不動産投資を始めたいものの「まとまった資金がない」「物件管理の手間が不安」と感じる人は少なくありません。そんな悩みを解決する選択肢が、証券取引所に上場する不動産投資信託(REIT)です。中でも名古屋エリアに物件を多く組み込む銘柄は、堅調な賃貸需要と比較的高い分配金利回りで注目されています。本記事では、名古屋 REIT 分配金の特徴とメリットを整理し、2025年10月時点で使える制度を活かした投資戦略までやさしく解説します。読み終えるころには、少額からでも名古屋の不動産成長に参加できる具体的な方法がイメージできるはずです。
名古屋市場がREITで注目される理由

重要なのは、名古屋の経済基盤が製造業とオフィス需要の双方で安定している点です。愛知県の実質域内総生産は総務省統計局の2024年度速報で41兆円を超え、東京都、大阪府に次ぐ国内3位となりました。中部国際空港とリニア中央新幹線の整備計画により、ビジネス拠点としての集客力も強まっています。つまり、オフィスビルや賃貸マンションの稼働率が高く維持されやすく、REITの分配余力を押し上げる土壌があるのです。
一方で、物件価格の上昇率は東京に比べ穏やかです。国土交通省「不動産価格指数」によれば、2025年4月時点の商業地指数は前年同期比+4.2%と首都圏の+6.8%を下回ります。過度な値上がりが抑えられることで、REITの追加取得コストが安定し、キャッシュフローが読みやすくなる点も投資家には好材料となります。
さらに、名古屋市は人口減少速度が緩やかです。名古屋市統計年鑑の推計では2024年末時点で約233万人、2040年時点の人口は−2.3%にとどまる見通しです。極端な空室リスクを抱えにくい地域という安心感が、地方REITの中でも名古屋物件が選ばれる大きな理由といえるでしょう。
分配金のしくみと税制の基礎

まず押さえておきたいのは、REITの分配金が「内部留保を除いた賃料収入等の90%以上を原則半年ごとに還元する」仕組みであることです。分配性向が高い理由は、投資法人が利益の90%以上を配当すれば法人税が実質的に免除される税制優遇にあります。言い換えると、投資家は賃貸収入に近い現金フローをほぼそのまま受け取れるのです。
税負担については、2025年10月現在も上場株式と同じく20.315%(所得税・住民税+復興特別所得税)が源泉徴収されます。しかし、年間分配金がNISA口座の非課税枠に収まる場合、この税金をゼロにできます。2024年から恒久化された新NISAは2025年度も有効で、成長投資枠の年間上限240万円を使えば、かなりの口数を非課税で保有可能です。
また、分配金は「配当所得」として扱われるため、総合課税や損益通算の可否が株式と同様です。具体的には特定口座で源泉徴収ありを選択すると確定申告が不要になりますが、給与所得と損益通算したい場合は確定申告を行うことで税還付のチャンスも生まれます。初心者ほど自動で税処理される特定口座を選び、慣れてきたら節税の幅を検討すると無理なくステップアップできます。
名古屋に特化したREIT銘柄の特徴
ポイントは、保有物件の用途と立地バランスを読み解くことです。名古屋を主力とするA社総合リートは、2025年4月時点で総資産2,700億円のうち45%をオフィス、30%を住宅、残りを物流施設で構成しています。オフィス比率が高い分、景気連動の収益変動リスクはありますが、空室率3%台と低く抑えられている点が魅力です。
一方、名古屋駅周辺の商業施設に強いB社リテールリートは、物販テナントからの固定賃料が中心です。コロナ禍後の来街者数回復を背景に2025年2月期の1口あたり分配金(DPU)が前年同期比+6.1%となり、投資口価格の上昇を上回る利回りを維持しています。ここから分かるのは、物件タイプごとに分配金の安定度が異なるため、複数銘柄を組み合わせてポートフォリオを作るほうがリスク分散になるという事実です。
また、両銘柄ともLTV(総資産に対する有利子負債比率)は40%前後で、J-REIT平均43%を下回ります。過度な借入に依存せず、金利上昇局面でも分配金の下振れリスクを抑えられるのは名古屋REITの共通した強みです。個別銘柄の目先の利回りだけでなく、財務健全性を合わせて確認すると失敗を防げます。
分配金利回りを高める実践ポイント
実は、買いタイミングと配当落ち日の位置づけを理解するだけで、同じ銘柄でも受取利回りが変わります。J-REITは3月・9月決算が多い株式と異なり、決算期が分散しています。名古屋系A社は4月・10月決算、B社は2月・8月といった具合です。そのため、年間を通じて「分配金権利付き最終日」の直後に価格が一時的に下がる場面を狙うと、効率的に利回りを底上げできます。
加えて、証券会社の株式累積投資(るいとう)やポイント投資サービスを活用すると、少額でも月々自動で口数を増やせます。毎月定額で購入するドルコスト平均法は、高値づかみを避けながら取得単価を平準化できるため、初心者には実践しやすい方法です。分配金が入ったらそのまま再投資に回す「DRIP」戦略を取れば、長期的な複利効果も期待できます。
さらに、金利動向をウォッチすることも大切です。日本銀行は2024年3月にマイナス金利を解除しましたが、2025年10月時点でも政策金利は0.25%にとどまります。リートの平均借入金利は0.7%前後で推移しており、金利上昇が分配金に与える影響は限定的です。それでも上昇局面が続く場合に備え、借入期間の長さや固定金利比率が高い銘柄を選ぶ視点を持つと安心です。
2025年度NISAで受け取る分配金の活かし方
まず、年間240万円の成長投資枠をフル活用すると想定しましょう。名古屋REITの想定利回りが年4.2%なら、非課税で約10万円の分配金を受け取れます。これを課税口座で保有すると、税引き後は約8万円に目減りします。つまり、NISA枠を使うだけで2万円相当のリターンが上乗せされる計算です。
また、新NISAは非課税保有限度額1,800万円が生涯にわたり再利用可能です。分配金を受け取りながら売却して枠を空ければ、翌年以降も新たなリートを非課税で買い直せます。名古屋の物件が多い銘柄を中心に保有しつつ、首都圏リートや物流特化リートに入れ替えて相対的な利回りを追求する戦略も現実的です。
加えて、分配金を家賃やローン返済の原資として活用することで、家計のキャッシュフローを改善できます。NISA口座内の分配金は自動的に現金で振り込まれるため、再投資だけでなく生活費への充当も柔軟に選択できます。ライフステージに応じて「貯める—増やす—使う」を調整できる点が、新NISAとREITの組み合わせが初心者にも扱いやすい理由です。
まとめ
名古屋 REIT 分配金の魅力は、堅調な地元経済と安定した賃貸需要を背景に、地方物件ならではの高い利回りと低い空室リスクを両立できるところにあります。オフィス・商業・住宅と用途が分散された銘柄を組み合わせ、買い時や金利動向を意識して運用すれば、少額でも着実にキャッシュフローを積み上げられます。2025年度の新NISAを活用すれば、分配金を非課税で受け取りながら複利効果を高めることも可能です。今日から情報収集と口座開設を進め、名古屋の成長を自分の資産形成に取り込んでみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr5_000094.html
- 総務省統計局 統計データ – https://www.stat.go.jp/
- 名古屋市統計年鑑 – https://www.city.nagoya.jp/toukei/
- 東京証券取引所 J-REIT情報 – https://www.jpx.co.jp/
- 金融庁 新NISA制度概要 – https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp/