不動産の税金

横浜で失敗しないマンション投資 一棟買いの戦略

マンション一棟を丸ごと購入し、安定した家賃収入を得たいと考える方が増えています。しかし「区分よりリスクが高そう」「横浜は価格が上がっているが今からでも間に合うのか」など、不安が尽きないのも事実です。本記事では、横浜市の最新市場データを踏まえ、一棟買いで押さえるべき資金計画や物件選定のコツをわかりやすく解説します。読み終えたとき、収益シミュレーションの立て方から融資交渉の具体策までイメージできるはずです。

横浜で一棟買いが注目される背景

横浜で一棟買いが注目される背景のイメージ

まず押さえておきたいのは、横浜市の人口動態と賃貸需要です。総務省の住民基本台帳によると、2025年1月時点で横浜市の人口は377万人超と政令市で最多を維持しています。特に20〜39歳の若年層が集中する西区・神奈川区では、単身向け物件の入居率が95%前後と高水準で推移しています。長期的に見ても、このエリアは大学やIT企業の集積が続き、賃貸ニーズが底堅いと考えられます。

一方、同じ神奈川県内でも川崎や湘南エリアは地価高騰が急で利回りが低下しています。横浜では駅徒歩10分圏の築15年前後のRC造(鉄筋コンクリート)一棟マンションが、表面利回り6.0〜7.5%で流通する事例が残っています。つまり都心アクセスと利回りのバランスが取れた物件を探しやすく、投資先として再評価されているわけです。

さらに、2025年度の住宅ローン金利は日銀の政策修正後も変動型で平均0.60%台、アパートローンでも固定2%前後にとどまっています。家賃水準が比較的高い横浜と低金利環境の組み合わせが、一棟買いの収益性を後押ししているのです。

収益シミュレーションの作り方

収益シミュレーションの作り方のイメージ

ポイントは、実質利回りを厳しめに計算し、長期の収支を可視化することです。まず、毎月の家賃総額から管理委託費8%、修繕積立2%、空室損5%を差し引き、手取りキャッシュフローを算出します。たとえば家賃総額90万円の物件なら、控除後の純収入は約75万円です。

次に、金融機関の融資条件を反映します。自己資金20%・金利2.0%・期間30年の場合、月々の返済は約55万円となり、毎月20万円前後の黒字が見込めます。この黒字に積立修繕費を再投入すれば、10年後に大規模修繕を行っても資金繰りが苦しくなりません。

一方で、家賃下落リスクも計算に入れるべきです。横浜市の賃料指数(不動産研究所)は直近5年で年平均−0.3%と緩やかな下落にとどまっていますが、シミュレーションでは年−1.0%で試算し、耐性を確認します。空室率を10%に切り上げても、キャッシュフローがプラスを維持できるか検証しておくと安心です。

融資戦略と税制の最新ポイント

重要なのは、融資交渉を早期に始め、複数行の条件を比較する姿勢です。2025年10月現在、メガバンクは一棟マンション向け融資に慎重ですが、地銀や信用金庫は地域活性化の観点から前向きです。例えば横浜銀行では、自己資金30%を条件に金利1.8%・最長35年の融資事例があります。交渉の際は、購入後の修繕計画や入居戦略を提示し、リスク管理の具体性を示すと審査が通りやすくなります。

税制面では、減価償却の取り扱いがキャッシュフローに大きく影響します。築20年以上のRC造を購入すれば、4年で償却できる「定額法」が適用可能です。これにより、初期4年間は帳簿上の赤字を作りやすく、給与所得との損益通算で税金を圧縮できます。ただし、2025年度の税制改正大綱では、過度な節税スキームを防ぐため耐用年数超過物件の償却見直しが議論されています。実行前には税理士に最新動向を確認しましょう。

また、2025年度現在も有効な「住宅用家屋証明書」を取得すれば、登録免許税が0.3%から0.1%に軽減されます。適用には建物の床面積50㎡以上など細かな条件があるため、契約前に司法書士と連携して要件を満たすか確認することが不可欠です。

物件選定で押さえるエリア特性

まず、横浜市内でも賃貸需要の質はエリアにより大きく異なります。西区・中区はオフィスワーカーと学生が混在し、ワンルームが中心です。これらの地区で一棟買いする場合、宅配ボックスや高速インターネットを導入すると、家賃15%上乗せが狙えます。港北区・都筑区はファミリー層が多く、2LDK以上の間取りが好まれます。ここでは駐車場付きや保育園へのアクセスが決め手になりやすい点を覚えておきましょう。

次に、再開発計画のチェックも欠かせません。横浜市都市整備局の資料によると、2028年完成予定の「神奈川東部方面線」延伸は、新駅付近の地価を押し上げる要因とされています。計画段階のエリアで早期に物件を確保できれば、出口戦略で売却益を得るチャンスが広がります。

一方、築古物件を選ぶ場合は建物の耐震性が焦点です。1981年以前の旧耐震基準の建物は金融機関の評価が低くなりがちで、金利が0.3〜0.5ポイント上乗せされる傾向があります。RC造なら、耐震診断と補強工事の費用を試算しておき、購入価格に折り込めるかどうかを判断しましょう。

運営管理を成功させるコツ

実は、一棟買いの成否は購入後の運営で決まります。最初に行うべきは、賃貸管理会社の選定です。管理手数料だけで決めず、入居付けスピードや原状回復の見積もり精度を比較します。横浜ではサブリースを提案する会社も多いものの、家賃の90%保証など好条件には更新時の減額条項がある場合が少なくありません。契約書を細部まで読み込み、インセンティブの有無を確認しましょう。

さらに、デジタルによる入居者対応が差別化に直結します。チャットボットを使った24時間問合せ対応やスマートロック導入は、若年層の満足度を高め、平均入居期間を1年以上延ばす効果があるといわれています。初期投資は戸当たり3万円程度ですが、長期の空室損削減で十分回収可能です。

最後に、出口戦略も運営の一部として常に意識します。10年後に売却するなら、築25年前後で大規模修繕が必要になるため、修繕計画と重ならないタイミングでの売却が高値につながります。保有継続を選ぶ場合でも、収益性の定期評価を行い、売却・建て替え・リノベーションの選択肢を整理しておくと意思決定がスムーズです。

まとめ

横浜でのマンション投資 一棟買いは、人口流入と安定した賃貸需要、そしてまだ確保できる利回りが魅力です。重要なのは、厳しめの収支シミュレーションを行い、複数行から最適な融資条件を引き出すことでした。さらに、エリア特性を見極めた設備投資と、長期視点での修繕計画が欠かせません。これらを丁寧に積み上げれば、月間キャッシュフローの黒字化と資産価値の向上を同時に実現できます。今日得た知識をもとに、まずは気になる物件の数値を自分で試算し、次のアクションにつなげてみてください。

参考文献・出典

  • 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp
  • 横浜市都市整備局 再開発計画資料 – https://www.city.yokohama.lg.jp
  • 不動産経済研究所 マンション価格動向 2025年10月 – https://www.fudousankeizai.co.jp
  • 日本銀行 マネタリーベース統計 – https://www.boj.or.jp
  • 国税庁 タックスアンサー 減価償却のしかた(2025年度) – https://www.nta.go.jp

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