都内の新築価格が年々上がるなか、「5000万円で区分所有マンションに投資して本当に収益が出せるのか」と不安を抱く方は少なくありません。実は、資金計画と物件選定の手順を押さえれば、大きな借り入れを背負わずに安定した家賃収入を狙えます。本記事では、最新データを踏まえつつ、購入予算5000万円前後で実行できる区分所有投資のポイントを基礎から解説します。読み終えるころには、リスクをコントロールする方法や金融機関との交渉術までイメージできるはずです。
5000万円の投資規模で見込める収益と市場動向

まず押さえておきたいのは、5000万円という予算が都心・準都心でどのくらいの物件規模に相当するかです。不動産経済研究所の2025年10月調査では、東京23区の新築マンション平均価格が7,580万円と報告されています。つまり、同価格帯を避けて築浅や中古のワンルーム、あるいは城南・城北エリアのファミリータイプを狙う形になります。
23区内の築10年前後のワンルームは、駅徒歩5分圏でも4,300〜5,200万円で流通しており、表面利回りは3.6〜4.2%が一般的です。一方、埼玉・千葉の主要駅周辺では同価格帯で30㎡超のコンパクトファミリーを購入でき、利回りが4.5%前後まで上がる傾向があります。ただし通勤需要に左右されやすく、空室期間が長引くリスクもある点は見逃せません。
人口動向を確認すると、総務省統計局の2024年推計で東京圏の20代単身世帯は2030年まで微増する見通しです。この層をターゲットにすれば、5000万円の区分所有でも長期安定運用が期待できます。市場動向を冷静に把握したうえで、立地と間取りを見極める姿勢が欠かせません。
重要なのはキャッシュフロー設計

ポイントは、表面利回りだけでなく実質的なキャッシュフローを細かく試算することです。家賃収入から管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料を差し引き、さらにローン返済額を控除して初めて手取り額が見えてきます。
たとえば借入額4,000万円、金利1.5%、期間30年で融資を受けた場合、毎月返済は約13.8万円です。家賃が17万円、諸経費が3万円とすると、手残りは0.2万円に過ぎません。さらに空室1カ月を想定すると、年間手取りは一気にマイナスに転じます。つまり、最初から空室率5%や修繕一時金の上昇を織り込んだ保守的なシミュレーションが不可欠です。
金融機関の返済負担率は、年収700万円の会社員なら概ね30〜35%が上限とされています。ゆとりを持たせるためには、自己資金を1,000万円以上投入し、借入比率を七割程度に抑える戦略が有効です。実質利回りを4.0%から3.5%へ下げても、手元キャッシュを厚くすることでリスク許容度を高められます。
物件選びで失敗しないチェックポイント
実は、同じ5000万円でも管理状態や入居者属性によって収益の安定度は大きく変わります。まず管理組合の財政を確認し、長期修繕計画が機能しているかを議事録でチェックします。修繕積立金が不足している物件は、将来の一時金徴収や資産価値の下落を招きます。
次に重要なのが出口戦略です。国土交通省のレインズデータでは、築20年を超えたワンルームの成約価格が築10年比で約25%下落しています。それでも駅徒歩3分以内の物件は下落幅が15%にとどまるなど、立地は資産価値を守る防波堤になります。将来売却益を狙うなら、再開発や大学キャンパス移転計画などのエリアニュースも合わせて調査しましょう。
さらに、賃貸需要を可視化する手段として、国勢調査の世帯数推移や各自治体が公開する住宅着工統計が役立ちます。賃貸ポータルサイトの掲載期間を日単位で追跡し、平均募集日数が長い地域は避けるなど、データと現地訪問を組み合わせることで失敗の確率を下げられます。
融資と自己資金の賢い組み合わせ
まず、区分所有マンションへの融資は、住宅ローンではなく不動産投資ローンが基本です。2025年10月時点で大手銀行の変動金利は年1.3〜2.1%のレンジにあり、金利優遇幅は自己資金比率と属性で変わります。会社員でも年収800万円以上、勤続3年以上であれば、金利1%台前半の提案を受けやすい状況です。
フルローンを提示されるケースもありますが、自己資金を2割入れると金利が0.2%下がるなど、総返済額で見れば数百万円の差が出ます。借入期間は長く取るほど月々の返済負担は軽くなる一方、利息総額が増える点に注意が必要です。繰上返済の柔軟性を考えると、期間35年よりも30年を基本に、余裕があれば追加返済していく戦略が安心です。
また、複数物件を視野に入れるなら、最初の融資で信用情報を向上させることが大切です。返済実績を2〜3年積み上げると、次の物件で融資枠が広がり、金利交渉にも有利に働きます。結論として過度なレバレッジではなく、段階的に資産を増やす姿勢が長期的なリスク管理に直結します。
2025年度の税金と制度のポイント
ポイントは、税制を味方につけて手取りを最大化することです。不動産所得は家賃収入から減価償却費を控除できるため、現金支出を伴わない経費で課税所得を圧縮できます。鉄筋コンクリート造(RC)の法定耐用年数は47年で、築年数が15年の物件なら残存耐用年数は32年。定額法を使うと毎年約1.6%を経費算入でき、課税所得を確実に減らせます。
2025年度も「固定資産税の新築住宅減額措置」は継続中ですが、適用対象は自己居住用の新築住宅なので投資物件には原則使えません。一方で、区分所有の所有権移転登記にかかる登録免許税や不動産取得税には軽減措置がなく、購入時の諸費用として7〜8%を見込む必要があります。
また、長期譲渡所得の税率優遇は保有期間5年超で適用されるため、売却益を計画する場合は保有期間を意識した出口設計が欠かせません。さらに、家賃債務保証料やサブリース契約料は経費算入できるものの、将来の家賃見直し条項を慎重に精査することで想定外の収益悪化を防げます。制度を正しく理解し、適切に活用すれば5000万円の区分所有でも着実な資産形成が可能です。
まとめ
本記事では、マンション投資 5000万円 区分所有で成功するために、市場動向、キャッシュフロー設計、物件選び、融資戦略、税制の五つの視点から具体策を示しました。まずは保守的な収支シミュレーションを行い、自己資金を厚めに設定することでリスクを抑えましょう。そのうえで、駅近かつ管理良好な物件を選び、長期保有を前提に税制メリットを活用すれば、安定した家賃収入と資産価値の両立が見えてきます。今日から情報収集と資金計画を始め、一歩ずつ着実に投資家としての土台を築いてください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 レインズ市場動向 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局 人口推計 – https://www.stat.go.jp
- 東京都都市整備局 住宅市場動向 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 国税庁 タックスアンサー 不動産所得 – https://www.nta.go.jp