札幌で一棟マンションを購入し、家賃収入で資産形成を図りたいと考えているものの、「本当に空室リスクは低いのか」「東京より利回りが高いのは何か理由があるのでは」と不安を抱く人は少なくありません。私自身、初めて札幌市場を調べた際は同じ悩みを抱えました。本記事では2025年10月時点の最新データをもとに、札幌でマンション投資 一棟買いを検討する際のポイントを体系的に解説します。読み終えるころには、立地選定から融資交渉、税制活用まで行動計画を描けるようになるはずです。
札幌市場が一棟マンション投資に向く理由

まず押さえておきたいのは、札幌が道内全域の人口を吸収し続ける“集積都市”だという事実です。札幌市統計書によると、2025年4月時点の人口は196万人と過去5年間で約1.2%増加しました。全国的に地方人口が減少する中で、この微増は安定した賃貸需要の裏付けになります。
さらに、札幌には北海道大学や北海学園大学など13校の主要大学が集まり、学生だけで約6万人が居住すると推計されています。若年単身層の流入はワンルーム需要を支え、退去後も次の入居者が見つかりやすい環境をつくります。加えて、IT企業のオフィス進出や国内外観光客の長期滞在ニーズが増え、雇用の受け皿が広がっています。
価格面を見ると、2025年上期の札幌市中心部の中古一棟RCマンション平均取引額は1坪約95万円(国交省不動産価格指数)で、東京23区の約150万円に比べて4割ほど低水準です。購入価格が抑えられる分、表面利回りは6〜8%と首都圏平均4%前後より高く、キャッシュフローの厚みが期待できます。
一方で、積雪寒冷地ならではの設備トラブルや除雪費の増大といったコスト面の注意点もあります。しかし、これらを理解し管理計画を立てれば、相対的に魅力の高い投資先となるのが札幌市場の特色です。
物件選びで押さえるべき立地と規模

ポイントは「地下鉄から徒歩10分以内」を軸に、生活利便性と空室抑制を両立させることです。札幌中心部へのアクセスが良い地下鉄南北線・東西線・東豊線沿線は、入居者が雪の日でも通勤通学しやすく、年間を通じて募集がしやすい傾向があります。特に中央区・北区・豊平区は人口の純増が続き、過去3年間の平均空室率は5%台にとどまっています。
規模については、RC造3〜5階建てで戸数15〜30戸程度が管理効率と収益性のバランスを取りやすい水準です。木造アパートより耐用年数が長く、金融機関の融資期間も25〜30年を確保しやすいため、キャッシュフローを安定させやすくなります。建物価格のうち土地が40%以上を占める物件を選ぶと、将来売却時に土地値が下支えとなり含み損リスクを減らせます。
また、築浅かフルリノベ済みの物件は、入居者募集で写真映えする内装が強みになります。札幌市の住宅市場動向調査によれば、築10年以内RCマンションの平均成約賃料は築20年超に比べて22%高く、同程度の空室率であっても収益差が大きく開くためです。購入時に「見た目」と「ランニングコスト」の両方を確認し、将来の修繕計画も含めて検討しましょう。
資金計画と融資戦略の基本
まず押さえておきたいのは、自己資金を最低20%確保し、融資条件を複数行で比較することです。2025年10月時点で、北洋銀行や北海道銀行の一棟収益物件向け金利は変動1.7〜2.3%が目安で、融資期間は耐用年数の残存年数+10年まで認められるケースもあります。一方、全国系メガバンクは金利が1%台前半と低いものの、LTV(融資比率)が70%程度に抑えられる傾向があるため、自己資金を多めに準備する必要があります。
資金計画を作成する際は、家賃収入から空室率10%、管理費5%、修繕積立2%を差し引いた実質利回りを想定しましょう。さらに、雪害保険と除雪費を年間家賃の1%程度組み込むと、想定外のコストに慌てずに済みます。金融機関が重視するDSCR(元利返済カバー率)は1.2倍以上が安全圏とされ、これを下回ると追加担保や保証人を求められる場合があります。
