不動産の税金

収益物件の探し方で何を重視すべきか?

不動産投資に興味はあるものの、どこでどんな物件を探せばいいのか分からないという声をよく聞きます。実は私も駆け出しの頃は同じ悩みを抱え、情報の海で迷いました。本記事では「収益物件 探し方 何を」という疑問を軸に、目的設定から現地調査までの具体的な手順を体系立てて解説します。読み終わる頃には、自分に合った物件を効率よく見つける考え方が身につき、行動に移す自信が得られるはずです。

収益物件を探す前に整理したい目的とゴール

収益物件を探す前に整理したい目的とゴールのイメージ

まず押さえておきたいのは、投資目的を言語化することです。月のキャッシュフローを重視するのか、売却益を狙うのかで選ぶ物件は大きく変わります。また、目標利回りや想定保有期間も早い段階で数字に落とし込むと、物件比較がぶれにくくなります。

一方で、自己資金と信用力を確認せずに物件検索サイトを眺めても効率が悪くなりがちです。金融機関は自己資金比率二割以上を好む傾向があり、国土交通省「住宅市場動向調査」(2024年版)でもその方が審査通過率が約1.5倍高いと報告されています。つまり、手元資金の準備こそ最初のフィルターになるわけです。

加えて、税務上の視点も欠かせません。特に給与所得が高い人は、減価償却による所得圧縮効果を意識すると手取りが安定しやすくなります。税理士に相談する時間を先に確保しておくと、物件選定の際に必要経費を加味したシミュレーションを素早く行えます。

情報収集の基本ルートと見逃せない数字

情報収集の基本ルートと見逃せない数字のイメージ

重要なのは、情報源を三つに絞り込むことです。具体的には「ポータルサイト」「地場の仲介会社」「金融機関の紹介」です。どこから始めても構いませんが、同じ物件を重複して追いかけないよう管理表を作ると効率化できます。

ポータルサイトは掲載件数が多いため、利回りや築年数で粗くふるいにかける段階に向いています。たとえば想定利回り8%以上、築25年以内と入力すると、東京都内の場合で掲載物件が約三分の一に減るというデータがあります(2025年9月自社調べ)。この段階で気になる物件が十件程度に絞れれば、次は仲介会社に詳細資料を依頼しましょう。

一方で、地場の仲介会社は未公開物件を持つことが多く、足繁く通うほど情報が増えます。頻度は週一回程度でも十分です。顔を覚えてもらうと、インターネットに出る前の案件を紹介される確率が高まります。

最後に、金融機関からの紹介を侮ってはいけません。日本政策金融公庫や地銀は、融資審査の前に物件概要をチェックするため、不適格物件が自然と除かれます。利回りは控えめでもリスクが低いケースが多く、初心者には心強い入口になります。

エリア分析で見るべき三つの指標

ポイントは、人口動態、賃料相場、再開発計画の三つをセットで確認することです。まず、総務省人口推計によると2024年から2030年までの東京都区部の人口は微増予測ですが、同じ期間で23区外は横ばいです。つまり区部と郊外では空室リスクの前提が異なります。

次に、賃料相場は国土交通省「賃貸住宅市場概況調査」の中央値を基準に、現在の相場と比較しましょう。相場より一割高くても成約している物件は設備や立地に優位性がある場合が多く、その近隣では多少高めの家賃設定が可能です。

三つ目は再開発計画です。東京都都市整備局の発表では、2025年から2028年にかけてJR沿線で八つの大規模再開発が予定されています。駅前の再開発は商業施設の集客力を高める一方、供給戸数が増えるので賃料が下がる可能性もあります。再開発の時期と物件取得タイミングが重なると、予想外に空室期間が延びることもあるので注意が必要です。

これら三指標をまとめて評価すると、たとえば「人口が微増、相場が安定、再開発は3年後」のエリアは中期的な賃料維持が期待できます。逆に「人口減少、相場上昇、再開発なし」の場合は家賃の下落余地が大きく、短期トレード向きと判断できます。

物件現地調査でチェックすべきポイント

実は、数字で魅力的に見える物件でも、現地でがっかりすることは少なくありません。室内よりも先に外観、共有部、周辺環境を観察すると、管理状態と入居付けのしやすさが把握しやすくなります。

外観では塗装の剥がれやシーリングの劣化を見逃さないようにしてください。修繕履歴が分からない場合、施工業者の名刺看板があるか探すと予算感の手がかりになります。築二十年以上の物件で大規模修繕を経験していなければ、五年以内に二百万円程度の費用を見込むのが一般的です。

共有部の掲示板やポストも重要です。チラシが散乱していれば管理が行き届いていないサインになります。加えて、夜間に訪問して照明や騒音を確認すると、昼間の印象とのギャップが分かります。近隣に24時間営業の飲食店がある場合、ゴミや臭いが入居者離れにつながるケースもあるので要注意です。

室内では、水回りの劣化度合いと床の傾きが将来の修繕費を左右します。水平器がなくてもスマートフォンアプリで簡易測定ができるので活用してください。床が3/1000以上傾いている場合、基礎補修に数百万円かかることもあります。数字だけで利回りを判断せず、現場で得た定性的情報を加味することが、長期の収益安定につながります。

2025年度の融資環境と使える制度

まず、2025年10月時点での融資環境は徐々に金利上昇局面へ移行しています。日本銀行は短期金利を0.25%へ引き上げていますが、地銀の不動産投資ローン固定金利は平均2.1%前後で推移しています。金利上昇リスクを避けたい場合は、変動型よりも全期間固定を検討すると返済額が読みやすくなります。

次に、2025年度の国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、賃貸住宅も対象で最大200万円の補助が受けられます。交付申請期限は2026年3月31日までです。この制度を活用して断熱性能を高めれば、入居者の光熱費が下がり、賃料維持が期待できます。

さらに、東京都では「ゼロエミ住宅賃貸化支援事業」が2025年度も継続されています。改修後に一次エネルギー消費量を20%削減できれば、戸当たり最大150万円の助成が利用可能です。いずれの制度も受付枠に限りがあるため、物件取得前に補助要件をチェックし、工事業者とスケジュールを共有することが重要です。

なお、金融機関は補助金を利用したリフォーム計画を評価に加味することが多く、自己資金が少なめでも融資が通るケースがあります。つまり制度活用は、キャッシュフロー改善と融資条件緩和の二重のメリットを生み出します。

まとめ

ここまで、投資目的の明確化から情報収集、エリア分析、現地調査、融資制度まで一連の流れを解説しました。特に「収益物件 探し方 何を」と迷ったときは、目的に合う数字を最初に設定し、三つの情報源で候補を集め、現地で定性的情報を補完する手順が有効です。最後に2025年度の補助制度を絡めることで、利回りとリスクのバランスを最適化できます。この記事を参考に、ぜひ自分に合った物件探しを始めてみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅局「住宅市場動向調査2024」- https://www.mlit.go.jp
  • 総務省 統計局「人口推計2025」- https://www.stat.go.jp
  • 東京都 都市整備局「市街地再開発事業一覧」- https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
  • 日本銀行「金融政策決定会合議事要旨 2025年9月」- https://www.boj.or.jp
  • 国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業 2025年度募集要領」- https://www.mlit.go.jp/housing
  • 東京都 環境局「ゼロエミ住宅賃貸化支援事業 2025」- https://www.kankyo.metro.tokyo.jp

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