都内の新築マンション価格が年々上昇するなか、「5000万円の予算で区分所有マンションに投資して本当に収益が出せるのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、適切な資金計画と物件選定の手順を押さえることで、大きな借り入れを背負わずに安定した家賃収入を狙うことは十分に可能です。
本記事では、最新の市場データを踏まえながら、購入予算5000万円前後で実行できる区分所有投資のポイントを基礎から丁寧に解説していきます。読み終えるころには、リスクをコントロールする具体的な方法や、金融機関との交渉術までイメージできるようになるはずです。
5000万円の投資規模で見込める収益と市場動向

最初に押さえておきたいのは、5000万円という予算が都心や準都心でどのくらいの物件規模に相当するかという点です。不動産経済研究所の2025年調査によると、東京23区の新築マンション平均価格は7,580万円に達しています。つまり、5000万円の予算では新築を購入することは難しく、築浅の中古ワンルームや、城南・城北エリアのファミリータイプを狙う形になります。
23区内の築10年前後のワンルームであれば、駅から徒歩5分圏内でも4,300万円から5,200万円程度で流通しており、表面利回りは3.6%から4.2%が一般的な水準です。一方、埼玉県や千葉県の主要駅周辺に目を向けると、同じ価格帯でも30平方メートルを超えるコンパクトファミリー向けの物件を購入でき、利回りは4.5%前後まで上がる傾向があります。
ただし、郊外の物件は通勤需要に左右されやすく、景気後退時には空室期間が長引くリスクがある点は見逃せません。人口動向を確認すると、総務省統計局の2024年推計では、東京圏の20代単身世帯は2030年まで微増する見通しとなっています。この層をターゲットにした物件であれば、5000万円の区分所有でも長期にわたる安定運用が期待できるでしょう。市場動向を冷静に把握したうえで、立地と間取りを慎重に見極める姿勢が成功への第一歩となります。
収益を左右するキャッシュフロー設計の考え方

不動産投資で最も重要なのは、表面利回りだけでなく実質的なキャッシュフローを細かく試算することです。家賃収入から管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料を差し引き、さらにローン返済額を控除して初めて、実際に手元に残る金額が見えてきます。この計算を怠ると、想定していた収益が得られないどころか、赤字に転落してしまう可能性もあります。
具体的な数字で考えてみましょう。借入額4,000万円、金利1.5%、返済期間30年で融資を受けた場合、毎月の返済額は約13万8,000円になります。仮に家賃収入が17万円、管理費などの諸経費が月3万円とすると、手残りはわずか2,000円に過ぎません。さらに空室が1カ月発生すると仮定すれば、年間の手取りは一気にマイナスに転じてしまいます。
このような事態を避けるためには、最初から空室率5%程度や修繕積立金の将来的な上昇を織り込んだ、保守的なシミュレーションが不可欠です。金融機関が設定する返済負担率の上限は、年収700万円の会社員であれば概ね30%から35%とされています。しかし、ゆとりを持った運用を目指すなら、自己資金を1,000万円以上投入して借入比率を7割程度に抑える戦略が有効です。実質利回りが4.0%から3.5%に下がったとしても、手元キャッシュを厚くすることでリスク許容度を高められます。
物件選びで失敗しないためのチェックポイント
同じ5000万円の物件でも、管理状態や入居者の属性によって収益の安定度は大きく変わってきます。まず確認すべきなのは、管理組合の財政状況です。長期修繕計画が適切に機能しているかどうかを、総会の議事録や修繕履歴でチェックしましょう。修繕積立金が不足している物件は、将来的に一時金の徴収が発生したり、資産価値が大きく下落したりするリスクを抱えています。
次に考慮すべきなのが出口戦略、つまり将来の売却についてです。国土交通省のレインズデータによると、築20年を超えたワンルームの成約価格は、築10年の物件と比較して約25%下落しています。しかし興味深いことに、駅から徒歩3分以内の物件は下落幅が15%程度にとどまる傾向があります。立地の良さは、まさに資産価値を守る防波堤となるのです。
将来的に売却益も視野に入れるのであれば、再開発計画や大学キャンパスの移転情報など、エリアに関するニュースも合わせて調査することをおすすめします。さらに、賃貸需要を客観的に把握する手段として、国勢調査の世帯数推移や各自治体が公開している住宅着工統計が役立ちます。賃貸ポータルサイトの物件掲載期間を日単位で追跡し、平均募集日数が長い地域は避けるなど、データと現地訪問を組み合わせることで投資の失敗確率を大幅に下げることができます。
融資と自己資金を賢く組み合わせる方法
区分所有マンションへの投資で利用するのは、住宅ローンではなく不動産投資ローンが基本となります。2025年現在、大手銀行の変動金利は年1.3%から2.1%のレンジにあり、金利の優遇幅は自己資金の比率と借り手の属性によって変動します。会社員であっても年収800万円以上、勤続年数3年以上といった条件を満たせば、金利1%台前半の提案を受けやすい状況です。
金融機関によってはフルローンを提示されるケースもありますが、安易に飛びつくのは禁物です。自己資金を2割投入することで金利が0.2%下がるケースも珍しくなく、総返済額で見れば数百万円の差が生じることもあります。借入期間については、長く設定するほど月々の返済負担は軽くなりますが、その分だけ利息の総額が増える点に注意が必要です。
返済の柔軟性を考慮すると、期間35年よりも30年を基本として設定し、余裕があるときに繰上返済を行っていく戦略が安心です。また、将来的に複数物件の所有を視野に入れているなら、最初の融資で返済実績を積み上げることが重要になります。2年から3年の返済実績を築くことで信用情報が向上し、次の物件購入時に融資枠が広がるだけでなく、金利交渉でも有利に働きます。過度なレバレッジをかけるのではなく、段階的に資産を増やしていく姿勢こそが、長期的なリスク管理に直結するのです。
2025年度の税制を味方につけて手取りを最大化する
不動産投資において税制を正しく理解し活用することは、手取り収入を最大化するうえで欠かせない要素です。不動産所得は家賃収入から減価償却費を控除できるため、実際には現金の支出を伴わない経費で課税所得を圧縮できるという大きなメリットがあります。
鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年と定められています。たとえば築15年の物件を購入した場合、残存耐用年数は32年となり、定額法を適用すると毎年約1.6%を経費として算入できます。この減価償却費の計上によって、見かけ上の所得を抑えながら実際のキャッシュは手元に残るという仕組みです。
一方で、2025年度も継続している「固定資産税の新築住宅減額措置」は、適用対象が自己居住用の新築住宅に限られるため、投資用物件には原則として使えません。また、区分所有の所有権移転登記にかかる登録免許税や不動産取得税には軽減措置がなく、購入時の諸費用として物件価格の7%から8%程度を見込んでおく必要があります。
将来の売却を計画している場合は、保有期間も重要なポイントとなります。長期譲渡所得として優遇税率が適用されるのは、保有期間が5年を超えた場合に限られます。したがって、出口戦略を設計する際には、保有期間を意識したタイミングで売却を検討することが節税につながります。家賃債務保証料やサブリース契約料は経費として算入できますが、特にサブリース契約では将来の家賃見直し条項を慎重に精査し、想定外の収益悪化を防ぐことが大切です。
まとめ
本記事では、5000万円の予算で区分所有マンション投資を成功させるために、市場動向、キャッシュフロー設計、物件選び、融資戦略、税制活用という五つの視点から具体的な方法をお伝えしました。
最も大切なのは、最初から保守的な収支シミュレーションを行い、自己資金を厚めに設定してリスクを抑えることです。そのうえで、駅近かつ管理状態の良好な物件を選び、長期保有を前提に税制メリットを活用すれば、安定した家賃収入と資産価値の維持を両立させることができます。
不動産投資は一朝一夕に成果が出るものではありませんが、正しい知識と慎重な判断があれば、着実に資産を築いていくことが可能です。今日から情報収集と資金計画を始めて、一歩ずつ投資家としての土台を築いていきましょう。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 レインズ市場動向 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局 人口推計 – https://www.stat.go.jp
- 東京都都市整備局 住宅市場動向 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 国税庁 タックスアンサー 不動産所得 – https://www.nta.go.jp