アパート経営に興味はあるものの、「専業主婦の私でも本当に始められるのだろうか」と感じる方は少なくありません。家計を守りながら新しい収入源を作りたい気持ちは強いものの、最初に必要な資金やローンの仕組みが分からず一歩を踏み出せないのが現実です。本記事では、主婦の立場でも実践できる資金計画やリスク管理の方法を中心に、アパート経営 主婦 初期費用というキーワードを軸に解説します。読み終える頃には、必要なお金の全体像と具体的な行動手順がはっきりするはずです。
主婦がアパート経営を始めやすい理由

まず押さえておきたいのは、アパート経営が在宅での資産形成に適している点です。家事や子育ての合間でも管理会社を活用すれば運営は可能で、安定収入を得ながら将来の年金代わりにもなります。
一方で、収益の柱が一つ増えると家計全体の耐久力が上がります。たとえば夫の転職や病気で収入が減っても、家賃収入があれば固定費をカバーできます。国土交通省の試算では家賃収入の平均利回りは全国でおよそ6%前後とされ、預金金利とは大きな差があります。
また、金融機関は共働き世帯に対する融資姿勢を年々積極化しており、配偶者の安定収入がある場合は主婦名義でも融資枠を確保しやすい状況です。実際に筆者の顧客でも、世帯年収600万円台で3000万円規模の木造アパート融資が承認されたケースがあります。
さらに、2025年8月の全国アパート空室率は21.2%で前年比0.3ポイント改善しました。大都市圏を中心に需要は底堅く、物件選びを誤らなければ安定運営が期待できます。このように環境面でも追い風が吹いているのです。
初期費用の内訳と目安

重要なのは、初期費用の内容を細かく把握し、想定外の出費を防ぐことです。以下は木造2階建て6戸を新築する場合のモデルケースを示したものです。
- 土地取得費 : 2,000万円(20坪・都心近郊)
- 建築工事費 : 3,000万円(坪単価約75万円)
- 設計・監理料 : 150万円
- 登記・税金等 : 200万円
- ローン諸費用 : 120万円
- 予備修繕費 : 100万円
合計 : 5,570万円
まず土地取得費はエリアで大きく変動します。人口流入が続く最寄り駅徒歩10分圏なら割高でも空室リスクが小さく、長期的に安定します。逆に郊外で格安の土地を選ぶと、家賃水準を下げざるを得ず収益が伸び悩む点に注意が必要です。
建築費は2024年以降の資材高騰で全国平均が上昇傾向ですが、木造アパートはRC造(鉄筋コンクリート)より約30%安く、初期投資を抑えられます。工務店により坪単価は10万円以上差が出るため、必ず相見積もりを取り価格と仕様を比較しましょう。
諸費用の中でも見落とされがちなのが不動産取得税です。土地は課税標準が評価額の半分に減額される特例が2025年度も継続中で、軽減効果は大きめです。加えて登録免許税や印紙税も細かく積み上がるため、合計200万円前後を別途準備しておくと安心です。
最後に、入居募集前に必要な家電設置や外構工事などは予備修繕費としてまとめておくと資金繰りがスムーズです。特にファミリー向け物件では駐車場舗装費が50万円規模になるケースもあるため、余裕をもった計画が欠かせません。
資金調達とローンのポイント
ポイントは、自己資金比率と金利タイプを適切に組み合わせることです。自己資金を2〜3割用意できれば、毎月の返済額を抑えつつ審査通過率も高まります。
金融機関の審査では、世帯年収に対する年間返済比率が30〜35%以内であることが目安です。たとえば世帯年収700万円なら、年間返済額は最大245万円程度が上限となります。このラインを超えると審査落ちはもちろん、家計への負担も重くなります。
金利は変動型が低水準で魅力的ですが、将来の上昇局面を想定したプランBが欠かせません。筆者は変動と固定を半分ずつ組む「ミックスローン」を推奨しています。変動部分で低金利メリットを取りつつ、固定部分で上昇リスクをヘッジできるからです。
借入期間は建物の法定耐用年数を意識しましょう。木造は22年ですが、金融機関によっては30年まで延長可能です。期間を長く取れば返済は楽になりますが、利息総額は増えます。シミュレーションソフトを使い、金利上昇2%・空室率15%など厳しい条件でも黒字を保てるか必ず確認してください。
