投資初心者の多くは「少額から不動産に分散投資できる」と聞き、上場投資信託であるREIT(リート)に興味を持ちます。しかし、ネット上には「分配金が減った」「値動きが意外に激しい」といった口コミも散見され、二の足を踏む人が少なくありません。本記事ではそうした声に耳を傾けつつ、REITの仕組みとデメリットを整理し、2025年10月時点で実行できる対策まで解説します。読了後には、口コミに振り回されずに自分で判断できる力が身につくはずです。
口コミが示すREITの基本的な注意点

重要なのは、口コミの背景にある投資家の立場や投資期間を理解することです。「すぐに高い利回りが得られる」と期待して購入した人ほど、分配金のブレに敏感になりがちです。一方で、長期保有を前提にした投資家は価格変動を織り込み、冷静なコメントを残しています。
まずREITは株式と同様に価格が毎日変わる点を押さえる必要があります。国内REIT指数は2025年9月末時点で年初来7%上昇していますが、2022年の下落率は15%を超えました。つまり、高利回りが魅力でも、短期的な値動きは避けにくいという現実が口コミに表れます。
また、分配金は賃料収入や物件売却益から捻出されます。不動産市況や金利環境で左右されるため、前年より減るケースも珍しくありません。その際に「裏切られた」と感じる投資家が低評価を投稿し、デメリットが誇張される流れが生まれます。口コミを読む際は、投稿日時と景気の状況を合わせて確認すると偏りを減らせます。
分配金が下がるリスクの実態

まず押さえておきたいのは、REITが法律上「利益の90%以上を分配すれば法人税が実質免除される」仕組みである点です。大盤振る舞いに見えますが、裏を返せば内部留保が乏しく、収益が落ちれば次期分配金も即座に減る構造と言えます。
例えばオフィス主体のJ-REITはテレワーク波及で空室率が上昇し、2023年に分配金を平均5%減らしました。口コミサイトには「オフィスは終わった」と悲観的な声が増えましたが、相次ぐ物件売却益で2025年3月期には大半が回復基調です。つまり、一時的な減配が永続的とは限りません。
さらに、2025年度の新NISA成長投資枠でREITを保有した場合、分配金が非課税になります。これは高利回りを活かす有効な制度ですが、非課税枠が毎年埋まっている投資家が特定口座で買い増すと税引後利回りは下がります。利回り低下を「減配」と混同し、ネガティブな口コミにつながるケースもあるため、手取りベースでの比較が欠かせません。
実は、REIT全体の平均分配金利回りは直近3年間で3.5〜4.5%の範囲に収束しています。極端な高配当をうたう個別銘柄に飛びつくと、減配時の落差が大きく感じられるという点も口コミが示す教訓です。
価格変動と流動性、株式との違い
ポイントは、REITの価格変動要因が株式と似て非なる点にあります。株式は業績見通しや為替で動きますが、REITは金利と不動産市況の影響が大きいです。日本銀行が2025年4月に長期金利の上限を1.5%へ引き上げた際、国内REIT指数は一週間で4%下落しました。これは金利上昇が借入コストを押し上げると見込まれたためです。
一方で、株式市場が大幅安となった2022年の米国ハイテク株急落局面では、国内REITが逆行高となりました。不動産賃料収入の安定感が評価された結果で、資産分散効果が働いた形です。口コミでは「株より安全」「逆に動くから便利」という声が見られますが、金利上昇局面では両者が同時に下落する可能性もあるため油断は禁物です。
流動性面では東証REIT市場の売買代金が1日平均1,200億円前後と東証プライム全体の約3%しかありません。出来高が薄い銘柄は大口売りで値が飛ぶことがあり、これが「思った値段で売れない」という口コミにつながります。分散投資で流動性リスクを抑えるか、ETF(上場投資信託)経由で投資する方法も検討できます。
手数料と税制、見落とされがちなコスト
実は、手数料関連のデメリットは口コミにあまり登場しませんが、長期成績に影響する重要な項目です。個別REITを証券会社で売買する場合、ネット証券なら売買手数料は片道0.1%前後と低水準です。しかし、分配金に対しては所得税15.315%と住民税5%が源泉徴収されます。NISA口座なら非課税ですが、前述の通り上限があります。
J-REIT ETFを利用すると運用管理費用(信託報酬)が年0.1〜0.2%かかります。これ自体は小さい数字に見えますが、20年で複利計算すると2〜4%の差となり、分配金2年分が失われる計算です。この点を理解せずに「ETFなら安心」と書かれた口コミを信じると、期待よりリターンが伸びない事態が起こります。
2025年度税制では、上場株式と同様にREITの損益通算や繰越控除が可能です。分配金を再投資する場合、特定口座で年間取引報告書をまとめて管理すれば確定申告の手間を減らせます。手元キャッシュを優先するか、税負担を抑えて再投資を狙うかによって最適な口座設定が変わるため、コストと税制を合わせて検討すると失敗を防げます。
口コミを鵜呑みにしない情報収集術
まず、口コミを確認する際は投稿者の投資歴とポートフォリオ全体を推測する習慣が役立ちます。長期的な資産形成を掲げる人と、短期売買で値幅を狙う人では評価軸が大きく異なるからです。背景を想像することで、感情的なコメントに影響されにくくなります。
次に、公式データと突き合わせる手順を取り入れます。例えば運用報告書の物件稼働率、借入金利、修繕積立額を確認すると、減配リスクを数字で判断できます。金融庁のEDINETや東京証券取引所の適時開示を定期的にチェックすれば、速報性の高い情報が手に入ります。これらを行えば、SNSで拡散する噂を検証できるようになります。
さらに、専門家の解説に触れる際も複数ソースを比較することが大切です。証券会社のレポートは推奨スタンスが入る場合がありますが、不動産鑑定士や不動産テック企業の調査は客観性が高い傾向があります。異なる観点を重ねることで、口コミの裏付けが取れ、より立体的な判断が可能になります。
最後に、自身の投資目的を書き出し、リスク許容度に合うか確認します。もし10年後の学費準備が目的なら、分配金の安定より元本割れリスクの低減を優先すべきです。このプロセスを経て初めて、REIT 口コミ デメリットの情報が建設的なヒントに変わります。
まとめ
ここまで、REITに関する口コミで頻繁に語られるデメリットを、分配金の変動、価格の急落、手数料・税制の落とし穴という視点で整理しました。口コミは生の声として貴重ですが、投稿者の立場や市場環境を読み解かなければ正しい判断材料になりません。公式データで裏付けを取り、自分の投資目的と照らし合わせるプロセスを習慣化することで、短期的なノイズに左右されにくい投資判断が可能になります。今日学んだリスク管理の視点を武器に、NISAやETFを上手に活用し、着実な資産形成への一歩を踏み出しましょう。
参考文献・出典
- 金融庁 EDINET – https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/
- 東京証券取引所 REITデータベース – https://www.jpx.co.jp/
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/
- 日本銀行 金融政策決定会合議事要旨 – https://www.boj.or.jp/
- 日本証券業協会 NISA制度概要(2025年度版) – https://www.jsda.or.jp/