融資交渉では、入居率を裏付ける賃料査定書や管理会社の入居付けレポートを提示すると、事業計画の信頼性が高まります。また、札幌市内で複数棟を保有する投資家は、地域金融機関から金利優遇0.1〜0.2%を引き出した事例もあります。実績がない初心者でも、共同担保や手厚い修繕計画を示すことで条件改善の可能性がある点を覚えておきましょう。
運営・管理で収益を守るポイント
重要なのは、札幌特有の気候リスクを見据えた物件管理体制を構築することです。凍結防止のための通水巡回や屋上の積雪荷重チェックは、冬季に月1回以上実施すると給排水事故の発生率を大幅に低減できます。管理会社任せにするのではなく、オーナー自身も現場の写真付き報告を定期的に受け取り、修繕提案の根拠を確認する姿勢が求められます。
入居付けでは、オンライン内覧やセルフ内覧システムの導入が有効です。国土交通省の「賃貸市場デジタル活用実態調査2024」によれば、オンライン内覧対応物件は非対応物件より平均募集期間が1.8週間短縮されました。遠方から転勤で移住する層が多い札幌では、デジタル接客が空室期間短縮に直結します。
家賃設定は「中心部平均賃料×0.95」を初期目安にし、入居率90%維持を優先した方が長期収益は安定します。実は、利回りを0.5ポイント下げても空室期間を1カ月短縮できれば、年間キャッシュフローがプラスに転じるケースが多いのです。収益最大化より、空室ロス最小化を戦略の軸に据えると失敗リスクを抑えられます。
2025年度の税制と補助制度の活用法
ポイントは、普遍的に利用できる制度と期限付き優遇策を組み合わせることです。まず、所得税の損益通算と建物減価償却は賃貸経営の基本で、RC造の場合法定耐用年数47年を基に減価償却を計算します。築20年の物件なら残存耐用年数27年ですが、定額法を使うことで毎年ほぼ均等に経費計上でき、課税所得を安定的に圧縮できます。
2025年度も継続している「新築住宅の固定資産税軽減措置」により、賃貸用でも床面積が要件を満たすと、3年間は税額が2分の1になります。新築一棟マンションを検討する場合、この期間にキャッシュフローを蓄えれば大規模修繕の資金形成がしやすくなります。
さらに、2025年度の「中小企業等経営強化税制」では、一定の省エネ性能を備えた設備や建物を取得すると即時償却または10%の税額控除が選択可能です。賃貸住宅も事業用資産として対象になるため、高効率給湯器や断熱改修を行う際に活用すると、初期投資回収期間を短縮できます。制度は2026年3月までの取得が期限とされているため、スケジュール管理が欠かせません。
まとめ
札幌でマンション投資 一棟買いを成功させる鍵は、市場の人口吸収力と利回りの高さを享受しつつ、雪国特有のコストと空室対策を緻密に計画することです。立地は地下鉄徒歩圏、建物はRC造15〜30戸を目安に選び、自己資金20%とDSCR1.2倍を守れば資金繰りは安定します。加えて、2025年度も利用できる固定資産税軽減や経営強化税制を活用し、減価償却と合わせて税負担を最適化しましょう。行動の第一歩として、現地を歩きながら管理会社や金融機関へ訪問し、数字と現場感覚をリンクさせることを強くおすすめします。
参考文献・出典
- 札幌市 – https://www.city.sapporo.jp/toukei/
- 国土交通省 住宅市場動向調査2025 – https://www.mlit.go.jp
- 不動産経済研究所 新築マンション市場動向2025年10月 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 日本銀行 金融システムレポート2025年9月 – https://www.boj.or.jp
- 財務省 令和7年度税制改正大綱 – https://www.mof.go.jp