多摩地域で資産形成を考えるとき、「都心より手頃、でも将来価値は維持できるのか」と迷う方が少なくありません。特に調布エリアは再開発が進み、利便性と住環境のバランスが取れた注目の街です。本記事では、調布でRC造(鉄筋コンクリート造)物件に投資し、レバレッジを効かせて収益を高める方法を基礎から解説します。読み進めれば、物件選びのコツ、借入戦略、2025年度の融資環境まで一気に把握できるはずです。
RC造物件が選ばれる理由

ポイントは、RC造が耐久性と収益安定性を兼ね備えている点にあります。鉄筋コンクリートは木造や軽量鉄骨に比べ、耐用年数が長く、防音性能や耐火性能にも優れています。つまり、長期保有で家賃下落を抑えたい投資家にとって魅力的です。
まず耐用年数を見てみましょう。国税庁の減価償却基準によると、RC造の法定耐用年数は47年です。木造の22年と比べて倍以上であり、取得後の減価償却期間が長い分、税効果を計画的に享受できます。また、RC造は金融機関の評価が高いため、融資期間が最長35年超になるケースも珍しくありません。
さらに賃借人の視点では、防音性能と外観の重厚感が好評です。調布のようにファミリー世帯と学生が混在する地域では、静かな住環境が契約継続率を高めます。結果として、キャッシュフロー(手取り収益)の安定化につながるわけです。
調布エリアの市場動向と賃料水準

まず押さえておきたいのは、調布の人口動態が安定している点です。総務省統計局の2025年住民基本台帳によると、調布市の人口は前年比0.4%増と微増を維持しています。都心通勤の利便性に加え、都立神代植物公園などの豊かな緑がファミリー層を引きつけています。
実は賃料にもその傾向が表れています。LIFULL HOME’Sの2025年上半期データでは、調布駅周辺のRC造築15年以内・30㎡タイプで平均月額賃料は9.5万円でした。これは2019年比で約6%の上昇です。一方、同条件の木造アパートは7.9万円にとどまり、上昇率も3%弱と控えめでした。RC造に対する需要の強さが数字から読み取れます。
しかし、全てのエリアが安泰とは限りません。京王線特急停車駅の調布と布田の間は開発が進む一方で、飛田給や西調布は供給過多になりやすい傾向があります。つまり、駅距離だけでなく、将来の新築供給計画を調べる視点が不可欠です。
レバレッジを効かせた資金計画
重要なのは、適正な借入比率を設定し、レバレッジ(自己資金に対する借入額の倍率)をコントロールすることです。自己資金を抑えれば利回りは跳ね上がりますが、返済負担と金利上昇リスクも増すため、バランス感覚が求められます。
たとえば、価格8,000万円のRC造区分マンションを想定します。自己資金1,600万円(20%)を投入し、金利1.3%・期間35年で借り入れると、月々の元利均等返済はおよそ22万円です。賃料収入を先ほどの平均9.5万円ではなく、70㎡ファミリータイプ15.8万円とすると、管理費・修繕積立金を差し引いたネット賃料は約13万円。結果、月間キャッシュフローは▲9万円となり赤字です。
ここでレバレッジを調整します。自己資金を3,200万円(40%)まで増やせば、借入額が4,800万円となり返済は約13万円に下がります。ネット賃料13万円と相殺してキャッシュフローは±ゼロ。ここから固定資産税や空室想定を差し引いた上でも、損益分岐点をクリアできる形になります。つまり、安定性を重視するならLTV(Loan to Value:借入比率)60%程度が無理のない目安です。
2025年度の融資環境と税制ポイント
まず2025年度の融資トレンドを押さえましょう。金融庁が7月に公表した金融モニタリングレポートでは、地方銀行の不動産向け貸出残高は前年比1.8%増と緩やかな伸びを示しています。都内の優良RC造案件については審査が比較的柔軟で、固定金利1.5%前後の事例も出ています。ただし、自己資金10%以下では金利が0.3〜0.5ポイント上乗せされやすいため注意が必要です。
税制面では、賃貸用RC造を取得した場合の減価償却が引き続き有効です。2025年度税制改正では不動産所得に係る特別な改悪はなく、建物部分を定額法で計上できます。また、住宅ローン減税は自宅用制度なので投資用には適用されませんが、賃料収入に対する所得税は損益通算が可能です。具体的には、減価償却とローン利息で赤字が出れば、給与所得と相殺して所得税を軽減できます。ただし、金融機関の審査では赤字決算がマイナス評価になる場合もあるので、節税と資金調達の両面を見据えた計画が不可欠です。
リスク管理と出口戦略
基本的に、RC造投資のリスクは「長期修繕」「金利変動」「人口動態」の三つに集約されます。まず長期修繕では、大規模修繕周期が12〜15年と言われ、外壁補修や給排水設備更新で1戸あたり70万〜100万円の費用が発生することがあります。積立計画を甘く見積もると、一度の出費でキャッシュフローが吹き飛ぶため要注意です。
次に金利変動リスクです。日本銀行は2024年にマイナス金利を解除し、2025年10月現在の長期金利は1.1%前後で推移しています。変動金利型を選ぶと返済額が将来上昇する可能性があります。固定金利へ借り換える際の手数料や違約金も考慮して、残債が少ない時期に固定へ切り替える柔軟性を持たせましょう。
最後に出口戦略ですが、調布の場合、京王線の地下化エリアを中心に土地値が底堅く、築25年前後でも一定の売却需要があります。国土交通省の不動産価格指数(2025年4月速報)では、調布市RC造中古マンションは前年同月比5.2%上昇しました。つまり、ローン残高より高い価格で売却できる可能性を高めるには、駅近かつ専有面積50㎡以上の物件を選ぶことが重要です。結論として、取得時から10年後の想定売却価格を試算し、実質利回り7%を確保できるかを判断基準にすると失敗しにくくなります。
まとめ
ここまで、調布 RC造 不動産投資 レバレッジの基礎から応用までを見てきました。RC造は耐用年数の長さと入居者ニーズの高さでキャッシュフローを安定させやすく、調布の人口と賃料の底堅さはそのメリットを後押しします。一方で、レバレッジを高め過ぎれば金利変動や修繕費で損益が悪化するリスクがあります。したがって、LTV60%前後を目安に自己資金を厚めに用意し、固定金利と定期積立を組み合わせる戦略が有効です。行動提案として、まずは気になる物件の現地調査と返済シミュレーションを行い、自身のリスク許容度を数値で把握しましょう。前向きに準備を整えれば、調布でのRC造投資は長期的な資産形成の強い味方になるはずです。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 2025年4月速報 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 2025年 – https://www.stat.go.jp
- 金融庁 金融モニタリングレポート2025 – https://www.fsa.go.jp
- 国税庁 減価償却資産の耐用年数表(2025年度版) – https://www.nta.go.jp
- LIFULL HOME’S 住宅・不動産情報 2025上半期市場データ – https://www.homes.co.jp