会社の給料だけに頼らず、家賃収入で将来への不安を減らしたい――そう考える人は年々増えています。とはいえ、どのくらいの物件を何戸持てば年収1000万円に届くのか、具体的な数字までイメージできる方は少ないでしょう。本記事では「不動産投資 成功事例 年収1000万」を軸に、必要な家賃収入の組み立て方から物件選びのコツ、さらにはリスクを抑える運用術までを順序立てて紹介します。初心者でも再現しやすい実例を交えながら、2025年9月時点で有効な公的データや制度も押さえますので、最後までじっくり読み進めてください。
年収1000万を目指すための収益構造

まず押さえておきたいのは、家賃収入と経費のバランスです。国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査」によると、区分マンション一戸あたりの平均家賃は都心部で月12万円前後、地方中核都市で月7万円前後となっています。仮に都心部で月12万円を得る区分を5戸保有すると年間家賃は720万円です。しかし固定資産税や管理費などでおおむね20%が費用になるため、手残りは約576万円にとどまります。つまり年収1000万円を目指すには、より高利回りの一棟アパートを組み合わせる、あるいは戸数を増やす戦略が欠かせません。
重要なのは、融資を活用して投下資本を抑えつつ、キャッシュフロー(手元資金の増減)を着実に積み上げる点です。たとえば表面利回り8%、総戸数10戸の木造アパート(購入価格9,000万円)をフルローンで取得すると、年間家賃は720万円、返済は金利2%・35年で約360万円になります。管理費や修繕費を差し引いても、年間キャッシュフローはおよそ240万円確保できます。先ほどの区分5戸と合算すれば、家賃ベースで1,440万円、手残り収入はおおむね1,050万円となり、目標をクリアできます。
成功事例に学ぶ資金計画と融資戦略

ポイントは、自己資金の投入割合と金融機関選びを組み合わせることです。東京都内で区分3戸から投資を始め、6年で年収1000万円を達成したAさんの事例を見てみましょう。Aさんは初期段階で自己資金1,000万円を用意し、物件価格全体の20%を頭金に充てました。これにより月々の返済比率を家賃収入の45%以下に抑え、次の融資審査でも高い評価を得ています。
また、2025年度も継続中の「住宅ローン減税」の投資家向け活用はできませんが、長期優良住宅認定を受けた物件は金融機関からの評価が高く、金利優遇を引き出しやすいのが実情です。Aさんは耐震・耐久性能に優れた長期優良物件をターゲットとし、0.3%ほど低い金利を獲得しました。金利差は小さく感じても、35年間の総返済額では数百万円の開きになります。言い換えると、融資条件を0.5%改善できれば、1戸分のキャッシュフローを生み出す効果があるのです。
物件選びで差がつくポイント
実は、利回りだけを追うと空室リスクが跳ね上がります。空室期間が1カ月延びれば、年間収支は数%も悪化するため、賃貸需要を裏付けるデータ確認が欠かせません。総務省「住民基本台帳人口移動報告」を見ると、2024年から2025年にかけ東京都区部への転入超過は約6万人で推移しています。若年単身世帯の流入が続くエリアでは、築15年以内のワンルームであっても平均入居期間は約3.5年と安定しています。
一方で、郊外に築浅ファミリータイプを持つ戦略も機能します。埼玉県川口市で築8年の2LDKを運営するBさんは、家賃を月13万円で設定しながら空室は過去5年間で合計2カ月のみです。ポイントは駅徒歩10分以内、保育園の待機児童が少ない行政サービスの良さ、そして買い物環境の充実という三つの条件を満たしていたことでした。つまり、ターゲットとなる入居者像を具体化し、その層が求める生活インフラを中心に近隣情報を集めることが成功への近道になります。
運営と管理で収益を底上げする方法
さらに、収益を押し上げるカギは運営面にあります。まず、入居促進策として宅配ボックスや無料インターネットを導入すると、月額家賃を3,000円程度上乗せできるケースが多いです。初期費用は一戸あたり10万円前後ですが、満室稼働なら3~4年で回収でき、その後は純粋な利益となります。
次に、修繕計画を前倒しで立てることが長期的な節税にもつながります。2023年改正の「インボイス制度」対応で、管理会社の選定がよりシビアになりましたが、2025年時点では適格請求書発行事業者として登録している管理会社が主流です。適切な業者を選ぶことで、消費税の仕入控除を確実に受けられます。これにより年間数十万円規模のキャッシュフロー改善が期待できます。つまり、運営フェーズでも決算対策と入居者満足度向上の両輪を意識することが、最終的な手残りを大きく左右するのです。
リスク管理と出口戦略の考え方
基本的に、不動産投資では長期保有を前提にしつつも、出口戦略を事前に設計することが欠かせません。日本政策金融公庫の「2024年度中小企業の事業承継に関する調査」によれば、不動産の譲渡で最も多いのは10年保有後の売却です。長期譲渡所得となり、税率が20%台に軽減されるためです。しかし市況により10年を待たずに売却益が見込める場合もあります。そこで5年目と8年目に再査定を行い、収益性と売却価格を比較する仕組みをルール化しておくと、機会損失を防げます。
自然災害リスクにも備える必要があります。気象庁のデータでは、首都圏の豪雨発生回数は過去10年で1.3倍に増えています。ハザードマップを確認し、浸水対策として電気設備を二階以上に設置する、下水管逆流防止弁を付ける対策で、保険料の割引を受けられる場合があります。リスクはゼロになりませんが、事前の工夫で損害額と保険料の双方を圧縮できる点は、覚えておきたいところです。
まとめ
ここまで、家賃収入の組み立て方、資金計画、物件選び、運営改善、そしてリスク管理までを順に解説しました。重要なのは、表面利回りだけでなく融資条件や空室リスクを総合的に捉え、キャッシュフローを安定させることです。年収1000万円を達成した投資家は、例外なくデータに基づく判断と継続的な改善を続けています。あなたも今日から実践できる小さな行動――金融機関への事前相談やエリア分析――を積み重ね、5年後には自らの成功事例を語れるよう一歩を踏み出してみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅局「令和6年度住宅市場動向調査」 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年版」 – https://www.stat.go.jp
- 気象庁「気象統計情報 2024年度版」 – https://www.jma.go.jp
- 日本政策金融公庫「2024年度中小企業の事業承継に関する調査」 – https://www.jfc.go.jp
- 財務省「令和7年度税制改正の概要(案)」 – https://www.mof.go.jp