人口が70万人を超える足立区は、再開発が進む北千住エリアや大型公園が広がる舎人ライナー沿線など、住環境の多様さが魅力です。しかし「区内の物件は高くて手が出ない」「空室リスクが心配」と感じる方も多いでしょう。そんな悩みを解消する手段として注目されているのが、少額から参加できる不動産投資信託、いわゆるREITです。本記事では、REITで足立区の成長ポテンシャルに間接的に乗る方法を解説し、初心者でも失敗しにくい選び方を具体的にご紹介します。
REITの基本を押さえよう

まず押さえておきたいのは、REIT(Real Estate Investment Trust)の仕組みです。REITは複数の不動産を運用会社がまとめて保有し、その賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。少額で分散投資ができる点が最大のメリットで、2025年9月時点で東京証券取引所に上場するJ-REITは66銘柄に達しています。国土交通省のデータによると、平均分配利回りはおよそ4%前後で推移しており、低金利環境下でも相対的に高い収益が期待できます。
さらにREITは金融商品取引法の監督下にあり、資産の透明性が高いのが特徴です。四半期ごとの運用報告書には保有物件の住所や稼働率、借入金比率まで明示されるため、個別物件より情報格差が小さくなります。一方で価格は株式市場でリアルタイムに変動します。つまり、不動産と株式両方の性質を併せ持つ点を理解したうえで、自身のリスク許容度を確認することが最初のステップといえます。
足立区の不動産市況とREITでの間接保有

重要なのは、足立区の市況がどのようにREITのポートフォリオに反映されているかを知ることです。東京都都市整備局の統計では、2025年上半期の足立区平均地価は前年比2.8%上昇し、特に北千住駅周辺の商業地は5%を超える伸びを示しました。背景にはつくばエクスプレスの利便性向上と大学キャンパス集積があり、若年層の転入増加が続いています。
個人で北千住の商業ビルを買うのは資金面でハードルが高いですが、店舗系資産を多く組み込む総合型REITを購入すれば、賃料上昇の恩恵を享受できます。たとえば大手総合REITの運用報告を見ると、北千住駅前ビルを含む「東京東部商業ゾーン」の稼働率は98%台で安定しています。また、足立区内の物流施設を抱える産業系REITもあります。EC需要の拡大で物流賃料は首都圏平均より堅調に推移しており、足立区の大型倉庫は空室率1%台という強さを見せています。
つまり、REITを通じて足立区の商業・物流成長ストーリーに乗りつつ、他エリアのオフィスや住宅物件にも分散できるわけです。地元の人口動向に詳しい投資家ほど、区内物件の稼働安定性を見抜きやすく、適切な銘柄選択に役立ちます。
初心者におすすめのREIT選び基準
ポイントは、分配金の安定性と物件の地域分散です。まず分配金の原資となる賃料収入が長期契約で確保されているかを確認しましょう。平均賃貸借残存年数が5年以上あると、賃料改定リスクを平準化できます。次に物件の所在地比率です。足立区を含む東京23区に資産を集中するREITは立地メリットが大きい一方、自然災害リスクも抱えます。物件の40〜60%を首都圏、残りを地方中核都市に分散するREITは、地震や台風の地域偏在リスクを緩和します。
加えて借入金比率(LTV:Loan to Value)が50%を超えるREITは金利上昇局面で分配金が圧迫されやすいため注意が必要です。2025年7月に日本銀行が実施した政策金利0.25ポイント引き上げにより、LTVの高い銘柄は一時的に価格が3%ほど下落しました。逆にLTV40%前後の保守的なREITは安定した評価を得ています。最後に投資口価格の割高度もチェックしましょう。NAV倍率(純資産価値倍率)が1倍前後なら、資産価値と市場価格が概ね一致しているため中長期保有に向きます。
「REIT 足立区 おすすめ」の具体的な銘柄例
まず押さえておきたいのは、足立区内に商業施設と物流施設を複数保有する総合型REITAです。2025年度上期の運用報告によると、北千住駅前ビルの賃料収入が前年同期比4.2%増となり、全体の分配金を押し上げています。また、舎人ライナー沿線の住宅一体型ショッピングモールも稼働率99%を維持しており、生活インフラに根ざした強さがうかがえます。
一方、産業系REITBは足立区花畑エリアの3温度帯物流施設を保有しています。東京都港湾局の貨物統計では2024年の区内物流取扱量は前年比6%増と堅調で、同REITの物流セグメントは賃料改定率プラス3%を確保しています。さらに住宅特化のREITCにも注目です。竹ノ塚や西新井の駅近マンションを組み込み、単身者向け平均入居期間が4.8年と長めなことから、空室リスクが低く分配金変動が小さいのが強みです。
ただし銘柄名は例示であり、最終的な投資判断は必ず目論見書と直近IR資料を確認してください。証券会社の無料レポートや投資情報サイトの分析も活用し、多面的に比較する姿勢が大切です。
投資を始める前に押さえる注意点
実はREIT投資にもコストと税金が発生します。購入時・売却時には証券会社の取引手数料がかかり、保有期間中は投資口価格の0.1%前後を信託報酬として間接的に負担します。さらに分配金には20.315%の源泉分離課税が適用されるため、利回りを計算する際は税引後で比較することがポイントです。
NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば年間360万円(2025年度上限)の投資まで分配金と譲渡益が非課税になります。足立区在住の個人投資家なら、区民税率と合わせて節税効果が一段と高まります。ただし非課税枠は1月から12月の暦年管理で途中変更ができないため、資金計画を先に固めておきましょう。
また、REIT市場は地政学リスクや金利動向に左右されやすい面もあります。特に米国長期金利が急騰すると、利回り競合の観点からJ-REIT全体が売り優勢になるケースが過去に何度もありました。これに備える方法として、毎月一定額を継続投資する「ドルコスト平均法」があります。価格変動を平準化し、心理的ストレスを抑えられるため初心者にも取り入れやすい手法です。
まとめ
足立区は北千住を中心に再開発が進み、商業・住宅・物流すべての分野で需要が底堅いエリアです。個別物件を購入するには多額の資金が必要ですが、REITを活用すれば少額で区内の成長性に間接投資できます。銘柄選定では分配金の安定性、物件立地比率、借入金比率、割高度を順番に確認し、長期視点で比較することが肝心です。NISAを使った非課税運用やドルコスト平均法を組み合わせれば、価格変動リスクを抑えながら着実に資産形成が進みます。まずは証券口座を開設し、目論見書を丁寧に読み込むところから一歩を踏み出しましょう。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 東京都都市整備局 土地総合情報システム – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 東京証券取引所 J-REIT市場データ – https://www.jpx.co.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
- 東京都港湾局 物流統計年報 – https://www.kouwan.metro.tokyo.jp