初心者の方ほど「区分所有から始めたほうが安全」と言われるものの、実は一棟買いだからこそ得られる自由度とスケールメリットに惹かれる人も増えています。しかし物件価格は数千万円から数億円と高額で、融資や管理の知識が曖昧なまま突き進むと失敗リスクが跳ね上がります。本記事では、マンション投資の中でも一棟買いに特化し、専門スクールを活用して安全にステップアップする方法を丁寧に解説します。読み終える頃には、面倒だと感じがちな指標や制度の読み解き方までつかめるはずです。
マンション投資を学ぶ前に押さえるべき基礎知識

まず押さえておきたいのは、マンション投資で利益を生む構造です。家賃収入から運営コストと返済額を差し引いたキャッシュフローがプラスになり、さらに物件価値が維持または上昇すれば、長期的に資産を伸ばせます。言い換えると、家賃と価値の二本柱が安定しない限り、毎月の黒字は幻想に終わる可能性があります。
東京都心の新築マンション平均価格は2025年10月時点で7,580万円と、不動産経済研究所によれば前年比3.2%上昇しました。この高値を聞くと尻込みしがちですが、一棟買いなら戸数が多いぶん家賃収入も分散され、利回りが6%を超える中古物件を見つけることも難しくありません。重要なのは表面利回りだけに飛びつかず、空室率や修繕費を加味した「実質利回り」を試算する姿勢です。
さらに、金融機関が着目するのは自己資金額と返済比率です。一般に年間家賃収入に対する年間返済額の比率(DSCR)が1.2倍を下回ると融資は厳しくなります。つまり、投資家は数字の裏付けをもって金融機関と交渉しなければなりません。ここでスクールでの学習が生きてきます。
一棟買いの魅力とリスクを冷静に比較する

ポイントは、一棟買いが区分投資とどう異なるかを具体的に理解することです。最大の魅力は意思決定を自分だけで行える点にあります。大規模修繕のタイミングや賃料設定を自分で決められるため、戦略次第で収益を伸ばせます。また土地と建物を丸ごと保有するため、建て替えや用途転換など出口戦略の幅が広く、相続対策としても採用されやすいのが特徴です。
一方で、空室が発生したときの影響は区分より大きくなります。実は空室率が想定より5%高いだけで、年間キャッシュフローが数百万円単位で変わるケースもあります。さらに、一棟物件は築年数が15年を超えると外壁や給排水管の更新費用が重くのしかかります。修繕積立金方式がないぶん、一度に数百万円を支出するリスクを見落とさないことが大切です。
融資面でも、一棟買いは個人の属性より物件評価が優先されるとはいえ、2023年以降の金融庁ガイドライン強化で自己資金1〜2割を求める銀行が増えています。スクールで物件診断のフレームワークを学び、金融機関のチェックポイントを把握すれば、無理のない融資戦略を描けます。
スクールで学ぶメリットと選び方のポイント
実は、独学で一棟買いに挑む人の多くが「情報の偏り」によって判断を誤ります。スクールでは体系的なカリキュラムに沿い、立地分析や資金調達、賃貸管理まで網羅的に学べるため、抜け漏れを防げます。さらに、現役オーナー講師の失敗談を聞くことで、表面化しにくい落とし穴を事前にイメージできる点も大きな利点です。
スクール選びで重視すべきは、実案件のシミュレーション演習が含まれているかどうかです。例えば購入前にレントロール(家賃表)を精査し、金利2%上昇シナリオでキャッシュフローがどう変わるかを検証する演習があれば、机上の空論に終わりません。また、卒業後に物件紹介や金融機関の担当者を紹介してくれるかどうかも、実践に直結するポイントです。
受講料は20万円から100万円超と幅がありますが、費用対効果は「学び直し防止」に現れます。つまり、間違った物件を買わないことで数百万円の損失を回避できれば、スクール費用は十分回収できます。口コミや受講生コミュニティの活発度も確認し、長期的な学習環境が整っているスクールを選びましょう。
購入から運営までの実践ステップ
まず押さえておきたいのは、購入プロセスを三段階に分けると管理が容易になる点です。第一段階は情報収集と試算です。物件ポータルだけでなく、地域の不動産業者を直接訪ね、レントロールと修繕履歴を手に入れる習慣をつけます。スクールで教わるエリア分析ツールを使い、人口動態や賃貸需要を数字で裏付けましょう。
第二段階は金融機関との折衝です。ここでは、家賃10%減・空室率15%の厳しめシナリオでもキャッシュフローが黒字になる計画を提示することが重要です。具体的には、年間返済額が家賃収入の65%を超えないラインで調整します。スクールのメンターに事前に計画書を添削してもらえば、融資面談でも自信を持って臨めます。
第三段階が運営です。入居者募集はオンライン広告に頼りがちですが、地域密着の仲介店との関係構築が空室期間を短縮します。管理会社任せにせず、毎月の収支報告を自分のシートに転記し、異常値を早期に発見しましょう。築年数に応じた修繕スケジュールを立て、2年後・5年後・10年後に必要な工事を前倒しで見積もると、資金繰りに慌てずに済みます。
2025年度の制度と市場動向を投資計画に生かす
重要なのは、制度を味方につけて資金効率を高める視点です。2025年度の「住宅エコリフォーム減税」は、断熱改修や高効率給湯器の導入を行うと所得税控除が受けられ、一棟マンションでも上限250万円まで適用されます。さらに固定資産税の減額措置もあり、工事完了翌年度の税額が1/3になる点は見逃せません。これらは2026年3月31日工事完了分までの期限付きなので、修繕計画と合わせて活用しましょう。
一方、空室リスクを抑えるためには人口動態を確認することが欠かせません。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、東京23区の人口は2035年まで微増傾向ですが、郊外部では2028年ごろから減少に転じる地域が散見されます。つまり、郊外で一棟買いを検討する場合、駅徒歩5分圏内で複数路線が使えるエリアなど、需要が底堅い場所に絞り込む姿勢が必要です。
家賃相場は総務省「住宅・土地統計調査」によれば、2023年から2025年にかけて都心で平均2.1%上昇していますが、物件の築年数が20年を超えると逆に毎年0.5%ずつ下落する傾向が出ています。リフォームによる家賃維持効果は約5年続くとのデータもあるため、取得後すぐの内装刷新が賃料下落を緩和します。スクールで学んだリフォーム費用の回収計算を実際に当てはめ、市場平均を上回る収益モデルを組み立てましょう。
まとめ
マンション投資の一棟買いは、意思決定の自由度とスケールメリットが魅力ですが、空室や修繕のリスクを正確に把握しなければ成功は望めません。本記事で紹介した基礎知識、リスク比較、スクールの選び方、実践ステップ、そして2025年度の制度活用までを順序立てて学べば、投資判断の精度は格段に向上します。最後に、数字とデータを味方に付け、学びを継続する姿勢を保つことで、安定したキャッシュフローと将来の資産形成が現実のものとなるでしょう。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国立社会保障・人口問題研究所 – https://www.ipss.go.jp
- 総務省「住宅・土地統計調査」 – https://www.stat.go.jp
- 国土交通省 住宅局「住宅エコリフォーム減税」 – https://www.mlit.go.jp
- 金融庁「金融機関検査・監督基本方針」 – https://www.fsa.go.jp