収益では有利になるケースも珍しくありません。
価格サイクルを読むコツは、販売戸数や在庫数の推移を見ることです。不動産経済研究所によれば、2025年上半期の新築発売戸数は前年同月比9%減でした。発売戸数が減る一方、在庫も増えていないため供給過剰には至っていません。この状況では暴落より緩やかな調整が想定されます。
したがって、「今すぐ買うか、半年待つか」のスパンで考えるより、自分が確保できる金利や自己資金の条件と物件の質を照らし合わせてタイミングを決める方が合理的です。
ライフプラン別に考える購入タイミング
重要なのは、市場動向だけでなく投資家各自のライフプランです。たとえば30代前半であれば、融資期間をフルに取れるため早く始めるほど完済時の年齢に余裕が持てます。完済後は年金代わりの家賃収入が得られ、長期で安定した資産形成が期待できます。
一方、40代後半で初めて参入する場合は、融資期間が短くなるため毎月の返済負担が重くなります。その場合、頭金を多めに入れてLTVを抑え、家賃と返済のバランスを保つことが現実的です。つまり、ライフステージが上がるほどキャッシュフロー重視の戦略が求められます。
また、共働き世帯か単独所得かでも状況が異なります。共働きなら合算年収により与信枠が増え、築浅や好立地など資産性の高い物件にアクセスしやすくなります。単独の場合は、築年数が進んでも利回りが高い郊外物件を複数棟保有し、リスクを分散する方法が有効です。
このように、同じ市場でも投資家の属性によって最適な「いつ」は変わります。まずは自分の年齢、収入、家族構成、将来設計を棚卸しし、それに合った融資条件と物件タイプを探すことがスタートラインです。
2025年度の実践的シミュレーション
まず押さえておきたいのは、2025年度に利用できる代表的な減税制度である「住宅ローン控除(投資用は対象外)」や固定資産税の新築軽減が居住用限定である点です。投資用マンションには直接的な補助金はありませんが、法人化して所得を分散する節税策や、減価償却による税負担の平準化が活用できます。
次に、具体的なシミュレーションを行いましょう。たとえば価格5,500万円、表面利回り5.0%、自己資金1,100万円(20%)を投入し、金利1.9%、期間35年で借り入れたケースを想定します。管理費・修繕積立と空室損を年間50万円とすると、年間家賃収入275万円から経費を差し引いた手取りは約160万円、ローン返済は約200万円です。このままでは年間40万円の持ち出しになります。
しかし、10年後に家賃が2%下落し、同時に元本返済が進んだ結果、年間返済額は約160万円に減ります。家賃差し引き後に手残りがプラスに転じるタイミングが訪れ、売却益が見込める価格帯ならトータルリターンはさらに高まります。
シミュレーション上は初期数年の持ち出しを許容できるかがカギです。手元資金に余裕があり、節税効果を享受しながら将来のキャッシュフローを最大化したい人にとって、現在の金利水準はまだ魅力的といえます。一方、毎月の収支がマイナスになることに不安が大きい人は、頭金を増やすか郊外で高利回りを狙うなど調整が必要です。
結論として、2025年度は「選別と長期視点」で攻める投資家にとって適した局面です。金利は上昇基調でも歴史的に見れば低水準にあり、物件価格は横ばい圏で交渉余地が生じています。自分のライフプランと資金計画をクリアにし、実践的なシミュレーションでリスク耐性を確認したうえで参入すれば、長期的な資産形成に大きなリターンを期待できるでしょう。
まとめ
本記事では、市場価格、金利動向、価格サイクル、ライフプラン、そして2025年度のシミュレーションという五つの切り口から「マンション投資 いつ」の答えを探りました。要するに、絶対的な買い時は存在せず、物件の質と融資条件、そして投資家自身の状況が整った瞬間こそが最適なタイミングです。まずは信頼できる情報を集め、綿密なシミュレーションで収支を可視化し、自分に合った戦略で一歩を踏み出してください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
- 東京都都市整備局 住宅市場動向 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 総務省 家計調査 年報 – https://www.stat.go.jp