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2025年版 収益物件 ランキングと選び方

投資サイトで「収益物件 ランキング」を眺めながら、どの物件が本当に自分向きなのか迷っていませんか。表面利回りが高いマンションに飛びついた友人が、後から修繕費に頭を抱えたという話もよく耳にします。本記事では、ランキングの数字に隠れたリスクとチャンスを解きほぐし、2025年9月時点の最新データを踏まえた判断軸を示します。最後まで読めば、広告の甘い言葉に振り回されず、自信を持って物件を選び抜く視点が身につくでしょう。

収益物件ランキングをどう読むか

収益物件ランキングをどう読むかのイメージ

まず押さえておきたいのは、ランキングの順位が必ずしも投資成果を保証しない点です。運営会社によって計算方法が異なり、経費や空室期間を一切考慮しない場合もあります。そのため、順位づけの根拠を確認しなければ、実態とかけ離れた利回りを鵜呑みにする危険が高まります。

実際、国土交通省の不動産価格指数(2025年7月速報)によると、都心区分マンションの価格は前年同月比で3.1%上昇しました。一方、同期間に地方主要都市の一棟アパートは1.4%下落しています。つまり、同じ表面利回り8%でも、価格が上がる都心と下がる地方では出口戦略の難易度が変わるわけです。ランキングを見る際は、価格トレンドの方向性を重ね合わせる作業が不可欠になります。

さらに、ランキング上位に位置する築古アパートには、修繕費が利回りを大きく圧迫する例が少なくありません。日本賃貸住宅管理協会の調査では、築30年前後の木造物件で、大規模修繕費が年間家賃収入の15%を超えたケースが15%以上報告されています。高順位でも実質利回りが低下するリスクを念頭に、長期の収支シミュレーションを作ることが安全策となるでしょう。

キャッシュフロー重視の上位物件

キャッシュフロー重視の上位物件のイメージ

ポイントは、月々の手残りを重視する視点を持つことです。ランキングが示す表面利回りは魅力的でも、返済比率や固定費を差し引くと赤字転落しかねません。銀行融資を活用する場合、元利均等返済の影響で最初の10年ほどはキャッシュフローが圧迫されるからです。

たとえば、価格4,000万円、表面利回り8%の区分マンションを、金利1.5%、期間30年の融資で購入したケースを考えましょう。家賃収入320万円に対し、年間返済額は約166万円、管理費・修繕積立金が52万円、固定資産税が12万円です。結果として手残りは約90万円、実質利回りは2.25%に下がります。ランキングは8%と示していても、実際の手残りは1/3以下になる現実を認識しなければなりません。

一方で、同じ価格帯でも一棟木造アパートを選ぶと、管理費が抑えられ、部屋数の多さによる収入分散効果も期待できます。東京都下で成約が増えている築15年・8戸のアパートでは、満室時の表面利回り7%でも手残りが3.5%前後に収まる事例が見られます。複数戸の家賃が同時に途切れる確率は低く、空室リスクが平均化されるため、キャッシュフローは意外に安定するのです。

利回りだけに頼らないエリア分析

重要なのは、将来人口とインフラ計画を組み合わせた需要予測です。総務省の「地域別将来推計人口」(2024年版)では、政令指定都市の中心部は2035年まで年平均0.4%の人口増が見込まれる一方、郊外のニュータウンでは1%以上の減少が示されています。高利回りをうたう郊外物件は、長期保有で空室が増えやすい点を忘れてはいけません。

また、都市計画道路や再開発の有無は賃料水準に直結します。2025年に開業予定の大阪モノレール延伸区間沿線では、周辺ワンルームの成約賃料が着工告示直後から平均5%上昇しました。インフラ計画が具体化した時点で買い進むと、賃料上昇の恩恵を受けやすくなります。利回りランキングで上位に入らないエリアでも、将来値上がり益を見込める場所が存在するわけです。

さらに、大学移転や工場閉鎖など「負」のイベントもチェックが必要です。北海道内のある工業都市では、主要メーカー撤退の発表から半年で単身者用アパートの空室率が30%を超えました。ランキングよりも、地域ニュースに目を光らせることが、損失回避の近道となります。

2025年度の融資環境と補助制度

実は、融資条件がランキングの順位を逆転させるケースが増えています。日本銀行の金融システムレポート(2025年4月号)では、投資用不動産向け貸出残高が前年同期比1.8%増と緩やかな拡大に転じました。都銀は依然として審査厳格ですが、地方銀行や信用金庫が自己資金10%前後でも融資を出す例が目立ち始めています。

金利面では、長期金利が0.4%台に安定し、投資ローンの変動金利も1.1〜2.0%が主流です。ただし、ストレス金利(審査時に想定される金利上昇幅)が2%程度に設定されるため、返済比率は必ずその条件で計算しましょう。ランキングで利回りが僅差の物件なら、より低金利を引き出せる金融機関を優先するだけで年間手残りが数十万円変わる場合があります。

補助金については、賃貸住宅の省エネ改修を支援する「長期優良住宅化リフォーム推進事業(2025年度)」が活用しやすい制度です。対象工事費の1/3、上限250万円が補助され、申請期限は2026年3月末までと発表されています。築古アパートを取得後に外壁断熱や窓改修を行えば、ランク外だった物件を高付加価値物件へ押し上げることも可能です。

初心者が避けるべき落とし穴

まず、シミュレーションを楽観的に作り過ぎる点が大きな落とし穴です。不動産経済研究所のデータでは、2024年度の平均空室率は全国で11.3%でしたが、築20年以上に限ると18.7%に跳ね上がります。ランキングで10%の空室率を前提としていても、自身の物件が築古ならもう少し厳しめに見積もる必要があります。

次に、節税効果だけを目的に高額物件へ飛びつく失敗も後を絶ちません。減価償却が一巡した後、手残りがほとんど出ない状態で売却もできず、赤字を垂れ流すケースが多いからです。とくに木造築古一棟のフルローンは、金融機関が将来の担保価値を低く見積もるため、売却時に追加資金を要求されるリスクがあります。

最後に、管理会社任せで物件状況を把握しない姿勢も危険です。国土交通省の「賃貸住宅管理業登録制度」では定期報告が義務化されていますが、オーナー自らがレポート内容を読み解かなければ改善策は見えてきません。月1回の物件巡回と家賃動向チェックを怠らない習慣が、ランキング以上の成果を生み出します。

まとめ

ここまで、収益物件 ランキングの数字を鵜呑みにせず、キャッシュフロー・エリア特性・融資条件を立体的に検証する方法を示しました。手残りを左右する経費と空室率を現実的に設定し、将来人口やインフラ計画を重ね合わせることで、ランキング下位でも高パフォーマンス物件を掘り出せます。行動に移す際は、厳しめのシミュレーションを作成し、金融機関と補助制度を徹底的に比較することが成功への近道です。今日からは、順位ではなく「自分の戦略に合うか」を基準に、納得の一件を探し始めてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省 不動産価格指数 2025年7月速報 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本銀行 金融システムレポート 2025年4月号 – https://www.boj.or.jp
  • 総務省 地域別将来推計人口 2024年版 – https://www.soumu.go.jp
  • 日本賃貸住宅管理協会 2024年度調査報告 – https://www.jpm.jp
  • 不動産経済研究所 全国空室率データ 2024年度 – https://www.fudousankeizai.co.jp

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