不動産融資

借り換えRC造物件で収益力を高める方法

不動産投資ローンの返済が重く感じられ、収支が伸び悩んでいる方は多いものです。特にRC造(鉄筋コンクリート造)のマンションやアパートは、構造が頑丈な反面、物件価格と借入額が大きくなりがちで、金利負担も無視できません。そこで有効なのが「借り換え」です。本記事では、RC造物件を保有する投資家が借り換えを検討する際の判断基準や手続き、金利タイプの選び方までを基礎から解説します。読了後には、手元キャッシュフローを改善する具体的な手順が分かり、将来の投資戦略に自信が持てるはずです。

RC造物件と借り換えが注目される理由

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まず押さえておきたいのは、RC造物件が持つ長期耐用年数と安定収益力です。国土交通省の「住宅市場動向調査2024」によると、RC造マンションの平均空室率は木造アパートより4ポイント低く、修繕周期も10年以上と長い傾向があります。そのため、長期保有に向く一方、初期借入額が大きくなり返済負担が高止まりするケースが多いのです。

一方、日本銀行の「貸出約定平均金利統計」(2025年7月確報)では、投資用不動産ローンの平均金利が過去3年で0.4ポイント低下しました。つまり、数年前に高い金利で借りたオーナーには借り換えメリットが広がっています。実は金利が0.5ポイント下がるだけで、1億円を残期間20年で借り換えると総返済額は約550万円減る計算になります。収支を底上げしたい投資家が借り換えに注目する背景はここにあります。

借り換えの適切なタイミングと判断基準

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重要なのは、金利差だけでなく残債と残期間のバランスを見極めることです。一般的に残期間が10年以上あり、借り換え後の金利差が0.3ポイント以上あれば費用を回収しやすいとされます。また、RC造物件の場合、築年数と耐用年数の余裕が審査に影響します。金融機関は法定耐用年数47年を目安に返済期間を設定するため、築25年を超えると借り換え期間が短くなり、月々返済額が増える恐れがあります。

さらに、賃料下落率と修繕リスクも考慮すべきです。都心6区の平均賃料は国交省データで毎年0.6%上昇していますが、郊外では0.3%下落しています。立地によって将来キャッシュフローが変わるため、金利だけで判断するのは危険です。加えて、物件評価額が下がり過ぎると担保不足で借り換え自体が難しくなるため、定期的な評価を確認しましょう。

金利タイプと融資期間の見直しポイント

ポイントは、固定金利と変動金利を戦略的に使い分けることです。2025年度の市場では変動金利が平均1.2%、固定10年は1.5%前後で推移しています。将来の金利上昇リスクを抑えたいなら固定型が安心ですが、固定期間終了後の再設定金利も確認する必要があります。言い換えると、低金利期には変動型でキャッシュフロー改善を優先し、将来上昇局面が見えたら固定型に切り替える二段構えが有効です。

融資期間の延長も借り換え効果を高めます。例えば残期間15年のローンを20年へ延ばすと、月々の返済は約20%減少します。ただし、総返済額は増えるため、空室率や修繕費を加味した長期シミュレーションを行うことが前提です。また、法人名義で借りている場合、金融機関ごとに決算書評価の基準が異なるため、複数行に事前相談し、試算表を最新化しておくと審査がスムーズに進みます。

借り換え手続きの流れと費用の内訳

まず金融機関へ残高証明書と物件資料を提出し、事前審査を受けます。承認後に正式審査へ進み、登記簿謄本や賃貸借契約書など細かな書類を準備します。手続き自体は1〜2か月が一般的ですが、金融機関によってはオンラインで進められるため、繁忙期を避けるとスピードアップが期待できます。

必要費用は、抵当権設定・抹消の登録免許税、司法書士報酬、事務手数料、場合によっては保証料が掛かります。総額は借入額の2%前後が目安ですが、近年はネットバンクを中心に事務手数料定額型が増え、コストは抑えやすくなりました。つまり、費用対効果を確かめるには、借り換え後の金利差と月々返済の差額を年換算し、2年以内に回収できるかを目標にすると判断しやすいでしょう。

借り換え成功事例に学ぶキャッシュフロー改善

実際の事例で流れをイメージしてみましょう。築18年、RC造20戸の一棟マンションを法人保有するAさんは、当初金利2.2%で1億6,000万円を借入していました。2025年5月に変動1.3%で借り換え、期間を残19年から25年へ延長した結果、月々返済は約23万円から17万円へ減少。年間キャッシュフローは72万円増加し、その分を修繕積立と次の物件購入資金に充てています。

また、個人名義で区分RCマンションを3戸保有するBさんは、固定10年1.6%へ借り換えたことで、変動金利上昇局面への不安を解消しました。月々の支払いはほぼ横ばいでしたが、将来のリスクを低減し心理的負担が軽くなったと語ります。このように、借り換えは単なる金利削減にとどまらず、資金繰りやメンタル面にも効果をもたらす点が見逃せません。

まとめ

記事全体を振り返ると、RC造物件の借り換えでは金利差だけでなく残期間、物件評価、将来賃料の動向まで視野に入れることが鍵でした。2%程度の諸費用を回収できるかを目安にシミュレーションし、複数行の事前審査で条件を比較すると失敗リスクは下がります。最終的にはキャッシュフローが改善し、修繕や追加投資に回せる余裕資金を確保できるかが判断基準です。迷ったら専門家に相談し、数字とデータで裏付けた決断を下してください。行動を起こした人だけが、低金利のメリットを最大限に享受できるのです。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅市場動向調査2024 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本銀行 貸出約定平均金利統計 2025年7月 – https://www.boj.or.jp
  • 不動産流通推進センター 2025年度不動産統計 – https://www.retpc.jp
  • 一般財団法人日本建築センター RC造耐用年数指針2025 – https://www.bcj.or.jp
  • 財務省 法人企業統計季報 2025年4-6月期 – https://www.mof.go.jp

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