「今買うべきか、もう少し待つべきか」——投資用不動産の購入を検討する方なら、一度は悩んだことがあるはずです。2024年の楽待アンケートによると、投資家のうち「今が買い時」と答えた割合はわずか15%にとどまりました。しかし、待ちすぎれば家賃収入の機会損失が積み上がります。本記事では最新データと専門家の見解をもとに、投資用不動産の買い時を見極める5つの視点と具体的なシミュレーションを解説します。
投資用不動産の買い時を見極める5つの視点

買い時を判断するには、市場環境だけでなく自分自身の条件も含めた多角的な分析が必要です。以下の5つの視点をチェックリストとして活用してください。
| 視点 | チェックポイント |
|---|---|
| 市場価格動向 | 価格は上昇・横ばい・下落のどの局面か |
| 金利・融資条件 | 金利水準と融資期間・LTVの審査傾向 |
| 需給バランス | 空室率と在庫数の推移 |
| 物件スペック | 築年数・立地・設備の競争力 |
| 自己資金・出口戦略 | 頭金比率と将来の売却・保有計画 |
これら5つの視点がすべて好条件である必要はありません。自分の優先順位を明確にし、許容できるリスク範囲で判断することが大切です。
2025年の市場価格動向を把握する

東京カンテイの2024年9月調査によると、東京23区の中古マンション価格(70㎡換算)は前月比2.6%増の7,750万円でした。都心6区に限れば同3.9%増の1億2,756万円と、高級エリアの価格上昇が顕著です。
一方、国土交通省の不動産価格指数では首都圏中古の上昇幅が前年同月比1.1%増にとどまりました。新築は資材高騰の影響で高値圏を維持していますが、中古は横ばいに近づき、市場全体が踊り場に入った状況です。
エリア別の価格傾向
| エリア | 価格傾向 | 投資判断のポイント |
|---|---|---|
| 都心6区(港区など) | 約3割上昇 | キャピタルゲイン狙いには有望だが利回りは低め |
| 城東エリア(墨田区など) | 緩やかな上昇 | 利回りと資産性のバランスが取りやすい |
| 郊外(大田区・葛飾区など) | 横ばい〜微減 | 高利回りが狙えるが空室リスクに注意 |
立地格差が広がる段階にあるため、エリア選定がこれまで以上に重要になります。価格が下がりにくい都心か、利回りを優先する郊外か、自分の投資スタイルに合わせて選びましょう。
金利・融資条件の変化を読む
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、2025年現在の長期固定金利はおおむね1.8〜2.0%で推移しています。歴史的に見れば依然低水準ですが、緩やかな上昇基調にある点は意識すべきです。
融資審査では物件の築年数やエリアが細かく評価されるようになりました。具体的には以下のような傾向があります。
- 築20年超の物件:融資期間が25年上限になるケースが多く、毎月返済額が増加
- 新築・築浅物件:35年の長期融資が通りやすく、低金利メリットを長く享受できる
- LTV(融資比率):2023年は90%融資も可能だったが、現在は80%程度が一般的
金利水準だけで焦って購入するより、融資期間と自己資金比率を最適化することが安定した投資につながります。
価格サイクルと買い時の関係
マンション価格には約10年周期で波があるといわれます。リーマン・ショック後の底値が2012年ごろ、その後の上昇局面が2021年まで続きました。現在は高値圏の踊り場にあり、次の調整は2026〜2027年にかけて訪れる可能性が指摘されています。
しかし、値下がりを待ちすぎると機会損失が発生します。たとえば、家賃15万円の物件を2年間見送れば360万円の収入を逃す計算です。「底値で買う」より「長く運用する」方が総収益で有利になるケースも珍しくありません。
不動産経済研究所によれば、2025年上半期の新築発売戸数は前年同月比9%減でした。発売戸数が減る一方、在庫も増えていないため供給過剰には至っていません。暴落より緩やかな調整が想定される状況です。
ライフプラン別の購入タイミング
市場動向だけでなく、投資家自身のライフプランも重要な判断材料です。年代や家族構成によって最適な戦略は異なります。
| 年代・属性 | 特徴 | 推奨戦略 |
|---|---|---|
| 30代前半 | 融資期間をフルに取れる | 早期参入で完済後の家賃収入を年金代わりに |
| 40代後半 | 融資期間が短く返済負担が重い | 頭金を多めに入れてLTVを抑える |
| 共働き世帯 | 合算年収で与信枠が増加 | 築浅・好立地など資産性の高い物件を狙う |
| 単独所得 | 与信枠に制限がある | 郊外の高利回り物件を複数保有しリスク分散 |
まずは自分の年齢、収入、家族構成、将来設計を棚卸しし、それに合った融資条件と物件タイプを探すことがスタートラインです。
2025年度のキャッシュフローシミュレーション
具体的な数字で投資判断をシミュレーションしてみましょう。以下は価格5,500万円、表面利回り5.0%の物件を想定した試算です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 5,500万円 |
| 自己資金(20%) | 1,100万円 |
| 借入額 | 4,400万円 |
| 金利・期間 | 1.9%・35年 |
| 年間家賃収入 | 275万円 |
| 年間経費(管理費・空室損など) | 50万円 |
| 年間ローン返済 | 約200万円 |
| 年間収支 | 約25万円のプラス |
上記の条件では年間25万円程度のプラス収支が見込めます。10年後には元本返済が進み、家賃が多少下落しても手残りは増加傾向になります。さらに減価償却による節税効果を加えれば、実質的なリターンは高まります。
一方、頭金が少なくLTVが高い場合や金利が上昇した場合は、初期数年間の収支がマイナスになることもあります。シミュレーションで複数パターンを検証し、リスク耐性を確認してから参入することが重要です。
よくある質問
Q. 価格が高い局面では待つべきですか?
一概に待つべきとは言えません。待っている間の機会損失と、将来の価格下落幅を比較する必要があります。緩やかな調整局面では、良質な物件を価格交渉して購入する方が有利なケースもあります。
Q. 利回りは何%以上を目安にすべきですか?
都心の新築・築浅であれば表面利回り4〜5%、郊外や築古であれば6〜7%以上が一つの目安です。ただし、利回りだけでなく空室リスクや修繕費用も含めた実質利回りで判断しましょう。
Q. 金利上昇局面で変動金利は危険ですか?
短期的な返済負担増は避けられませんが、金利上昇が緩やかであれば対応可能です。不安な場合は固定金利を選ぶか、繰り上げ返済の余力を確保しておくと安心です。
まとめ
投資用不動産の買い時に「絶対的な正解」は存在しません。市場価格、金利、融資条件、そして自分自身のライフプランと資金状況が整った瞬間こそが、あなたにとっての最適なタイミングです。
2025年は価格横ばい・金利低水準という条件が重なり、物件を選別しながら攻める投資家にとって好機といえます。まずは本記事で紹介した5つの視点でセルフチェックを行い、シミュレーションで収支を可視化してから一歩を踏み出してください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
- 東京カンテイ 中古マンション価格調査 – https://www.kantei.ne.jp
- 楽待 投資家アンケート – https://www.rakumachi.jp