不動産に興味はあるけれど、いきなり物件を買うのはハードルが高い――そんな悩みを抱える人が急増しています。そこで注目されるのが、手軽に分散投資ができる不動産投資信託「REIT(リート)」です。本記事では「どこで REIT おすすめ」と迷う初心者に向け、購入先の種類から銘柄選び、2025年度の税制優遇までを丁寧に解説します。読了後には、自分に合った購入チャネルを選び、安心して第一歩を踏み出せるようになるでしょう。
REITの基本と魅力を押さえよう

まず押さえておきたいのは、REITが株式と同じように取引所で売買できる投資商品だという点です。投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設を保有し、その賃料収入や売却益を分配金として還元します。国土交通省の2025年6月データによると、上場J-REITの平均分配利回りは3.7%前後で、東証プライムの平均配当利回りを約1ポイント上回ります。
実は、REITの最大の魅力は少額から始められることにあります。1口数万円で購入できるため、都心オフィスビルに間接的に投資できるメリットは大きいです。また、値動きが株式市場と完全には連動しないため、ポートフォリオに組み込むことでリスク分散効果も期待できます。
一方で、価格が市場の需給で変動する点は株式と同じです。空室率の悪化や金利上昇は分配金を押し下げる要因になるため、投資する際は経済指標や金融政策にも目を向ける必要があります。つまり、REITは「手軽だが放置ではいけない」商品であることを理解しておきましょう。
主要な購入チャネルの違いを理解する

重要なのは、購入先によって手数料やサービスが大きく異なることです。一般的にREITは「ネット証券」「店舗型証券」「銀行窓口」の三つで買えますが、それぞれメリットとデメリットがあります。
まずネット証券は、売買手数料が安く取扱銘柄が豊富です。特定口座や2025年度新NISA(成長投資枠)にも対応しており、スマホで手軽に取引できる点が支持されています。例えば主要ネット証券のJ-REIT売買手数料は、約定代金100万円まで0.1%前後に抑えられているケースが多いです。
一方、店舗型証券は担当者による対面サポートが魅力です。不動産市場の動向や個別銘柄の財務分析を直接相談できるため、初期段階で安心感を得たい人に向きます。ただし、売買手数料はネット証券の2〜3倍になることが一般的です。
銀行窓口は投資信託型REIT(ファンド形式)の取り扱いが中心で、上場J-REIT個別銘柄は扱わない場合があります。住宅ローン利用者向けにセット割を提供する銀行もありますが、ファンドの信託報酬が年1%を超えることも珍しくありません。つまり、コスト重視ならネット証券、サポート重視なら店舗型証券という住み分けが基本になります。
どこで REIT おすすめ?購入先の選び方
ポイントは、自分の投資スタイルと経験値に合わせてチャネルを選ぶことです。短期売買や分配金再投資を積極的に行うなら低コストのネット証券が最適です。逆に、初めての不動産投資で不安が大きい場合は、店舗型証券の担当者に相談しながら進めるほうが精神的な負担を減らせます。
初心者が迷いがちなテーマが「口座の種類」です。2024年に刷新された新NISAは2025年度も恒久制度として利用でき、売却益と分配金が非課税になります。つみたて投資枠ではREIT個別銘柄を買えませんが、成長投資枠なら年間240万円まで購入可能です。非課税メリットを最大化したい人は、まずNISA口座を開設し、その枠内でJ-REITを買う戦略が有効でしょう。
また、生命保険や年金相談を兼ねている人は、銀行のファンド型REITを通じて「分配金受取コース」と「再投資コース」を使い分ける方法もあります。ただし、信託報酬と販売手数料を加味すると、長期リターンがネット証券に劣るケースも少なくありません。したがって、コストとサポートのどちらを優先するかを事前に明確にしておくことが大切です。
銘柄選びで失敗しないための視点
まず押さえておきたいのは、利回りだけで判断すると痛い目を見るという事実です。高利回りの裏には、物件の質やテナント構成に不安が隠れている場合があります。日本取引所グループのデータでは、オフィス特化型REITの平均利回りは3.5%、物流施設特化型は3.0%ですが、近年は物流施設の賃料成長率が高く、総合リターンでは上回る傾向が続いています。
実は資産規模も重要な評価軸です。総資産が3,000億円を超える大規模REITは、借入金利を低く抑えやすく資産入替もスムーズです。反対に、資産規模1,000億円未満の小型REITは成長余地が大きいものの、テナント退去の影響を受けやすい点に注意が必要です。
さらに、LTV(Loan to Value=総資産に占める負債比率)や平均借入金利を確認すると財務健全性を把握できます。LTVが50%を超え、平均借入金利が上昇局面にある銘柄は金利上昇リスクを直接受けるため、少しでも長期固定金利の比率が高いREITを選ぶと安定性が増します。
最後に、分配金の推移も見逃せません。過去10期以上連続で増配している銘柄は、内部成長(賃料アップ)と外部成長(物件取得)をバランス良く進めている証拠です。空室率・稼働率の推移をIR資料で確認し、数字が安定しているかをチェックする習慣を身につけましょう。
初心者向けポートフォリオ構築のコツ
まずはリスクを分散させるため、投資額を複数のセクターに分ける方法が基本です。例えば投資資金100万円なら、オフィス型40%、物流型30%、商業・住居複合型30%といった割合が無難です。この配分は都市部景気の影響、消費動向、EC市場の拡大など異なる要因で値動きするため、景気循環ごとの損益変動を抑えられます。
また、分配金の再投資効果を高めるため、年4回決算の銘柄と年2回決算の銘柄を組み合わせる手法も有効です。キャッシュフローを途切れさせずに次の投資資金へ回せるため、複利効果が加速します。
加えて、2025年度のiDeCo(個人型確定拠出年金)はJ-REIT個別銘柄を直接組み入れられませんが、REITインデックスファンドであれば拠出金が全額所得控除対象となります。老後資金を意識する人は、課税口座でインカムを得つつ、iDeCoで資産形成を図る二段構えが効果的です。
最後に、想定外の金利上昇や地震リスクに備えて、現金比率10〜20%をキープする余裕を忘れないでください。つまり、余裕資金で始め、余裕資金を残し続けることが安定運用の鍵になります。
まとめ
ここまで、REITの仕組みから購入チャネル、銘柄選定、ポートフォリオ構築までを一気に確認しました。重要なのは、手数料とサポートのバランスを考え、自分の投資目的に合うチャネルを選ぶことです。分配利回りの高さだけでなく、財務健全性や資産規模にも目を向ければ、長期で安定したインカムを得られる可能性が高まります。今日紹介した視点を踏まえ、まずは小口で試し、経験を積みながら投資額を拡大していきましょう。不動産市場の恩恵を手軽に享受できるREITで、あなたの資産形成を一歩前に進めてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産証券化市場動向調査 2025年6月版 – https://www.mlit.go.jp
- 日本取引所グループ J-REIT市場データ 2025年8月 – https://www.jpx.co.jp
- 金融庁 新NISAに関するQ&A 2025年度版 – https://www.fsa.go.jp
- 厚生労働省 iDeCo公式サイト 統計資料 2025年4月 – https://www.ideco-koushiki.jp
- 三井住友トラスト基礎研究所 REITレポート 2025年7月号 – https://www.smth.jp/investment