不動産投資は気になるけれど、自己資金が乏しい20代にはハードルが高いと感じる人が多いはずです。加えて、「ローンを抱えて本当に大丈夫か」「家賃収入で生活は安定するのか」といった不安も尽きません。しかし、キャッシュフローを正しく管理し、実質利回りを読み解く力を身につければ、年齢に関係なく長期で資産を築けるのがマンション投資の魅力です。本記事では、2025年10月時点の最新データを交えながら、20代が押さえるべきポイントを丁寧に解説します。読み終わるころには、行動に移す自信と具体的な判断基準が手に入るでしょう。
キャッシュフローの基本を押さえる

ポイントは、手元に残る現金の流れを常にプラスに保つことです。家賃収入が高くても支出が多ければ赤字になり、複利効果どころか追加の自己資金が必要になります。
まずキャッシュフローとは、家賃収入からローン返済、管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料などすべてのコストを差し引いた後に残る現金を指します。金融機関が提示する返済額は毎月一定ですが、実際の支出は年払い項目もあるため、月次と年次で分けてシミュレーションすることが大事です。
一方で、空室リスクを無視した試算は危険です。日本不動産研究所の調査では、2025年10月時点の東京23区ワンルーム平均空室率は6.1%です。言い換えると、年間で22日ほど家賃が入らない前提で資金計画を立てるのが現実的と言えます。
さらに、ローン金利が変動型の場合は金利上昇耐性も確認しましょう。現行の変動金利は年1.4%前後が主流ですが、試算では2.5%程度まで上がったケースを組み込むと安全域が広がります。キャッシュフロー表を作成し、金利0.5%刻みで総返済額と手残り額を比較すると、将来のストレスに備えられます。
最後に、20代は給与上昇余地が大きい反面、ライフイベントも多い年代です。結婚や転職で収入が変化してもキャッシュフローが赤字化しないよう、最低でも月3万円のプラスを確保する設計が望ましいでしょう。
実質利回りをどう計算するか

まず押さえておきたいのは、表面利回りだけでは投資判断にならないという事実です。実質利回りは、キャッシュフローを年単位で捉え、自己資金と関連コストを踏まえて算出します。
実質利回り=(年間家賃収入−年間経費)÷投下自己資金×100という式が基本形です。経費には管理委託手数料、修繕積立金、保険料、賃貸付け広告料、そして空室発生時の家賃保証費用などを含めます。日本不動産研究所のデータによると、東京23区ワンルームの表面利回りは4.2%ですが、管理費・修繕費などを差し引くと実質では2.7%前後に下がるケースが一般的です。
ここで重要なのは、融資を受けた場合でも投下自己資金を分母に置く点です。たとえば、3,000万円の物件を頭金300万円で購入し、年間家賃収入が144万円、年間経費が54万円なら、実質利回りは(144−54)÷300×100=30%となります。つまり、自己資金を早期に回収できるかどうかを測る指標としても役立ちます。
また、減価償却費を考慮すると、所得税・住民税を圧縮できるため、手元キャッシュが増える場合があります。木造アパートと違い、マンション(鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数は47年ですが、中古なら残存耐用年数を使うため減価償却費が縮小し、節税効果が薄まる点に注意が必要です。
実は、20代が実質利回りを高める鍵は自己資金の最適配分にあります。頭金を多く入れ過ぎると利回りは下がり、少なすぎると毎月返済が重くなる。投下自己資金とローン返済額のバランスを取り、5〜7年で自己資金を回収できるラインを探ると、次の物件購入へ無理なくステップアップできます。
20代の資金戦略と融資の現実
実は、20代でも金融機関の審査に通ることは難しくありません。重要なのは、勤続年数よりも返済比率と将来性を示す資料です。一般的に返済比率は年収の35%以内が目安ですが、家賃収入がプラスされる投資ローンの場合は45%程度まで柔軟に考慮されることがあります。
まず、給与明細と源泉徴収票を整え、将来の昇給見込みがわかる会社規模や業績を提示すると説得力が高まります。さらに、生活費を見直し毎月の貯蓄額を増やすことで、自己資金を半年ごとに増強できるペースを示せれば、金融機関の評価が一段と向上します。
一方で、奨学金や自動車ローンが残っている場合は、完済または繰上げ返済の計画を示すことが必須です。支出管理アプリを活用し、固定費の削減を実例として提示すると、審査担当者の信頼を得やすくなります。つまり、キャッシュフロー計算書と家計簿を一体化させた資料が20代の強い武器になるのです。
また、2025年度の住宅金融支援機構の「賃貸住宅融資」は、耐震性や断熱性能など一定基準を満たす物件に対し最長20年の固定金利を提供しています。期限は2026年3月申請分までですが、環境性能が高いマンションなら利用可能です。固定金利を活用することで、将来の金利上昇リスクを排除し、キャッシュフローを安定化できます。
最後に、20代は時間を味方につけられる世代です。家賃収入を再投資し、ローン元本を繰り上げ返済すれば、30代半ばで無借金化するシナリオも現実的です。資金戦略を立てる際は、ライフプランと照らし合わせながら、数値目標を具体的に設定しましょう。
成功する物件選びと長期リスク管理
まず押さえておきたいのは、立地と物件属性が将来の資産価値を大きく左右する点です。東京23区の新築マンション平均価格は7,580万円と高騰していますが、駅徒歩5分以内の中古築15年ワンルームであれば3,000万円台から選択肢が広がります。
重要なのは、人口動態と公共インフラの整備計画をチェックし、賃貸需要が長く続くエリアを選ぶことです。総務省の住民基本台帳によると、23区内でも荒川区や台東区は20〜30代の流入が続き、空室率も低水準を維持しています。さらに、都心部の再開発エリアでは将来的な賃料上昇も見込めるため、キャッシュフローの向上が期待できます。
一方で、物件選びでは管理体制も軽視できません。管理会社の修繕計画や積立金残高を確認し、将來の大規模修繕で追加徴収が発生しないかを調べるべきです。2025年10月時点で、平均的な大規模修繕費は1戸あたり100万円前後と言われます。これを考慮せずに利回り計算すると、いざ徴収時にキャッシュフローが急落します。
さらに、家賃下落リスクには、リノベーションや家具家電付きプランで付加価値を高める戦略が効果的です。初期費用は上がりますが、月額賃料を5〜8%引き上げられれば、実質利回りを押し上げ、長期的な競争力も維持できます。
最後に、火災保険・地震保険の補償内容を適切に設定し、自然災害による突発的支出に備えることがリスク管理の土台となります。保険料を抑えたい気持ちは理解できますが、補償額を削り過ぎてキャッシュフローが吹き飛ぶ例は少なくありません。長期で見ると、万一の損失をカバーする保険は、投資利回りの安定装置と位置づけるべきです。
まとめ
ここまで、20代がマンション投資で成功するための要点をキャッシュフローと実質利回りに焦点を当てて解説しました。手元に残る現金の流れを常にプラスに保ち、自己資金に対する収益性を数値で把握することがスタートラインです。さらに、金融機関との交渉材料として家計簿とキャッシュフロー表を連動させ、将来の昇給や繰上げ返済計画を示すことで融資条件を有利にできます。物件選びでは立地と管理体制を注視し、空室リスクと大規模修繕費を織り込んだシミュレーションを行いましょう。行動に移す際は小さく始めて早く学ぶ姿勢が何より重要です。今日から家計の見直しと情報収集を始め、あなたの20代を資産形成の加速期間に変えてください。
参考文献・出典
- 日本不動産研究所 – https://www.reinet.or.jp
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 住宅金融支援機構 – https://www.jhf.go.jp
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp