不動産投資に興味はあるものの、「公務員でも副業規定に抵触しないのか」「中古物件はリスクが高いのでは」と迷う方は多いでしょう。実は、安定収入と高い信用力を兼ね備えた公務員こそ、マンション投資と相性の良い職業です。RENOSYの調査によると、不動産投資を行う顧客のうち約68%が公務員という結果が出ており、その人気の高さがうかがえます。
本記事では、公務員が知っておくべき副業規定の詳細から、融資戦略、物件選びのチェックポイント、2025年度の税制対策まで、実践的な情報をお伝えします。読み終えたとき、マンション投資に向けた具体的な行動指針が見えてくるはずです。
公務員の副業規定を正しく理解する

マンション投資を検討する公務員にとって、最初に確認すべきは副業規定です。国家公務員法第103条および地方公務員法第38条では、職員の営利企業への従事が制限されています。しかし、不動産投資は一定の条件を満たせば「副業」に該当しない形で行うことが可能です。
人事院規則14-8では、不動産賃貸が副業とみなされないための具体的な基準が定められています。まず、独立家屋であれば5棟未満、区分所有マンションなどであれば10室未満という規模の制限があります。次に、年間の賃貸収入が500万円未満であることが求められます。さらに、入居者募集や家賃回収といった管理業務を外部の管理会社に委託することが条件となっています。
具体的にシミュレーションしてみましょう。月額家賃10万円の区分マンションを4戸所有した場合、年間収入は480万円となり、500万円未満の基準をクリアできます。また、4戸であれば10室未満の条件も満たしているため、副業認定を回避しながら一定規模の投資が可能です。
これらの条件を超える規模で投資を行いたい場合は、「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」を所属長に提出し、承認を得る必要があります。申請書はe-Govや人事院の公式サイトから入手でき、相続による取得や転勤に伴うやむを得ない事情がある場合は比較的承認されやすい傾向にあります。地方公務員の場合は各自治体によって取り扱いが異なるため、事前に人事担当部署へ確認することをお勧めします。
公務員の信用力を活かした融資戦略

公務員がマンション投資において大きなアドバンテージを持つのが、融資条件の優遇です。勤務先の倒産リスクがほぼゼロという安定性が金融機関から高く評価され、民間企業の会社員と比較して有利な条件を引き出しやすい環境にあります。
具体的な数字で見ると、公務員の場合、変動金利で年1.6%前後、固定金利でも2%台前半が目安となります。同年代の民間会社員と比較すると、0.2〜0.3%程度低い金利を提示されるケースが少なくありません。この金利差は小さく見えるかもしれませんが、30年の返済期間で計算すると数百万円の差額となり、投資収益に大きく影響します。
融資を有利に進めるためのポイントとして、まず自己資金を物件価格の20%程度用意することをお勧めします。加えて、家賃6か月分相当を余裕資金として確保しておくと、一時的な空室や突発的な修繕にも対応でき、金融機関からの評価も高まります。
返済比率については、年収の35%以内に収めるのが安全圏です。たとえば年収600万円の場合、年間返済額の上限は210万円、月換算で約17万円となります。この範囲内であれば、生活への影響を抑えながら安定した返済が可能です。
複数の金融機関で事前審査を受けることも重要な戦略です。地方銀行や信用金庫では、公務員の勤務先と団体契約を結び、特別な優遇枠を設けているケースがあります。金利だけでなく、融資期間や手数料なども含めて総合的に比較検討することで、最適な融資先を選ぶことができます。
物件選びで失敗しないチェックポイント
不動産投資において「立地が8割を決める」と言われますが、公務員が中古マンション投資で成功するためには、立地に加えて管理状況や将来性も含めた総合的な判断が必要です。ここでは、物件選びで確認すべき重要なポイントを解説します。
立地選定で最も重視すべきは、駅からの距離と周辺の賃貸需要です。駅徒歩10分以内の物件は空室リスクが低く、将来的な資産価値の維持も期待できます。国土交通省の住宅市場動向調査によると、東京23区で専有面積25㎡超のコンパクトタイプは平均成約期間が23日と、20㎡以下の物件より5日短い結果が出ています。単身者だけでなくカップル層も取り込める25〜40㎡の物件は、安定した入居率を維持しやすい傾向にあります。
築年数については、築10〜20年の物件が価格と収益性のバランスに優れています。不動産経済研究所のデータによると、2025年上期の首都圏中古マンション平均価格は3,980万円と新築の約半額であり、表面利回りは平均4.6%と新築より1ポイント高い水準でした。新築時の価格下落を回避しつつ、まだ建物の状態が良好な時期を狙うことで、効率的な投資が可能になります。
見落としがちなのが修繕積立金の水準です。築15年前後で毎月の修繕積立金が1万円未満の物件は注意が必要です。管理組合の長期修繕計画を確認し、積立総額が目標の70%以上に達しているかをチェックしましょう。不足が見込まれる場合、将来的に100万円以上の一時金が徴収される可能性があります。
現地調査では、エントランスの清掃状態や掲示板の更新頻度を確認することで、管理の質を見極めることができます。管理が行き届いている物件は入居者が長く定着する傾向があり、家賃下落も抑えられます。また、インターネット無料やオートロックといった設備は、築年数が古い物件でも後から導入可能です。月3,000円前後の追加コストで家賃を5,000円上乗せできるケースもあり、収益性の向上に貢献します。
2025年度の税制を活用した節税対策
マンション投資における税金の知識は、手残りキャッシュフローを最大化するうえで欠かせません。2025年度の税制を踏まえた効果的な節税対策について解説します。
まず押さえておきたいのが、所得税の損益通算ルールです。不動産所得が赤字になった場合、給与所得と合算して税負担を軽減できます。ただし、土地取得にかかる借入利子については損益通算の対象外となるため、節税を狙い過ぎた過大な借入は期待したほどのメリットを得られない点に注意が必要です。
減価償却は不動産投資の大きな節税ポイントです。住宅ローン減税は自宅購入向けの制度ですが、投資用物件では建物の減価償却費を経費として計上できます。RC造(鉄筋コンクリート)の法定耐用年数は47年ですが、中古物件であれば経過年数に応じて短い期間で償却できるため、年間の経費計上額が大きくなります。資金計画を立てる際は、償却後の税引き後キャッシュフローを必ず試算しておきましょう。
固定資産税についても、中古物件ならではのメリットがあります。築20年以上の物件は評価額が下がりやすく、税負担が年数万円単位で軽くなる傾向にあります。さらに、2025年度も継続する「住宅用地の課税標準特例」により、区分所有マンションの敷地部分は最大6分の1に軽減されます。これらを踏まえて家賃収入とのバランスを見れば、年間キャッシュフローをより正確に予測できます。
将来的に事業規模が拡大した場合は、青色申告による65万円の特別控除も検討の価値があります。ただし、副業規定の範囲内で投資を行う公務員の場合、この規模に達するケースは限定的ですので、まずは白色申告での確定申告から始めるのが現実的です。
長期で成功するためのリスク対策
マンション投資で長期的に安定した収益を得るためには、想定されるリスクを事前に把握し、対策を講じておくことが重要です。公務員の強みを活かしながら、空室・修繕・金利上昇という三つの主要リスクをどのように管理すべきか解説します。
空室リスクへの対策として、物件選定の段階で家賃を5%下げたシミュレーションを行い、それでも年間収支がプラスになる水準を確認しておきましょう。また、管理会社選びも重要です。契約前に家賃送金日が毎月末日固定かどうか、入居者募集の広告費が何か月分かを確認してください。広告費1か月で成約できる会社と2か月請求する会社では、長期的な収益に大きな差が生まれます。公務員は平日の対応が難しいため、24時間対応のコールセンターを持つ管理会社を選ぶと安心です。
修繕リスクについては、大規模修繕が12年と24年の周期で実施されるのが一般的です。物件購入前に管理組合の長期修繕計画を閲覧し、修繕積立金の積立状況を確認することが必須です。積立総額が目標に対して不足している場合、将来的に追加で100万円以上の徴収が発生するケースも珍しくありません。
金利上昇リスクへの備えも欠かせません。変動金利を選択する場合は、金利が2%上昇したシナリオでシミュレーションを行いましょう。月々の返済額が3万円程度増加しても家賃収入で賄えるかを確認し、必要に応じて固定金利への借り換えができる余地を残しておくことが賢明です。これらのシミュレーションはエクセルや専用ソフトで定期的に更新し、環境変化に柔軟に対応できる体制を整えておきましょう。
まとめ:公務員がマンション投資で成功するために
公務員がマンション投資に取り組むメリットは、安定収入による好条件の融資と、中古物件特有の高い利回りを同時に享受できる点にあります。人事院規則14-8に定められた5棟10室未満、年間収入500万円未満、管理業務の外部委託という三つの条件を守れば、副業規定に抵触することなく堅実な資産形成が可能です。
成功への道筋として、まずは副業規定を正確に理解し、自身の投資計画がどの範囲に収まるかを確認してください。次に、複数の金融機関で融資条件を比較し、公務員の信用力を最大限に活かした資金調達を行いましょう。物件選びでは立地と管理状況を丁寧に見極め、修繕積立金の水準もしっかり確認することが大切です。
保守的な資金計画とリスクシナリオを用意すれば、長期的に安定したキャッシュフローが期待できます。まずは少額からでも収支シミュレーションを始め、現地調査で物件を比較する行動を起こしてみてください。将来の年金を補う資産形成は、今日の一歩から始まります。
参考文献・出典
- 人事院 – 人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 住宅市場動向調査 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省 統計局 家計調査 – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行 金融システムレポート – https://www.boj.or.jp
- 東京都都市整備局 住宅政策白書 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp