不動産の税金

RC造物件の不動産投資ローン借り換え戦略

RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションを保有していると、毎月の返済額が家賃収入を圧迫し、「金利が高いまま放置しているけれど、借り換えは本当に得なのか」と迷う場面が少なくありません。実は、借り換えで金利を0.5%下げるだけでも、30年ローンなら総返済額を数百万円単位で圧縮できる可能性があります。本記事では、RC造 不動産投資ローン 借り換えの基礎から、2025年10月時点の最新金利水準、審査対策、活用できる税制までを丁寧に解説します。読み終えるころには、自分のローンが見直しのタイミングにあるかどうか、自信を持って判断できるはずです。

RC造とは何かと借り換えが注目される理由

RC造とは何かと借り換えが注目される理由のイメージ

まず押さえておきたいのは、RC造物件が金融機関から「耐用年数が長く担保価値が安定している」と評価されやすい点です。国税庁の耐用年数表ではRC造マンションの法定耐用年数は47年とされ、木造の22年に比べおよそ2倍長くなります。このため築20年を超えても残存期間が十分あり、融資期間を長めに設定しやすいことが特徴です。

一方で、RC造は建築コストが高いぶん物件価格も大きく、ローン残高が膨らみやすい側面があります。そこで金利や返済期間を見直す「借り換え」が効果を発揮します。全国銀行協会の2025年10月データによると、投資用ローンの変動金利は1.5〜2.0%、固定10年は2.5〜3.0%が目安です。数年前に3%台後半で借りたままのオーナーは、借り換え余地が大きいといえるでしょう。

実は、RC造物件の借り換えは建物寿命の長さゆえに選択肢が広がり、金融機関同士の競争が働きやすいという利点もあります。つまり、耐用年数に裏打ちされた担保力が、金利交渉を有利に運ぶ鍵になるのです。

借り換えで得られる三つの効果

借り換えで得られる三つの効果のイメージ

重要なのは、借り換えによって得られる効果を数字で把握することです。第一に「金利差による総返済額の減少」があります。たとえば残高8,000万円・残期間25年・金利3.3%のローンを、金利2.0%に借り換えると、総返済額は約1,700万円減ります(筆者試算、諸費用除く)。

第二に「月々のキャッシュフロー改善」が挙げられます。金利が1.3%下がれば、毎月の返済はおよそ5〜6万円軽くなり、修繕積立や新規投資に回せる余剰資金が生まれます。キャッシュフローが厚くなるほど、突発的な空室や修繕にも耐えやすくなるため、経営の安定度が増します。

第三は「融資期間のリセット効果」です。借り換え先で期間を延長できれば、同じ金利でも返済額が下がります。ただし、期間延長は金利優遇幅が小さい場合に有効で、総返済額が増える危険もあります。つまり、金利と期間のバランスを見極めたシミュレーションが不可欠なのです。

金利と返済期間をどう読み解くか

ポイントは、金利だけを追うのではなく「総コスト」で判断することです。借り換えには保証料、事務手数料、抵当権設定費用などがかかり、合計で借入額の2〜3%が目安になります。残高が少ない、あるいは残期間が短い場合は、費用がメリットを上回るケースもあるため注意が必要です。

さらに、変動金利か固定金利かという選択も大きなテーマになります。変動は金利上昇リスクがあるものの、現行1.5%前後と低水準です。一方、固定10年2.7%前後は安心感がありますが、総返済額は増えがちです。言い換えると、自分がどこまで金利変動を許容できるか、シナリオ別に検証する姿勢が求められます。

借り換えの可否は「LTV(ローン・トゥ・バリュー)=ローン残高/担保評価額」で決まる場面が多いです。RC造は評価が安定しやすい反面、築30年を過ぎると一気に下落カーブが急になるため、築浅のうちに手を打つほうが有利です。金融機関によってはLTV70%以内を条件に優遇金利を提示するところもあり、評価額を把握して戦略を立てることが大切です。

借り換え審査を通すための具体策

まず、直近2期分の確定申告書と賃貸収支表を整え、家賃収入が安定していることを示しましょう。家賃下落や空室がある場合は、リフォーム計画や募集強化策をセットで提示すると効果的です。金融機関は「今後の改善余地」を評価するため、対策を示すことで審査を前向きに導けます。

次に、共用部の修繕履歴を提示し、長期修繕計画が適切かを説明します。RC造はメンテナンスコストが高めですが、計画的に積み立てているほど、担保としての魅力が高まります。また、修繕積立金の残高証明を添付すると、金融機関の信頼度が上がるでしょう。

さらに、複数行へ同時に打診する「相見積もり」も効果を発揮します。各行の提示条件を比較することで、金利だけでなく手数料や期間延長の可否まで交渉材料にできます。交渉では「他行は〇%だった」と具体的に示すと、追加優遇を引き出せる可能性があります。

2025年度に利用できる支援制度と注意点

基本的に、投資用ローンには住宅ローン控除のような直接的な減税は適用されません。しかし、RC造の新築または大規模改修を伴う場合、固定資産税が半額になる「新築住宅特例」(賃貸用は3年)が受けられます。適用を受けたうえで借り換えを行うと、キャッシュフロー改善効果がより大きく感じられるでしょう。

また、2025年度も継続している国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、一定の耐震・省エネ性能を満たす改修に対し補助金が交付されます。賃貸住宅も要件を満たせば対象となり、工事費の一部を賄えるため、借り換えと同時に改修を行う選択肢が広がります。ただし、補助金交付決定前に工事契約を結ぶと対象外になるため、スケジュール管理が欠かせません。

さらに、金融庁の「住宅ローン借り換えガイドライン」(2025年度版)は投資用にも準用され、手数料や金利条件の透明化が進んでいます。つまり、説明義務が強化された現在、費用構造を隠したプランは選ばないことが賢明です。

まとめ

ローン残高が大きいRC造物件では、金利差がわずかでも借り換えメリットが際立ちます。まずは自己物件のLTVと残期間を確認し、金利1%以上の差がある場合は試算してみる価値があります。借り換えを検討する際は、総コストとキャッシュフローの両面をシミュレーションし、複数行を比較して条件を引き出すことが鍵です。最後に、2025年度の固定資産税特例やリフォーム補助金を活用すれば、トータルリターンはさらに高まります。早めに情報を集め行動に移すことで、次の投資チャンスを逃さない体制を整えましょう。

参考文献・出典

  • 全国銀行協会 – https://www.zenginkyo.or.jp
  • 国税庁「減価償却資産の耐用年数表」 – https://www.nta.go.jp
  • 国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業 2025年度概要」 – https://www.mlit.go.jp
  • 金融庁「住宅ローン借り換えガイドライン 2025」 – https://www.fsa.go.jp
  • 総務省「地方税法 固定資産税減額特例」 – https://www.soumu.go.jp

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