また、2025年度も住宅金融支援機構の「アパートローン保証型融資」は継続しており、女性名義でも利用しやすい制度です。保証料は別途かかりますが、固定金利が選べるためリスクコントロールの一助になります。
運用開始までのステップ
実は、物件完成後の手続きにも時間と費用がかかります。ここを甘く見ると入居開始が遅れ、機会損失が発生します。
最初に行うのが管理会社の選定です。家賃集金からクレーム対応、退去立ち会いまでフルサポート契約にしておけば、主婦業との並行も現実的になります。管理料は家賃の5%前後が相場で、交渉次第では広告費1ヶ月分の割引も可能です。
次に、入居募集で重要なのがターゲット設定と家賃水準の調整です。周辺相場より5%高いだけで募集期間が1か月延びることも珍しくありません。国土交通省の賃貸市場データベースを活用し、家賃相場を細かく分析してください。
さらに、引き渡し直後は火災保険と家主賠償責任保険の契約を忘れがちです。木造アパートの場合、年間保険料は建物評価額の0.2〜0.3%が目安です。共用部分の漏水事故は高額賠償につながるため、補償範囲を十分に確認することが不可欠です。
最後に、確定申告の準備を早めに行います。青色申告を選択すれば65万円の控除が受けられ、赤字の場合は給与所得と損益通算が可能です。帳簿付けはクラウド会計ソフトを使うと家事の合間にも入力でき、税理士に丸投げするより費用を抑えられます。
リスク管理と家計との両立
まず押さえておきたいのは、空室と修繕の二大リスクを前提にキャッシュフローを設計することです。空室率は全国平均21.2%ですが、立地と物件スペックを工夫すれば10%台に抑えられます。
空室対策として、Wi-Fi無料化や宅配ボックス設置は単身者向けで高い効果があります。10戸規模なら年間10万円程度のコストで家賃を月1000円上げられるケースもあり、投資対効果が高い施策です。また、入居者アンケートを毎年実施し、要望を小まめに反映させると退去抑止につながります。
一方で、修繕費は築10年目以降に急増します。屋根防水や外壁塗装は200万円規模になるため、毎月の家賃収入から1割を修繕積立に回す習慣が欠かせません。木造アパートの減価償却費を現金としてプールしておくと、税負担を抑えつつ将来の大規模修繕に備えられます。
家計との両立には、収入の多様化とリスクヘッジが鍵です。たとえば家賃収入が月20万円、ローン返済と管理費が月15万円なら、差額5万円を「教育資金」「旅行積立」「修繕準備金」に振り分けると計画的に貯まります。こうした可視化が安心感を生み、投資継続のモチベーションを保ちます。
結論として、アパート経営はリスクを正しく把握し、家計管理と両輪で運用すれば主婦でも十分に実行可能です。日々の家計簿と同じ感覚で収支をチェックし、早めに手を打つ姿勢が安定運営の秘訣といえます。
まとめ
ここまで、アパート経営 主婦 初期費用をテーマに、必要資金の内訳からローン選び、運用開始までの流れを詳しく説明しました。重要なのは、土地建物だけでなく諸費用と修繕積立を含めて総額を試算し、自己資金2〜3割を確保したうえで余裕を持つことです。さらに、空室対策や保険加入などリスク管理を怠らなければ、家計を守りながら長期的な資産形成が可能になります。まずは物件見学と金融機関相談を同時に進め、シミュレーションを具体化するところから始めてみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅統計調査 2025年版 – https://www.mlit.go.jp
- 国土交通省 賃貸市場データベース 2025年8月 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo
- 住宅金融支援機構 アパートローン保証型融資概要 2025年度 – https://www.jhf.go.jp
- 総務省 統計局 家計調査年報 2024 – https://www.stat.go.jp
- 日本政策金融公庫 融資平均金利資料 2025年4月 – https://www.jfc.go.jp